「東京五輪は中止の方が日本経済に吉」
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【転載開始】
■「東京五輪は中止の方が日本経済に吉」
株式市場、開催のリスクを重視
2021年5月26日
五輪開催といえば、金融市場では
「景気浮揚効果から株価にはプラス」という
のが定石だった。
しかしコロナの感染が収まらない中、既に
1年延期された東京五輪は、追加的な経済効果
が乏しいだけでなく、政局への影響や感染拡大
懸念から株式市場の重しとなりやすく、
開催を延期・中止した方が日本株にプラスに
働くとの見方が、ここにきてマーケットで
急浮上している。
■政治リスクに敏感な海外投資家
市場関係者が懸念するのが、反対の声が強い
国内世論を押し切って開催した場合の政権への
影響だ。
各社世論調査でも既に菅政権の支持率が低下
している中、開催を強行すれば総選挙を前に
政治が不安定化するリスクが高まる、との見る
向きが多い。
こうした政治リスクにとりわけ敏感なのが
海外投資家だ。
日本取引所グループの統計によると、海外投資家
は5月第2週に現物・先物合計で1兆円以上の
日本株を売却し、昨年3月初め以来の大幅売り越し
を記録した。
クレディ・スイス証券副会長で経済調査本部長
の白川浩道氏は、海外のリアルマネー投資家から
日本の政治リスクに関する問い合わせが増えて
いると語る。
「日本株は2月半ばから3カ月もアンダーパフォ―ム
しており、欧米だけでなく、新興国のソブリン系
投資家など、日本株に首をかしげる投資家が増え
ている。まだ本格的に売り始めているわけではな
いが、日本市場個別のリスクとして、コロナ対策
に失敗して政治が大きく変動するリスクがどの程度
あるのか評価している段階だ」という。
■五輪なければ日経3万2000円
また、ワクチン接種率が他の先進国に比べ大幅
に低い中で五輪が実施された場合、開催に伴って
感染が再び拡大する懸念がつきまとう。
西村証券の門司総一郎チーフストラテジストは、
「五輪が再延期もしくは中止となれば、あく抜け
して日本株は買われるのではないか。それが決ま
れば政府としても感染対策に注力できる。五輪が
なくなれば、日経平均は3万2000円くらいまで
上昇するのではないか」と予想する。
東京五輪開催に伴う政治的・社会的リスクを
それほど重視しない投資家も存在するが、
それでも、五輪が市場にもたらす追加的メリット
がほとんどない、というのは市場関係者の一致
した見方となっている。
競技場の建設などは昨年までに終わっている上、
既に海外からの観客受け入れ見送りが決定され
たほか、国内の感染状況も緊急事態宣言の再延長
が見込まれるなど不安定なことから、実施される
場合でも無観客となる可能性も十分あるとの見方
が市場では根強い。
そうなると消費の盛り上がりは期待できず、
追加的な経済浮揚効果は限定的と見られる。
■五輪開催の有無、景気を左右せず
三菱UFJ国際投信の野崎始エグゼクティブ・
ファンドマネジャーは
「株式市場にとって、オリンピックを実施
するかしないかは、もはや大きな問題では
ない」として、開催の有無自体は基本的に
市場にはニュートラルとの見方を示しつつ、
「ただ、この世論の中、実施した場合の、
菅政権への影響は気になる」とつけ加える。
野村総研やソニーフィナンシャルホール
ディングス(SFH)などの試算でも、
経済効果は最大で2兆円足らず、日本の
名目国内総生産(GDP)の0.3%程度。
コロナ禍に伴う国内消費の落ち込みはこれ
より大きいとみられる。
観光庁の調査によると昨年7─9月期の
国内旅行消費額は3兆円程度と、2019年の
6.7兆円から3.7兆円も低下しており、
外食や娯楽の自粛の影響などもあわせると
損失はさらに大きいと見込まれる、
とSFHの宮嶋貴之シニアエコノミストは指摘
する。
宮嶋氏は「日本の潜在成長率は0─0.5%
程度でありGDP比で約0.3%の機会損失の
発生は完全に看過できる規模とは言えない
が、巷(ちまた)でけん伝される深刻な景気
後退に陥るほどのインパクトはないだろう。
大会開催の有無自体は景気を大きく左右する
ものではないが、感染の長期化は景気には
明らかにマイナスだ」との見方を示した。
佐野日出之
【転載終了】
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私も以前から五輪強行すれば、経済崩壊
の可能性を懸念してきた方です。
海外観光客の来ない五輪開催は経済効果
に乏しく、感染を押さえ込んだ国内消費や
早期感染収束によるインパウンドの回復の
が経済効果が大きいのは普通の考え方です。
分科会に経済専門家が入っていますが、
そのような提言はなされないのでしょうか?
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