高齢者の医療費・介護費、「3割負担」拡大・・・

 Business Journal 


 【転載開始】


 ■高齢者の医療費・介護費、「3割負担」拡大・・・ 

 恐ろしく速いペースで負担増の法改正 

 2020.02.06  


 昨年12月19日、全世代型社会保障 

検討会議の中間報告が発表された。 

前編に引き続き、後編では、この中間報告 

を踏まえ、高齢者医療の変遷と今後の医療 

費負担にどう対応すべきかを考えてみたい。


 ■1970年代は医療費ゼロ! 

 高齢者医療制度の変遷は? 


 そもそも、高齢者医療の自己負担は 

どのように推移してきたのか、整理し 

てみよう。 


 まず、日本の公的医療保険(以下、 

医療保険)における最大の転換点は 

1961(昭和36)年4月に 

「国民皆保険制度」が導入されたこ 

とだ。 

これによって、すべての国民が加入 

する公的医療保険制度が発足した。  


 そして1960年代後半の昭和40年代 

に入ると、高齢者を含め、被用者保険 

被扶養者や国民健康保険の一部負担に 

関し、自己負担分を各自治体が公費 

(税金)負担とする措置が普及し いた。


 その後、高齢者医療制度としては、 

1973(昭和48)年1月に国の制度と 

して老人福祉法に基づく 

「老人医療費支給制度」が創設された。 

70歳以上の国保被保険者と被用者保険 

被扶養者(ただし、所得制限あり)の 

医療費の自己負担はゼロ(無料) だった。 

しかし制度導入後に高齢者医療費は 

急増。 

被用者が退職後に国民健康保険へ移行

するようになると、制度間の高齢者

医療費の負担に著しい不均衡 が生じる。 


 そこで新しく1983(昭和58)年 2月、

老人保健法が施行され「老人保健制度」

が創設。 

対象は、70歳以上および65歳以上の寝た

きり高齢者である。 

ここで、患者には定額負担の仕組みが導入

され、入院300円/日 (2カ月限度)、

外来400円/月が かかるようになった。 

このあたりから、頻繁に細かな負担増の

改正が行われ始める。 


 1987(昭和62)年1月には、老人保健法

改正によって患者負担が 引き上げられ、

入院400円/日 (低所得者300円(2カ月限度))、 

外来日額800円/月となり、その後も自己負担

はじわじわと引き上げられ、2001(平成13)年 

には、ついに負担が定額から定率へ と切り替わ

ることに。 

患者には「1割」(月額上限あり) の自己負担

が発生する。 


 その後は、原則1割のまま、一定の所得のある

「現役並み所得者」は 2002(平成14)年に「2割」、

 2006(平成18)年に「3割」と、 収入によって

負担割合に差が生じるようになった。 

また、2002(平成14)年10月から、後期高齢者へ

の施策の重点化ということで、老人保健医療

受給者の対象年齢が従来の「70歳以上」から 

「75歳以上」に引き上げられている。  


 そして、2008(平成20)年4月から、75歳以上

と一定の障害のある65歳以上を対象にした

後期高齢者医療制度」が導入され、現行の負担

割合となって いる。


 ■負担増は「医療」だけではない! 

 「介護」もたび重なる改正が実施 


 さて、高齢者にとっての不安材料は「医療」だけ

ではない。 

「介護」に関しても、認知症などを含めて、

不安視しているシニア層は非常に多い。 

その上、公的介護保険(以下、介護 保険)の改正

も医療以上に頻繁に行わ れており、被保険者の

負担が増大して いる。


 介護保険は、急速に進む高齢化を公的な社会保険

制度で対応する目的で、2000(平成12)年4月から

導入された。

 いわば、加齢とともに衰えていく心身を支え、

最後まで自分らしく生きるために整えられた共助の

しくみだ。 

制度が導入されて以来、はや20年近く が経過した。 

65歳以上の被保険者が約1.6倍に増加するなか、

介護サービス利用者数は 約3.3倍に増加。 

高齢者の介護になくてはならないものとして定着

しつつある。 


 介護保険法では、保険給付の円滑な 実施のため、

3年間を1期として介護 保険事業(支援)計画が作成。

保険料などが改定されている。 

また、施行から5年を目途に、必要な見直しも行われ

ており、現在2018~ 2020年までの第7期計画が実施

されている。 


 そこで、気になる介護保険の利用 者負担だが、

原則は「1割」。 

しかし、改正によって2015年8月1日 から一定の

所得がある65歳以上の利用者負担が「2割」に引き

上げられた。 

対象は、単身世帯なら年収280万円、夫婦世帯なら

年収346万円以上の場合である。 

さらに、2018年8月1日からは、2割負担者のうち、

とくに所得の高い層の負担割合が「3割」に引き

上げられた(ただし、月額4万4,400円の 上限あり)。  


 基準は単身世帯なら年収340万円、夫婦世帯なら

年収463万円以上が対象となる。

 厚生労働省の資料では、受給者全体496万人のうち、

2割以上負担者は45万人。 

なかでも3割負担者は約12万人(全体の約3%)と

いう。  

【前編】で紹介したように、後期高齢者医療制度の

被保険者のうち、医療費 の3割負担の可能性のある 

「現役並み所得」に該当するのは約7%。 

これよりも少ないとはいえ、該当する高齢者世帯は、

医療も介護もすでに3割が当たり前となっているの

が現状だ。 

当然のことながら介護保険に関しても、2割または

3割負担の対象を拡大する議論は行われている。 


 報道によると、厚生労働省は対象者 拡大について、

介護サービスの利用控えにつながる恐れがあるとして、 

今のところは見送る方向で調整中のようだ。 

だが、自己負担の上限額(月4万4400円)を年収に応じ

て引き上げる案やケアプラン の有料化など、このほか

にも検討されて いる負担増の改正案は多々ある。 

いずれ、世代を問わず、介護も医療も 自己負担は

「3割」となるかもしれない。


 ■負担増の傾向は変わらず、スピードは 

 加速する 


 さて、長々と医療保険と介護保険の概要や改正を

ご紹介してきたが、ここで注目 していただきたいのは、

改正の頻度や スパンの短さである。 

現在の日本の医療保険システムから考えて、国民の

社会保障の負担は増えることは確実で、その点に

ついては多くの人が理解されていることと思う

(頭でわかっていても、 納得できるかはまた別問題だが)。


 しかし、本当に恐ろしいのは、改正の頻度が増え、

そのスピードが加速していることである。 

ちなみに、医療保険について、今回、改革案に盛り込ま

れた内容は、75歳以上の後期高齢者の自己負担割合の

引き上げだが、2017年8月・2018年8月には、2段階で

70歳以上の高額療養費制度の改正が行われている。

 詳しくは、本連載の 

「高齢者の医療費自己負担がこっそり上昇 …突然、

月4万から17万円に増の例も」 (2019年9月23日付)

をご参考いただき たい。 


 高額療養費制度については、それ以前 の2015年1月、

70歳未満の改正も実施されており、所得区分が3区分

から5区分 に細分化。 

高所得世帯の負担が大きく引き上げられ ている。 

介護保険においても、介護保険料の負担 開始年齢を

現行の40歳から、それ以下 の若年層に引き下げる案

も以前から浮上 している。

 時期尚早といわれてはいるものの、いずれ具体化する

可能性はゼロではない。


 ■医療・介護の負担増に備えて、 

 これからすべき3つの対策 


 今は、まさに“ゆで蛙”状態。 

気づかないうちにじわじわと負担増が拡大するこれらの

状況を踏まえ、私たち はどうすべきか?


 対応策を3つ提案し たい。  


 第一に、本気で「予防」に取り組むことである。 

病気や要介護状態にならないよう、 生活習慣に

留意し、規則正しい生活を 心掛ける。 

かかりつけ医やかかりつけ薬局を持ち、自分のカラダ

の不調に耳を傾ける。 

定期的に適切な検診を受けるなど、できることは山ほど

ある。

 “本気で”としているのは、ほとんどの人が、重要性を

実感していないからだ。 

実行しなければ、自分たちの家計が苦しくなるという

リアルな現実をもっと知るべきである。 


 万が一に備えて民間保険にたくさん 加入して多額の

保険料を支払い、不健康な生活を送るよりは、保険料 

の半分でも健康維持に費やしたほうが合理的だろう。  


 第二に、病気や要介護状態になった場合に使える

社会的資源や人的資源を 洗い出してみることである。 

どんなに健康に留意していても、病気になるときは

なる。 

その際に備えて、どのような公的制度が利用できる

のか、預貯金や民間保険 でどれくらいカバーできる

のか把握 しておくことが大切だ。 


 ただし、一般的に社会保障制度や 資産運用などに

関するリテラシーは高いとはいえない。 

病気になってから 

「まったく知らなかった。もっと早く 気づいていれば」

というケースがほとんどである。 

とにかく、最新の情報を握る相談窓口を知っておくだけ

でも良い。 


 第三に、医療や介護に対する自分や家族の優先順位を

イメージしておくことである。 

最近、花粉症や湿布、漢方薬など軽症 者向けの医薬品を

医療保険の対象外とする議論が出ている。 

今後、医療保険でカバーできるのは、本当に必要最低限

の部分のみ。 

影響が小さければ対象外となるかもしれない。 

花粉症に悩む人にとっては大問題だが、そこは諦めてもら

うしかない、となるわけだ。 


 そこで、もしこのような制度に移行した場合、自分や

家族が、どのような医療・介護をどこまで受けたいか優先 

順位を考えておいたほうが良い。 

そして、ある程度の自己負担が増えても、手厚い医療・

介護を受けたいのであれば、自助努力として、ちゃんと

備えておくべ きなのだ。 


 おそらくこれからの医療・介護は、何を優先し、何を

諦めるかを考えねばならない時代になる。 

しかも、改正のスピードが加速していることを考えると、

これらの対策は待った なしの急務となる可能性が高い。  

(文=黒田尚子/ファイナンシャル  プランナー)


 【転載終了】

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 介護のことをあまり理解できていない 

方たちが如何に多いか、自分が介護をす 

るようになって分かりましたね。  


 あるお宅の例ですが、お子様が数人い 

ますが、お嫁さんたちを含め高齢の両親 

の面倒を看ようとするお子さんたちが 

一人もいないようです。 


  妻と話したんですが、一人っ子だから 

これだけ親の面倒を看るんだなと。  


 老後のためには、医療費と年金は重要な 

位置を占めます。 

国は減らすことしか考えていません。 

それを食い止めるのは、国民一人一人の 

意識改革と政治への関心を持つことです。  


 何故、ニューヨークタイムズが、 

「日本国民はお人好し」と記事にしたか 

考えてほしいですね。 

何故、こんな悪政に黙っているのだろう? 

という問いかけです。 


 それと、ロシア紙が、 

「日本はリーダーシップを喪失した」と 

書いたのも同様ですね。 


LC=相棒's のじじ~放談!

時事関係や自動車関係などの記事を書いています。

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