公務員の終身雇用制度は10~15年で崩壊する・・・

 ダイヤモンド・オンライン 


 【転載開始】


 公務員の終身雇用制度は10~15年で崩壊する 

2019.6.2


 ■公務員の終身雇用が崩壊するのは 

 当然のこと 


 先日、私は生駒市での体験に基づき、 

『10年で激変する!「公務員の未来」 

予想図』(学陽書房)という本を出版 

しました。 

その中で「公務員の終身雇用は確実に 

崩壊する」と書きました。 

これは大げさでもなんでもなく、

 少し考えてみれば当たり前のことです。


  終身雇用が崩壊するからこそ、

 公務員は、今まで以上に地域や社会に 

必要とされる人材となるために経験を 

積み、成長しなければなりません。


 役所も、職員に対しては社会変化の 

中で活躍できる公務員に成長できる 

よう、また、仮に公務員をやめても 

食べていくことができる人材に成長 

できるよう、挑戦の機会を与え、 

成長を促す義務と責任がこれまで以上 

に大きくなります。 


 地方公務員法第27条第2項には 

「職員は、この法律で定める事由に 

よる場合でなければ、その意に反し 

て、降任され、もしくは免職されず 

・・・」 という身分保障に関する

規定があり ます。 

しかし、私は公務員の終身雇用は 

10~15年後、2030年から2035年 

をめどに崩壊していくと見ています。 

それにはいくつかの理由があります。 


 第一に、単純に多くの公務員を 

雇用し続けることができない財政 

状況になることです。 


 人口減少や高齢化、行政課題の 

多様化などに伴い、自治体の財政 

状況は厳しくなります。 

財政状況が比較的良好で、 

高齢者の介護予防の先進的な取り 

組みが高く評価されている生駒市 

でさえ、約360億円の一般会計予算 

に対し、毎年約3億円の社会保障 

経費が増え続けます。 

10年で30億円、そのインパクトは 

すさまじいものがあります。 

収入の増加にできる限りの知恵を絞り、 

他の支出も下げていくことが不可欠 

ですが、人件費の削減も例外ではあり 

ません。 


  第二に、AI(人工知能)や 

ICT(情報通信技術)の普及、 

外部委託の増加により、 

職員がやるべき業務が大きく減少する 

ことです。 


 定型業務などをAIが行うように 

なれば、適正な職員数が今と大きく 

変わります。 

今は一部の自治体で実証的な事業が 

始まっていますが、10年も経てば 

相当の自治体業務はAIやICTの 

活用により対応可能になっている 

はずです。


 ■人材の過度な同質性をあえて乱す 

 必要がある 


 第三に、今後の急激な社会変化や 

市民ニーズの高度化・多様化等に対応 

するには、プロジェクトごとに外部 

から専門家を登用するほうが合理的に 

なるからです。  


 新卒で採用したプロパー職員を40年 

近く全員雇用し続けるのではなく、 

課題に応じて職員を一定割合入れ替え 

ていく「流動的」「弾力的」な組織運営 

が不可欠になります。 


 実際に、すでに職員採用に社会人経験 

枠を設けたり、年齢制限を撤廃するなど、 

より多様な人材を求める動きはすでに 

始まっています。 

法令で定められた仕事をミスなく遂行する 

ことが求められる時代には自治体組織の 

同質性が大きな武器となっていましたが、 

地方創生時代に新しい挑戦が求められる今、 

年齢に関係なく地域に付加価値をもたらす 

ことのできる職員を抜擢したり、 

中途採用者などの多様な視点を組織に持ち 

込んだりして、過度な同質性をあえて乱し 

にいくことが不可欠なのです。 


 このような理由から、私は、採用説明会 

などで 「今は終身雇用制度がありますが、

近い将来、 『40年先まで君たち全員を必ず

雇用し続け ます』と断言できない時代になり

ますよ」と 伝えています。  


 トヨタの豊田章男社長が終身雇用の継続 

は難しいと発言され話題となりましたが、 

官民問わず、これから社会に出る方は、 

これまでと少し違う視点と覚悟を持って働き 

始めることが必要です。


 ■終身雇用崩壊時代に「公務員」がやるべき 

 こと  


 では、終身雇用制度が崩壊する時代に、 

これから公務員になる人はどのような意識 

を持ち、どのように行動すべきなのでしょ 

うか。


  答えは 

「終身雇用が崩壊しても役所が離さない公務員 

となること」 

「公務員をやめても食べていける公務員となる 

こと」です。 

こういう公務員に共通す能力は、大きく 

「始動力(リーダーシップ)」と「協創の力」 

の2つに収斂されます。  


 自治体業務の中で、法令の執行事務や国 

からの依頼を大過なくこなす「減点主義」 

の業務が多かった時代は終わり、 

自治体が地域課題を地域のリソースを活用 

して解決する「加点主義」の業務が確実に 

増えていきます。 

したがって、これからの公務員は、座して 

衰退を待つのではなく、変化を起こし、 

地域活性化への挑戦を続けていく「義務」 

があります。 

そのように挑戦できる職員だけが、 

終身雇用制度が崩壊した後も組織や地域 

から求められる人材となるのです。 

これが「始動力」です。


 「協創の力」は、生駒市が提唱する 

「自治体3.0」のまちづくりと大いに関係 

します。 


  これからの行政職員、特に市町村職員は、 

「まちの営業マン」となり、市民を単なる 

「お客様」にするのではなく、 

場合によっては市民にも汗をかいてもらい、 

共にまちづくりを楽しめる職員となること 

が不可欠となってきます。 

市民や事業者の力を借りるべき業務を見極め、 

その担い手を発掘し、対話やワークショップ 

などを活用して信頼関係を築き、取り組みを 

具体化していく力が「協創の力」です。 

 

■終身雇用崩壊時代に「自治体」がやるべき 

 こと  


 自治体側にも職員の成長を支援する構え 

が必要です。 

終身雇用崩壊の時代においても、 

職員が地域から必要とされるよう、また、 

仮に公務員をやめてもしっかりと食べていく 

ことができるよう、若いうちから十分な機会 

を与え、成長を促す義務と責任がこれまで 

以上に大きくなるのは当然のことです。 


 前述した「始動力」「協創力」をしっかり 

と身に付けることのできる機会を、 

仕事の中でも研修でも確保するのはもちろん、 

職員が地域に飛び出し、 

市民とのコミュニケーションの中で成長する 

ことを支援しなければなりません。  


 具体的には、始動力を伸ばすため、 

若い職員にもどんどん仕事を任せることです。 

生駒市も以前は、政策形成・実践研修の受講 

対象は入庁15年目前後の職員でした。 

今はこれを入庁2~3年目の職員と一気に対象 

年齢を下げ、新しい取り組みを若いうちから 

考え、実行するための支援を行っています。  


 また、実際の仕事の場でも、小さなこと 

から若手職員が自分の裁量で進められる仕事 

を与え、任せることも大切です。 

私はこれを「自分プロジェクト」と呼んで 

いますが、組織の方針にしっかりと沿う形 

であれば、組織のメンバーがどんどん自分 

でプロジェクトを考え、行動に移していけ 

ばよく、そういう行動をできる人こそが、 

官民問わずこれからの時代に必要とされる 

人材なのです。


 ■副業をやる人間ほど本業の重要さを理解 

 している  


 協創力を伸ばすためには、 

「地域に飛び出す公務員」を支援すること 

です。


 「地域に飛び出すなんてまだ早い。本業 

をちゃんとできるようになってからにしな 

さい」という言葉をよく耳にしますが、 

この言葉は一見正論のように見えて、 

部下の成長を止める「悪魔のフレーズ」です。 


 そんなことをいちいち言われなくても、 

地域に飛び出す活動をしている人は、 

「本業も今まで以上に頑張らないといけない」 

なんてことは当然分かっています。 

地域活動がやりたいという部下には、 

むしろどんどん副業をやらせたほうが本業でも 

伸びるはずです。 


  理想的には、支援するだけでなく、 

上司自らが地域に飛び出す姿を部下に見せる 

ことです。 

地域活動をしたくても 

「やってもいいのかな?」と迷っている部下 

にとって、地域で活躍する上司の姿は最高 

の見本であり、安心材料。 

若手が地域に飛び出すための背中を温かく、 

力強く押してあげる上司になることが求め 

られています。  


 生駒市では、職員の地域に飛び出す活動や、 

それを支援する上司の部下育成の行動を、 

人事評価の項目に盛り込んでいます。 

そうすることで職員本人はもちろん、 

上司も組織も、地域に飛び出すことをプラス 

とらえ、しっかり応援する意識と行動を 

とれるような仕組みを作っています。 


 逆にいえば、職員に成長の機会を十分与え 

られない自治体は、キャリア形成の視点から 

見て魅力がなく、新しい時代において、 

働く場として選ばれなくなるでしょう。

 (奈良県生駒市長 小紫雅史) 


 【転載終了】

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 本業に支障がなければ、副業を 

認める企業が増えてきていますよね。 


 いつ辞めてもらっても、すぐに 

生活に困ることがないようにという 

ことでしょうか?  


 民間は、AIなどが人に代わるので、 

少なくない従業員数を早期退職の対象 

としています。 


 公務員も「 ご多分に漏れず」という 

ところでしょうか。

 

LC=相棒's のじじ~放談!

時事関係や自動車関係などの記事を書いています。

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