なぜ企業の内部留保金が増えると不景気になるのか?

 まぐまぐニュース 


 【転載開始】 


 元国税が暴露。 

 日本企業の内部留保が増えると 

 社員の給料が減る訳


 ■なぜ企業の内部留保金が増えると不景気 

 になるのか?  


 今回は、内部留保金のお話です。 

昨今、日本企業の内部留保金が多すぎる 

というような話がよくあります。 

内部留保金というのは、ざっくり言えば、 

企業の利益から税金と配当を差し引いた 

残額のことです。 

現在、日本の企業は460兆円以上の内部 

留保金を持っています。 

実に、日本の1年分のGDPに近い金額です。  


 この日本企業の内部留保金について、 

「日本企業はお金をたくさんため込んで 

いるのだから、消費税を上げる前に企業 

のお金を社会に還元するべき」と主張 

する人もいます。 

その一方で「内部留保金は設備投資など 

も含まれるので必ずしも企業の預貯金で 

はない。また将来のリスクに備えるもの 

でもあり、企業にとっては必要なものだ」 

と主張する経済評論家などもいます。 

一体どっちが正しいのでしょうか?  


 一般論的に言えば、「内部留保金は 

設備投資なども含まれるので必ずしも 

企業の預貯金ではない。また将来の 

リスクに備えるものでもあり、企業に 

とっては必要なものだ」という主張は 

決して間違ったものではありません。 


 内部留保金というのは、現金預金と 

して貯め置かれるだけじゃなく、 

設備投資をしたときの資産も内部留保金

に換算されています。 

だから、内部留保金イコール企業の 

預貯金ではない、というのは間違い 

ではありません。 

また将来のリスクに備えるために、 

企業の預貯金は必要と言うのも、正論 

といえば正論です。 


 が、日本企業の場合、その理論通り 

には行っていないのです。 

というのも日本企業の内部留保金は、 

設備投資にはあまり使われず、 

現金預金などの金融資産として残って 

いるものが多すぎるのです。 

日本企業が保有している手持ち資金 

(現金預金など)も200兆円以上あり 

ます。 

つまりは、内部留保金の半分近くは 

預貯金として企業に留め置かれている 

のです。


 これは、経済規模から見れば断トツ 

の世界一であり、これほど企業がお金 

を貯め込んでいる国はほかにないのです。 

アメリカの手元資金は日本の1.5倍あり 

ますが、アメリカの経済規模は日本の 

4倍です。 

だから経済規模に換算すると、日本の 

企業はアメリカ企業の2.5倍の手元資金 

を持っていることになるのです。 

つまり世界一の経済大国であるアメリカ 

企業の2.5倍の預貯金を日本企業は持って 

いるのです。 

いくら将来のリスクに備えると言っても、 

アメリカ企業の2.5倍もの預貯金を貯め 

込んでいるというのは、絶対に多すぎな 

のです。


 ■「内部留保金が増えた理由」が大きな問題  


 また日本企業の場合、内部留保金が増え

た理由にも大きな問題があります。 

社員の給料も上がり、世間の景気もよく 

なっている上で、企業が内部留保金を増や 

しているならば、別に問題はないでしょう。  


 しかし、このメルマガで何度の紹介して 

きたように、この20年間、日本のサラリー 

マンの給料は下がり続けています。 

そして、この20年間でサラリーマンの給料 

が下がっているのは、先進国ではほぼ日本 

だけなのです。 

日本経済新聞2019年3月19日の 

「ニッポンの賃金(上)」によると、 

1997年を100とした場合、2017年の先進 

諸国の賃金は以下のようになっています。  


アメリカ:176 

イギリス:187 

フランス:166 

ドイツ :155 

日本  :91  


 このように日本の賃金状況は、先進国の 

中では異常ともいえるような状態なのです。 

日本企業の内部留保金が積みあがったのは、 

この賃下げが大きな要因の一つなのです。 

つまり、本来ならば、サラリーマンが受け 

取るべきお金を、企業が内部にため込んで 

いるという状態なのです。


  企業がこれだけの金を貯めこむという 

ことは、自分の首を絞めていることでも 

あります。 

企業が社員に給料を支払ったり、設備投資 

をしたりすれば、それは誰かの収入になる 

わけですので、社会全体の消費につながり 

ます。 

消費というのは、すなわち企業の売上に 

なるのですから、企業の業績もよくなるの 

です。  


 しかし企業の預貯金が200兆円以上も 

あるということは、社会のお金の流れが 

そこでせき止められていることになり 

ます。

日本のGDPの4割にも及ぶお金が、滞留 

しているのです。 

特に、日本企業の場合、社員の給料を 

ケチった上での「貯め込み」なので、 

より深刻な影響がでます。 

当然、消費も減りますし、これで景気が 

よくなるはずはないのです。 


 サラリーマンの給料が減れば、国民の 

購買力は減り、内需は縮小します。 

それがデフレにつながっているのです。 

当たり前といえば当たり前の話です。 

これに反論できる経済評論家がいたら、 

ぜひ反論していただきたいものです。


 ■トヨタは国内市場を25%も落としている  


 企業が内部留保金を増やし過ぎれば、 

自分の首を絞めるということについては、 

トヨタなどがいい例です。  


 現在、トヨタは日本企業で最大の20兆円 

にも及ぶ内部留保金を持っています。 

その一方で、トヨタはバブル崩壊以降、 

従業員の賃金をケチりにケチってきました。 

特に2000年代は、史上最高収益を連発して 

いたにもかかわらず、ベースアップをほとん 

どしませんでした。 

トヨタは、日本のリーディングカンパニー 

です。 

トヨタが賃金をケチれば、それは日本中の 

企業に波及します。 

バブル崩壊以降の日本企業はトヨタを追随し、 

業績がよくてもベースアップをほとんどしな 

いというケースが続出しました。  

 その結果、日本経済はどうなったでしょうか? 

消費は冷え込み、日本の国内市場は急激に縮小 

したのです。 


 平成2年にはトヨタの国内自動車販売は 

200万台を超えていました。 

が、現在は150万台前後です。 

平成の間に、実に国内市場が25%も縮小して 

いるわけです。


 そしてトヨタは、国内市場が縮小するばかり 

なので、必然的に海外に販路を求めなければ 

ならなくなりました。 

しかし、海外で商売をするというのは、非常に 

リスクが大きいものです。 

トヨタの現在の主な販売先はアメリカです。  

が、アメリカが日本車の進出を快く思って 

いないことは、周知のとおりです。 

アメリカは何かにつけて日本車に厳しくあたり 

ます。 

トヨタも何度も巨額の罰金を科せられました。 

エアバックのタカタなどは、不自然な事故の 

責任を押し付けられ、経営破たんしてしまい 

ました。 

もし、日本経済が今の状況を変えないならば、 

日本経済全体がタカタのようになるかもしれ 

ません。 


 ■日本の景気の悪循環 

  通常の景気循環というのは次のように 

なっています。 


 「企業の利益が増える」

      ↓ 

「企業が従業員の給料をきちんと払う」 

     ↓ 

「国民の消費が増える」  

     ↓ 

「企業の利益が増える」 


 しかし、日本の場合は、次のように 

なっているのです。


「企業の利益が増える」   

     ↓ 

「企業は従業員の給料をけちる」

     ↓ 

「国民の消費が落ち込み国内市場が縮小」  

     ↓ 

「企業は無理して輸出を増やそうとする」  

     ↓

「ますます賃金が減りさらに国内市場が縮小」 


 この日本の陥っている悪循環の原因は 

単純です。 

「企業がお金を貯め込みすぎ」 

「企業が給料をケチりすぎ」なのです。 

これを改善すれば、この悪循環は解消する 

わけです。 

日本の大企業の経営陣の方々、ぜひこの 

単純な事実に気づいていただきたいもの 

です。 

今の日本企業は欧米並みに賃金を上げる 

くらいの体力は十二分に持っているのです。

 (メルマガ『大村大次郎の本音で役に立つ 

税金情報』より一部抜粋) 


 【転載終了】

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 20年間の賃金が下がっていると 

いうことと、賃金データは、二ヶ月 

くらい前にも書いています。


 内部留保がこれだけ増えたのは、 

労働組合の活動も関係しているの 

ではないでしょうか? 


 労働組合が「総評」から「連合」 

に移管してから、約30年ですかね。


 「連合」は労使協調路線でストも 

したことがないと思います。 

結局、労働組合が内部留保を吐き 

出させないことが20年間も賃金が 

下がり続けた理由のような気がし 

ます。

 

LC=相棒's のじじ~放談!

時事関係や自動車関係などの記事を書いています。

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