日産、ルノーが中国企業に全株売却で「中国企業化」・・・!?

 Business Journal 


 【転載開始】

 ■日産、ルノーが中国企業に全株売却で 

 「中国企業化」シナリオも 


 今回の東京地検特捜部による

 “奇襲作戦”が、日産自動車と 

日本政府にとって果たして有利 

になるのかを検討してみたい。 


 ■今後の交渉にとって有効だったのか  


 東京地検特捜部は11日、 

日産自動車前会長のカルロス・ゴーン氏 

を会社法違反(特別背任)の罪で追起訴 

した。 

さらに同氏と法人としての日産を、 

金融商品取引法違反 

(有価証券報告書の虚偽記載)の罪でも 

追起訴。 

ゴーン氏の勾留は続いている。


 ゴーン氏は8日、拘留理由開示手続き 

で東京地裁の法廷に手錠と腰縄で姿を 

現し、「I am innocent」と無罪である

ことを強く陳述したが、国内向けには

大した インパクトはないが、海外に

向けては大きなインパクトがあった

だろう。 

これは、裁判官へのプレッシャーとなる 

のではないか。  


 特捜部の期待される役割は、 ゴーン氏

を長期拘留して世間に向けて反論する

機会を与えないことだろうが、 

今回のゴーン氏逮捕の本来の目的は、 

日産を表に立ててオールジャパンとして

ルノーとの交渉を有利に運び、 日産と

ルノーのアライアンスをひっくり返し、

日産をルノーの植民地から解放 し、

再度独立させることだろう。 

しかし、それはかなり困難だ。

 日産のほうが販売台数や技術力の面で

上回っているので独り立ちできるという

見方もあるが、現在、全販売 車両におけ

る共通パワートレインの 使用率は3分の1

であり、このシナジー 効果を失うことは、

ルノーばかりでなく 日産にとっても大きな

ダメージである。


 もしアライアンスを解消すれば、株価は

大きく下がるであろう。 

業績の大幅低下につながることは容易に

想像できる。 

直近(1月11日)の日産の時価総額は 3.8兆円

で、これが市場の日産への評価である。 

ちなみにトヨタは21兆円、ホンダは5.3兆円 

だが、時価総額で上回るホンダですら単独で

の生き残りの難しさが指摘されるなか、日産

が事実上傘下に収める三菱自と単独では、

規模の面で、 グローバル市場で生き残って

いくのは 難しい。  


 一方、ルノーの時価総額は2.1兆円だが、 

ルノーにとってアライアンス維持は死活 

問題である。 

もし日産が業績上のデメリットを覚悟で 

アライアンスの解消を持ち出せば、ルノーは

態度を硬化し、日産株の43.4% を有する大株主

として株主利益維持のために最大限の介入を

試みるであろう。 

それは、ルノーの大株主であるフランス政府

が日産に介入することを招く。 

ルノーから多額な賠償請求を受けるリスクも

ある。 

日産はかつてルノーから8000億円近い支援を

得たが、この20年近いアライアンス のなかで

ルノーにそれを上回る額の配当金を払っている。

だが、“手切れ金”はその程度では到底すまない。  


 また、もし日産がアライアンス解消を持ち

出せば、ルノー株を25%まで買い 増しして

日産におけるルノーの議決権を失効させて、

ルノーの傘下から抜けるという選択肢が使え

なくなる。 

なぜなら、改訂アライアンス基本合意書 

(RAMA)に日産がルノーの株を買い増す 

条件として「日産の経営判断にルノーに 

よる不当な干渉を受けた場合」と明記され

ており、日産の側からルノーの介入を招く

行為をすれば、ルノー株買い増しの権利を

自ら放棄することになる。 

そもそも、ルノー以外の株主からの反発も

予想され、日産経営陣が単独でアライアンス

解消に動くことは困難であろう。 


 以上より、アライアンスの解消はできない

であろう。 


 ■ルノー主導の交渉 


 それを前提に今後の展開を考えると、

ルノー主導の交渉にならざるを得ないであろう。 

まず、前述のとおり、ルノーのほうから先に

日産に介入をしなければ、日産がルノー株を

25%まで買い増しして日産におけるルノーの

議決権を失効させることはできない。 

もし日産がルノーに対して一方的な 株買い増し

をすれば、ルノーが日産にTOB(株式公開買い

付け)をしかけてきて、日産株式の過半数を

所有する可能性がある。 


 そもそも、ルノー株を25%まで買い 増すと

ルノーは確かに議決権を失うが、その代償と

して、10%分の株購入費用

(時価総額ベースの2100億円にかなりの

プレミアムを付けての購入が想定)を払って、

議決権が行使できないルノー株を所有すること

になる。 

それに他の株主が賛同するとは考えにくい。 

また、ルノーと日産が相互に議決権のない

大量の株式を保有することを、市場は歓迎

するだろうか。  


 次に、穏便な方法を考えてみよう。 

フランスの会社法では、ルノーの日産株式の

保有が40%未満になると、日産の保有する

ルノー株15%に議決権が発生するので、 

日産がルノー保有の日産株43.4% のうち3.5%を

買い取ることも考えられる。 

それにより、両社は相互に議決権を行使できる

ことになるが、ルノーとフランス政府が合意する

可能性は低いだろう。 

もし合意しても、現在約3割の議決権を有する

フランス政府は対抗して、ルノー株を買い増して

3分の1の議決権を確保するであろう。  


 もうひとつは、日産が増資をしてルノーの株保有

比率を40%未満になるように希釈するという方法も

ある。 

そのためには約1割の増資が必要だが、それを既存の

株主や市場が歓迎するかは、はなはだ疑問である。 

いずれにしてもこれらの選択肢は、基本合意書が

有効である限りは、行使できる可能性は低いであろう。 


 ■中国企業に日産株を売却の 

 可能性も 


 もし、日産がルノー株式を25%まで買い増しする

ことに成功したとしても、株主の興味は、日産が日本

の会社であるかなどではなく、日産がPER 

(株価収益率)の高い企業になるかどうかである。 

ルノーが議決権のない無駄な日産株を売却しても

アライアンスを維持でき、さらにフランス国内の雇用

が守れるのであれば、ルノーは日産株を中国企業や

ファンドに売却するかもしれ ない。 

日産はこれを妨げることはできない。 


 もしルノーが中国企業に日産株を売却すれば、相当

なキャッシュも入る。 

日産は現在、日本市場での販売台数は全体の1割程度で、

中国市場は北米市場に次ぎ、全販売台数の 3割弱(27%)

を占める重要な市場なので、中国企業や中国政府も興味 

を示すだろう。 

市場もこれを歓迎して、日産の株価が上がるかもしれ

ない。 

米国のトランプ大統領は怒るかもしれないが、フランス

のマクロン大統領との関係は冷めきっているので、 

止めることもできないだろう。 


 結局、日産の主要株主が中国企業になるという展開だが、

日産の中国市場依存をみれば、あながち荒唐無稽な話では

ない。 

グローバル企業との交渉は、そこまでのリスクを見て行う

のが当然だ。 


 次回は、これまでの議論を前提に、国家を巻き込んで

ルノーと日産の闘争はどのように着地するのかを検討して

みたい。 


 (文=小笠原泰/明治大学国際日本学部教授) 


 【転載終了】 

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 最後の項にある、中国企業への売却は最悪な

シナリオだと思います。 


 赤いハゲタカの日産株買い集めの噂もありまし

たからね。 


LC=相棒's のじじ~放談!

時事関係や自動車関係などの記事を書いています。

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