<衆院選>それでも日本人は新自由主義を選んだ

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【転載開始】


■<衆院選>

 それでも日本人は新自由主義を選んだ

 2021年11月01日


 <衆院選の真の勝者は、アベノミクスから

の脱却をうたった岸田自民党でも弱者救済を

訴えた野党でもなく、日本維新の会だった>


 10月31日に行われた衆議院選挙は、

自民党と立憲民主党が議席を減らし、

日本維新の会が躍進するという結果に

終わった。

今回の選挙は、情勢調査も出口調査も

バラバラで、とても難しい選挙となって

いたが、維新の会が少なくとも3倍程度

に躍進することは分かっており、

そこだけは最後まで揺るがなかった。


■二転三転する情勢


 今年の春ごろ、菅首相はワクチン政策と

オリンピックを成功させ、その余波で選挙

に突入し大勝することを目標にしていた。

しかしオリンピック期間中に日本を襲った

コロナ第五派の影響などにより、菅政権の

支持率は低下し、自民党大敗がささやかれ

るようになった。

菅首相は辞任することになった。

菅首相の辞任によって一カ月間の自民党

総裁選が行われ、岸田政権が誕生した。

自民党は支持率を回復させ、選挙に勝利する

と思われた。

しかし、岸田首相は総裁選で訴えていた

分配政策をトーンダウンさせ、静岡の

参議院補選も敗北するなど失策が続き、

総裁選効果は急速に低下していった。


 一方、野党第一党の立憲民主党は、共産党

との合意により多くの選挙区で候補者の一本化

に成功する反面、最大の支持母体である労働

組合「連合」系の離反を招き、選挙については

よい流れと悪い流れの両面があった。

こうした不安定な情勢を受けて、新聞社や

テレビ局の情勢調査は混乱し、各社でまったく

異なる結果が現れていた。


 こうした中で確実だったのは、日本維新の会

が在阪メディアの圧倒的支援のもと、近畿地方

を拠点に確実に支持を伸ばしていったという

ことだった。

選挙区当選こそ近畿以外では出来なかったが、

比例票を全国で積み重ね、今回の選挙唯一の

勝者となった。


■維新勝利の政治的意味


 日本維新の会が勝利した要因を分析すれば

様々あるだろう。

それぞれの選挙区の事情や、メディア戦略の

巧みさ。

たとえばコロナ対策については、大阪府は

人口当たりのコロナ死亡率が全ての都道府県

の中で最も高い。全国に先駆けて第三波が

大阪で到来したのは、コロナ禍にも拘わらず

強行した都構想住民投票のせいともいわれて

いるし、第四波、第五波では、いわゆる

「自宅療養」によって、多くの感染者が放置

され亡くなった。

それにも拘わらず、吉村知事のコロナ対策へ

の評価は6割以上もある。

これではコロナ対策への支持率が2割を切り、

辞任するに至った菅前首相も浮かばれないだ

ろう。


 知事が評価されているのは、大阪ではほぼ

毎日吉村知事が在版メディアのどれかの番組

に出演するというメディア戦略の徹底が理由

だともいわれる。

確かにマスコミを抑えてしまえば、国政選挙

にも有利に働くだろうというのは容易に想像

がつく。

ただし、こうした事情はいったん括弧にいれ

て、今回の選挙で日本維新の会が勝利した

政治的意味を考えてみたい。

もちろん勝利といっても、客観的にみれば

一番の「勝者」は、圧倒的多数の議席を獲得

した自民党だ。

しかし選挙は全ての政党がゼロから議席を

積み上げるゲームではなく、前回までの実績

からの増減が重要になる。

前回の議席から割合でも実数でも議席を最も

増やしたのは日本維新の会だ。

これがこの選挙の政治的意味となる。

それはいったい何だろうか。

今回の選挙に参加したそれぞれの政党の主張

を比較して考えれば、「新自由主義の勝利」

ということになるだろう。


■新自由主義政党としての維新


 日本維新の会はこの数年間、国会では政府

与党の補完勢力として機能してきた。

共謀罪法案など、維新議員が与党の強行採決

の切り込み役になったこともあった。

しかし選挙では政権批判を繰り返し、自民党

への対抗政党であることを装っていた。


 岸田自民党は、選挙中にどんどんトーン

ダウンしていったものの、「分配」を重視し、

新自由主義から脱却する穏健な宏池会路線を

標榜していた。

一方の対抗勢力である立憲民主党・共産党・

社民党・れいわ新選組もまた「分配」を掲げ、

どんどん元の自民党に戻っていく岸田首相を

批判していた。

野党共闘から距離を置く国民民主党もまた

積極財政と再分配を主張していた。


 こうした中で、日本維新の会は唯一はっきり

と新自由主義政策を主張していたといえよう。

新自由主義者として知られる人材派遣会社パソナ

の竹中平蔵会長と結びつき、社会保障としては

弱者切り捨てに近いベーシックインカムを主張。

規制緩和と民営化で「小さな政府」を実現し、

「経済成長」のための競争社会をつくろうとして

いた。

ある議員は、「正社員」は「既得権」だと明確

に言っていた。

これはまさしく竹中平蔵の持論でもあり、

雇用の不安定化を進めるということだろう。

このような路線が、多くの有権者に支持されたと

いうことなのだ。


■響かなかった分配政策


 アベノミクスの9年間、日本の経済成長率は

平均して1%前後であった。

その間、2回の消費税増税やコストプッシュ

インフレによって人々の生活は苦しくなった。

一方で株価の上昇などによって富裕層や都市部

のアッパーミドルは恩恵を受け、格差の拡大が

進んだ。

社会的な矛盾が広がる中、コロナ禍が訪れた。

世の中が疲弊する中で、改革改革と人々をさら

なる競争へと煽り立て、あらゆる公共分野を

コストカットし、不況にも拘わらず財政政策

を渋るような政治はもうやめようという意識が

生じた。

自民党も、そのような理路で安倍路線を継承

する高市早苗や改革主義者の河野太郎ではなく、

分配を主張する岸田文雄を選んだのではなかった

か。


 立憲民主党や共産党、社民党、れいわ、

そして国民民主党も、それぞれ自民党以上の

分配政策を打ち出していた。

給付金や学費軽減、教育機関への積極投資、

減税などだ。

しかし、有権者にはそのどれもが響かなかった、

響いたのは維新のコストカット・弱肉強食路線

だったのだ。


 もちろん日本維新の会は、依然として「野党」

のままだ。

しかし、もし維新が自身の政策を実行できたと

するなら、率直にいえば、富裕層や有能な人間

にとっては利益があるといえるだろう。

他方で多くの市民にとっては、それは生活の質

を改善するものではなく、弱者やマイノリティ

にとっては今まで通り、誰の手も差し伸べられ

ない政治となる。

弱者やマイノリティに手を差し伸べようと訴え

た政党は敗北したのだから。


 今回、維新に票を投じた人々が(あるいは他

の党に票を投じた人々、そして、しなかった人々

が)、どのような理由でそうしたのか私は知らな

い。

今後、投票データの分析が行われるのだろうが、

現時点では何もわかっていない。

しかし、どのような実情が存在しようと、

選挙結果全体から導かれる政治的帰結は、

「それでも日本人は新自由主義を選んだ」という

ことなのだ。


【転載終了】

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>・・・大阪ではほぼ毎日吉村知事が

在版メディアのどれかの番組に出演す

るというメディア戦略の徹底が理由だ

ともいわれる。


↑これについては、なぜ在阪メディア

が毎日と疑問に思いましたね。

知事とし仕事仕事をしているのか?

と疑ったくらいです。


>・・・日本維新の会は唯一はっきり

と新自由主義政策を主張していたとい

えよう。

新自由主義者として知られる人材派遣

会社パソナの竹中平蔵会長と結びつき、

社会保障としては弱者切り捨てに近い

ベーシックインカムを主張。


↑この辺は、某新聞社が背後にいると

いうことにも繋がっているのでしょう。


 新自由主義は、「解雇法案」にも繋が

りかねませんから、正社員である若者の

解雇が自由になり、いつ正社員から

非正規になるか分かりません。

若者はB層からC層に落ちているという

表現にも繋がっているようです。


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