「老人福祉・介護事業」の倒産件数が年上半期で過去最多・・・
東京商工リサーチ
【転載開始】
■「老人福祉・介護事業」の倒産件数が
年上半期で過去最多、ヘルパー不足で訪
問介護事業者の倒産が急増
2019.07.04(木)
「老人福祉・介護事業」の倒産件数 上半期(1-6月)推移
2019年上半期(1-6月)の
「老人福祉・介護事業」倒産は、
55件だった。
年上半期では2018年同期から
2年連続で前年同期を上回り、
介護保険法が施行された2000年
以降では、年上半期で最多を
記録した。
なかでも、ヘルパー不足が深刻な
訪問介護事業者の倒産が急増した。
この状況で推移すると、2000年
以降で年間最多の2017年(111件)
を上回る可能性が出てきた。
介護業界は、2018年に介護報酬
が0.54%プラス改定されたが、
小規模事業者は人手不足が深刻さ
を増し、経営環境は一層厳しく
なっている。
倒産した企業の9割超(構成比92.7%)
が消滅型の破産を申請した。
資本金1千万円未満(個人企業他を含む)
が約9割(同87.2%)、従業員10名未満
が8割(同80.0%)、設立5年以内が3割
(同30.9%)と、過小資本で小・零細の
事業者の淘汰が加速している。
2018年度の介護報酬改定で、
「質が高く、効率的な介護の提供体制の
整備推進」を目指すが、むしろ規模に
よる差別化が目立つ。
待ったなしの高齢化社会を迎え、
「老人福祉・介護事業」は市場拡大が
見込まれる一方、資金力や人材、
ノウハウなどの優劣で淘汰が加速している。
※ 本調査対象の「老人福祉・介護事業」
は、有料老人ホーム、通所・短期入所
介護事業、訪問介護事業などを含む。
■年上半期で最多件数を更新
2019年上半期の「老人福祉・介護事業」
倒産は、55件(前年同期比22.2%増)
だった。
これは過去最多の2018年同期の45件を
上回り、年間最多ペースで推移している。
負債総額も109億9300万円 (同272.0%増)
と急増した。
負債が膨らんだのは有料老人ホーム経営、
(株)未来設計(東京都中央区、民事再生)
の負債53億8600万円など大型倒産が押し
上げたことが要因。
未来設計は、粉飾決算などの不適切会計が
発覚し、信用が低下した。
入居者などの個人債権者は約1500名を数える。
ただ、倒産した55件のうち、負債1億円
未満は44件(前年同期比25.7%増)と
大幅に増加し、全体の約8割(構成比80.0%)
を小規模事業者が占めた。
■ヘルパー不足が深刻化する訪問介護事業
が大幅増
2019年上半期は、「訪問介護事業」が
前年の18件から32件(前年同期比77.7%増)
に急増した。
2018年12月、全国ホームヘルパー協議会が
公表したアンケート結果によると、
「(ヘルパーを)募集しても応募がない」と
人材面の課題を回答した訪問介護事業者は
約9割(構成比88.0%、複数回答)にのぼった。
訪問介護事業者は、ヘルパー不足が最重要
課題になっている。
「老人福祉・介護事業」の倒産 年次推移
■業種別 「訪問介護事業」が最多
業種別では、最多が「訪問介護事業」
の32件(前年同期18件)。
次いで、デイサービスなどの
「通所・短期入所介護事業」が13件
(同18件)、「有料老人ホーム」が5件
(同7件)、サービス付き高齢者住宅
などを含む「その他の老人福祉・介護
事業」が3件(同1件)だった。
■原因別、「販売不振」(業績不振)が
急増
原因別では、最多が販売不振(売上不振)
の40件(前年同期比53.8%増、前年同期
26件)だった。
次いで、「事業上の失敗」(同50.0%減、
同8件)と「運転資金の欠乏」(同100.0%
増、同2件)が各4件。
「金利負担の増加」と「既往のシワ寄せ」
(赤字累積)が各2件で続く。
■設立別、5年以内が3割
設立別では、2014年以降の設立5年未満
が17件(構成比30.9%)と3割を占め、
新規参入の事業者が目立った。
また、従業員数では5人未満が36件
(前年同期比38.4%増、前年同期26件)で、
全体の約7割(構成比65.4%)を占めた。
■形態別、破産が92.7%
形態別では、事業消滅型の破産が51件
(前年同期比24.3%増、前年同期41件)
と全体の9割(構成比92.7%)を占めた。
一方、再建型の民事再生法は1件
(前年同期3件)にとどまり、業績不振
に陥った小・零細企業の再生が難しい
ことを示している。
■地区別件数、近畿地区が最多
地区別では、全国9地区のうち、四国
を除く8地区で倒産が発生した。
最多は近畿の16件(前年同期6件)。
次いで、関東15件(同14件)、中部6件
(同9件)、中国5件(同1件)と九州5件
(同8件)、東北3件(同3件)と北海道3件
(同2件)、北陸2件(同ゼロ)、四国ゼロ
(同2件)の順。
前年同期比では、北海道、関東、北陸、
近畿、中国の5地区で前年同期を上回った。
「老人福祉・介護事業」の倒産が、
再び増加に転じている。
小・零細規模の事業者を中心に、
経営が軌道に乗らず破たんするケース
が目立つ。
特に、「訪問介護事業」の倒産は、
前年同期比77.7%増と2倍近くに急増
した。
2018年度の介護報酬改定では、
訪問介護事業者の人材確保の必要性を
指摘していた。
参入促進策として、人材のすそ野を
広げる政策も取られている。
拡大する市場を狙い、新規参入が多い
のも「老人福祉・介護事業」の特徴
だが、参入障壁が低い一方で、資金や
ノウハウが乏しい企業が安易に進出
している問題点も浮き彫りになってきた。
ホームヘルパーなどの人手不足や
高齢化に加え、大手や中堅事業者
との競合で、資金力の乏しい小規模
事業者の脱落が増えている。
老人福祉や介護事業者には、
介護サービスを待つ人々がいること
を忘れてはならない。
「老人福祉・介護事業」の倒産増加は、
サービスを受ける介護者が不利益を
受けるケースが増えることも意味する。
安定した介護サービスの提供には、
介護事業者の自発的な健全経営と
持続可能な制度設計、そして一定の
公的支援も必要になっている。
【転載終了】
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現在、「特養」入所待機者が75万人
いると言われています。
入浴など訪問ヘルパーやショートステイ
なども必要になり、これがないと在宅介護
の負担が減りません。
ベテランのケアマネさんは、
「介護される人」より、「介護する人」の
健康にも目配せします。
要するに、介護する側の人が体調を崩す
と共倒れの可能性があるからです。
先日、妻が少し体調を崩したときに母が
(父93歳、母90歳)、
「〇〇ちゃん(妻)具合悪いのか?」と
聞いてきたので、いい機会だと思い母に
言いました。
「我々もいい歳になってきたので、いつ
体調を崩して入院となるかも知れないので、
その時には施設に入ることも考えておいて」、
と。
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