米中貿易戦争不況が日本企業に到来・・・
Business Journal
【転載開始】
■“超高収益企業”ファナックの変調、
利益6割減予想の衝撃・・・
米中貿易戦争不況が日本企業に到来
2019.05.28
米中貿易戦争の日本企業への影響力
を見極める上で、ファナックの決算
への注目度は高かった。
ファナックは工作機械の動作を制御
するNC(数値制御)装置で世界シェア
トップ、産業用ロボットでは世界4強の
一角を占める。
2020年3月期の業績予想が衝撃を
与えた。 連結最終利益が前期比59.6%減
の623億円になる見通しだからだ。
事前の市場予想の平均値(QUICK
コンセンサスは1079億円)を400億円以上
下回る。
1000億円を割り込むのは10年3月期
以来10年ぶりとなる。
売上高は15.5%減の5369億円、
営業利益は53.6%減の757億円と
2年連続の減収減益の予想。
営業利益が半減するという
ショッキングな数字だ。
営業利益率は14%となる。
ファナックの営業利益率が20%を
割り込むのは1994年3月期以来、
実に26年ぶりのことだ。
米中貿易戦争で中国企業の設備
投資が停滞し、工作機械の頭脳で
ある数値制御装置などFA(工場自動化)
関連が低迷。
スマートフォン(スマホ)需要も
鈍化すると判断した。
ファナックが手掛けるロボットや
工作機械の受注動向は、設備投資
の先行指標とされている。
ファナックの大幅減益見通しは
製造業の経営環境の厳しさを如実に
示している。
■地域別では中国、部門別では
ロボマシンが大きく落ち込む
同時に発表した19年3月期の連結
決算の売上高は前期比12.5%減の
6355億円、営業利益は28.9%減の
1632億円、最終利益は15.3%減の
1541億円。
減収減益決算ながら営業利益率は
25.7%と高い水準を保った。
営業利益率15%以上はエクセレント
カンパニー(収益力の高い超優良企業)
と呼ばれるが、ファナックは日本を
代表するエクセレントカンパニーだ。
日本の製造業の営業利益率の平均は
4%程度にとどまる。
地域別売上高では国内は9.2%増の
1497億円と増収だった。
一方、中国は44.0%減の1209億円、
米国が11.2%減の1286億円と落ち
込んだ。
中国ではエレクトロニクスや自動車を
中心に業種を問わず振るわなかった。
部門別売上高では主力のFAは5.0%減
の2111億円、ロボットが 4.5%減の
2175億円。
ロボマシンが39.5%減の1151億円と
不振だった。
ロボマシンとは、ロボドリルなど
小型金属加工機械の総称。
ロボドリルはiPhoneの筐体(機器を入れる箱)
加工に使われる ため、iPhone人気で需要が
急増した。
これでファナックは業績を大きく伸ば
した。
過去を振り返ってみよう。
15年3月期決算は我が世の春を謳歌した。
売上高7297億円、営業利益2978億円、
純利益2075億円、営業利益率40.8%は、
いずれも過去最高だった。
中国とロボマシンが大きく寄与した。
その中国とロボマシンが低迷。
これが今期の大幅減益予想の原因と
なった。
■5G対応スマホはロボマシンに逆風?
中国事業は大別して2つだ。
工作機械の頭脳であるNC装置など
FA関連は工場の省力化に欠かせない。
しかし、米中貿易戦争で企業が省力化
投資を見送る動きが広がった。
より深刻なのは、スマホの生産に
使うロボドリルだ。
「ファナックは、もうスマホでは以前
のように稼げなくなるかもしれない」
株式市場からはこんな見方が浮上
している。
というのは、高速次世代通信規格 ある
「5G」対応スマホの普及がファナック
に逆風になるとみられているからだ。
5Gスマホの本体は、金属ではなく
ガラスや樹脂など電波に影響しにくい
素材に変わるといわれている。
5Gは従来より高い周波数の電波を使う
ため、金属では電波が通りづらくなる
恐れがあるからだ。
金属を加工するロボドリルの出番が
減る可能性が高いと市場では懸念
されている。
■工場のIoTデータシステムを次の
成長の柱に育てる
4月1日、実質創業者である
稲葉清右衛門氏の息子、稲葉善治会長
兼CEO(最高経営責任者)がCEOを
退き、山口賢治社長兼COO
(最高執行責任者)が社長兼CEOと
なった。
稲葉氏は引き続き代表権を持つ会長に
とどまる。
経営トップに就いた山口氏は、
NC装置やロボットに続く牽引役を育て
ることに挑む。
あらゆるモノがインターネットとつな
がるIoTを通じて、工場を見える化する
「フィールドシステム」という仕組み
づくりだ。
工作機械など工場内のさまざまな設備
をインターネットで接続し、機器から
得られるデータを可視化して生産性を
向上させる。
人工知能(AI)ベンチャーの
プリファード・ネットワークスと共同
で工作機械の故障を未然に防ぐ技術を
開発した。
この機能を活用することで、消耗した
部品を故障前に交換することが可能と
なる。
世界のマーケットを俯瞰すると、
独シーメンスなどライバルが多い。
国内でも三菱電機や日立製作所などが
数年前からIoTの基盤づくりに資源を
投入しており、競争は激しい。
NC装置やロボマシンのように圧倒的な
シェアをファナックが握れるかどうかは
未知数だ。
20年3月期の業績を上方修正すること
ができるのか。
中国市場の回復を待つ厳しい1年になる
ことだけは間違いない。
(文=編集部)
【転載終了】
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大手に変調が現れだしてきたということ
でしょうか?
来年度からの経済破綻が気がかりですね。
年内に株式の処理は済ませ、来年の様子を
見たほうがいいのかな。
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