「世界のソニー」復活、革新的商品で世界を魅了・・・
Business Journal
【転載開始】
■「世界のソニー」復活、革新的商品で
世界を魅了・・・GAFAの仲間入りへ、
ソフトでも稼ぐ 2020.02.06
1月7日から10日にかけて、
米ラスベガスにおいて世界最大級の
デジタル技術・商品の見本市である
「CES」が開催された。
そのなかでソニーは、自動運転技術
を搭載した電気自動車(EV)の
コンセプトカー
「VISION-S(ビジョン‐エス)」を
出展し、大きな注目を集めた。
かつてソニーは、ウォークマンなど
新しいモノ(家電製品などのプロダクト)
を創造することで、社会の文化に大きな
変化をもたらした。
今回のCESでソニーは、自社の強みで
あり成長の源泉である“モノづくり”の
大切さを取り戻し、それを磨くとの
方針を、はっきりと、強く、世界に
提示したと考える。
その見方から、
「ソニーが、ソニーらしさを取り戻し
つつある」と先行きに期待を寄せる
市場参加者もいる。
冷静に考えると、人々が「欲しい」と
思わずにはいられないモノを生み出す
ことができれば、企業がリスクに対応 し
つつ、長期の成長を目指すことは可能だ。
ソニーがその実現に向けて、どのような
“モノ”を生み出すか、これまで以上に
今後の取り組みが注目される。
■“モノづくり”の企業文化を取り戻すソニー
もともと、ソニーは新しい“モノ (家電製品)”
を生み出し、ヒット商品 を創出することを通して
成長を遂げてきた企業だ。 ウォークマン、
ハンディーカム、 トリニトロンテレビなど、
ソニーは、 洗練されたデザインと、高いクオリティ
(高い音質や画像の美しさなど)を両立 してきた。
先端のテクノロジーをプロダクトに落とし込み、
革新的な技術とデザイン とを両立させることが
できたからこそ、ソニーは世界の人々を魅了する
ことが できた。
それは、アップルの創業者である
故スティーブ・ジョブズに影響を与えるなど、
世界経済にも大きな影響を与えたと考えられる。
1990年代、同社の経営は大きく変化した。
ソニーは金融やエンターテイメントなどを事業
ポートフォリオに組み入れ、コングロマリット
経営を重視し始めた。
結果的に、コングロマリット経営の 推進ととも
にモノづくりのカルチャー は希薄化し、ヒット
商品は見当たら なくなってしまった。
2014年にはスマートフォン事業の不振から初めて
の無配に陥るなど、経営状況がかなり厳しい時期
もあった。
その後、ソニーは徐々にモノづくり の大切さを
取り戻し、その強さを発揮 しつつある。
それを支えてきた要素が、スマートフォンなどに
搭載される画像処理センサー
(CMOSイメージセンサー)だ。
ソニーのCMOSイメージセンサーの競争力は高く、
世界的なシェアも50%と高い。
それが、近年の業績回復を支えた。
車載分野など、ソニーの画像処理センサーへの需要
は高まるとの期待も高い。
重要なことは、ソニーが自社にとって重要な要素
は何かを見つめなおし、モノづくりの文化を育み
続けることの重要性を再認識したことだろう。
それがなければ、同社が画像処理の技術を磨き、
高いシェアを獲得し、維持することは難しかった
はずだ。
ソニー経営陣は、明確に画像処理センサー 事業を
重視する姿勢を示し、生産能力の増強にも取り組ん
でいる。
経営陣が自社の強みをしっかりと客観的に理解して
いることは、今後の成長に 重要な要素と考えられる。
■新しい文化創造をめざすソニー
その上で今回のCESにおけるソニーの出展を考え
ると、興味深い示唆が得られる。
それは、ソニーが新しい発想の実現を通して、
ヒットメーカーとしての存在感 を発揮しようとして
いると考えられることだ。
もともと、ソニーがヒット商品を生み 出すことが
できたのは、
「こういうものがあったら楽しい」といった考えを
大切にしてきたからだろう。
それがあったからこそ、ソニーは新しいテクノロジー
を実際の製品に反映し、より大きな満足感(付加価値)
を社会に提供できた。
このように考えると、ヒット商品の創出には、
魅力的なプロダクト(ハード) の製造だけでなく、
他にはないソフトウェア(発想など)を生み出す
力が不可欠であることがわかる。
逆に言えば、特定の技術に固執するのではなく、
常に新しい発想を用いて、従来にはない満足感を生み
出す技術の実現を目指すことが求められる。
今回のCESにソニーが出展したEVのコンセプトカー
を目にして、「あっ」と驚かされた市場・業界関係者
は多かったようだ。
まず、エレクトロニクス企業であるソニーが自動車を
手掛けるとは予想すらしなかった市場関係者は多い
ようだ。
それだけではない、ソニーが手掛けたデザインは高く
評価されたようだ。
また、移動しながら映画などのコンテンツを楽しむと
いう新しい移動のコンセプト (価値観)を具体的に
世に示したことも、多くの人々の心をとらえた。
それこそがソニーの狙いだろう。
ソニーにとって重要なことは、新しい発想 の創造・
実現を目指してヒト・モノ・カネを最先端分野に
再配分し、人々の満足感を生み出すことだ。
別の言い方をすれば、自社の要素を活かして、世界に
対して新しい生き方を提唱 する。
それは需要の創出を目指すことにほかなら ない。
今回のEVに関しても、他の企業が魅了される要素は
多かったと考えられる。 それがあったからこそ、
ソニーは独ボッシュや米クアルコムなどの企業の協力
を取り付け、新しい自動車のコンセプトを世界に示す
ことができた。
このように考えると、ソフトとハードの 両面で、
ソニーは本来の力を取り戻し つつあると考えられる。
■ソニーはわが国のGAFA銘柄
今後、ソニーに期待したいことは、 かつての
ウォークマンのように、 世界に鮮烈な印象を与え、
多くの人が 「どうしても手に入れたい」と思わず
にはおれないヒット商品を生み出し、成長を実現
することだ。
現状、ソニー経営陣は、
「社会的にインパクトのある事をやり たい」との
意思を表明している。
ソニーの組織全体で、これまでには なかった発想を
実現し、人々の生き方 を変えるようなプロダクトを
生み出そ うという価値観が共有されつつあるとみて
よいだろう。
その上で、ソニーがVISION-Sの ような新しいモノの
創造を通して、 新しい“生き方”を世に示すことができれ
ば、同社の成長期待はさらに高まるだろう。
革新的な製品を生み出すことのできる 企業で働きたい
と思う人も増えるはず だ。
ソニーに求められることは、そうした 取り組みを長期的
な視点で強化し、 常に新しい価値観の実現を目指すこと
だろう。
そのためにも、ソニーにはモノづくり の文化に磨きを
かけてもらいたい。
すでに、同社は2006年に生産停止を決定した犬型ロボット
「AIBO」の生産を再開し、さまざまなモノがIT空間と
シンクロナイズするIoT時代を見据えた 取り組みを進めて
いる。
VISION-Sの開発にはAIBOのチームが主導的な役割を果た
した。
VISION-Sが今すぐにソニーの収益に貢献するわけでは
ない。
それよりも重要なことは、ソニー経営陣が、CMOSイメージ
センサーで得られた経営資源を、最先端のテクノロジーや
技術の開発に再配分し、組織全体が 新しいことに取り組む
文化を醸成しよう としていることだ。
それは、新しい発想の実現を通したヒット商品の創造には
欠かせない。
反対に、既存事業で十分な収益を確保し、それを先端分野に
再配分することが難しくなると、企業が長期的な視点で社会
に驚きを与えるような製品の創造を目指すことは困難となる
だろう。
ソニーはある程度の長めの展望で革新的なモノを生み出そ
うとするだけの強さ、ゆとりを取り戻しつつあると考えら
れる。
同時に、ソニーは常に多様な、新しい価値観の取り込みを
進め、変革を目指さなければならない。
ソニーが既存事業の収益性を高めつつ 、他の企業との提携
などを通してさらなる ヒット商品の創造に取り組むことを
期待 したい。
(文=真壁昭夫/法政大学大学院教授)
【転載終了】
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ソニーカーが発表された時には、私も
「お~!」という感じでしたね。
ソニーの復活は、「ものづくり日本」の
復活の狼煙と期待してしまいます。
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