エンジン車とディーゼル車、世界的に禁止へ・・・
Business Journal
【転載開始】
エンジン車とディーゼル車、世界的に禁止へ…
社会的役割が終焉、電動車が主流に
■再燃する排ガス不正
ディーゼル車が再び排ガス不正疑惑で揺れている。
ドイツ検察はメルセデス・ベンツの100万台に上る
ディーゼル車に、排ガス浄化装置に関する不正の
疑いがあるとみている。
また、米国司法省はフィアット・クライスラー・
オートモービルズ(FCA)に同様の不正があるとして、
連邦地裁に提訴した。さらにオランダ当局は、FCAの
ディーゼル・エンジンを搭載したスズキの車種
「エスクード」で排ガス不正があると検察に通報した。
2015年に発覚したVWの排ガス不正疑惑だが、
同様の疑惑はVWにとどまらず、仏ルノー、
仏グループPSA、米ゼネラル・モーターズ(GM)、
日産自動車、スズキなど、国を超えて広がっている。
ディーゼル車の終焉は近い。
■ディーゼル車の人気低下
ヨーロッパでは一時50%近くのシェアを誇った
ディーゼル車だが、VWの排ガス不正に始まる
一連の疑惑で人気は低下し、15年の52%から
20年には37%に低下すると野村証券は予測
している。
もちろん排ガス不正の影響はあるが、主要都市の
大気汚染の悪化が止まらないこと、それにともなう
自動車の都市部への流入規制が実施されていること、
軽油税制の見直しが検討されていることなど、
ディーゼル車をめぐる大気環境悪化、規制の強化、
経済的な利点の消失など、さまざまな問題が起きて
いることも、ディーゼル車人気に影を落としている。
■ディーゼル車禁止政策
さらに、パリの大気汚染に泣くフランス政府は、
2040年までに国内のガソリン車とディーゼル車の
販売を禁止する。
それに先駆けてインドは30年までに、ノルウェー、
オランダは25年までに禁止する。
また、自動車生産大国のドイツも上院で30年までに
禁止すべきという決議をしているなど、中長期的な
エンジン車排斥の政策が上程されていることも
ディーゼル車離れを加速させている。
こうした政策を実のあるものにするために、
電気自動車(EV)やプラグインハイブリッド車(PHV)
が税制上優遇される一方で、軽油税が高くなる。
ディーゼル車の経済的なメリットは失われ、
ディーゼル車離れは加速する。
■ディーゼル車のメリット
ディーゼル車には多くのメリットがあった。
最大のメリットは経済性の高さである。
これは燃費の良さと燃料の税金の安さによる。
ディーゼル・エンジンは、排ガス規制が強まる前
まではガソリン車に比べて1.5倍ほど熱効率が
高かった。
これは圧縮比が高いことが主たる要因だ。
したがってディーゼル車は燃費が良く、燃料代を
安く抑えられる。
ディーゼル・エンジンを使うトラック、バスなどの
運航経費を安く抑えることで、経済を発展させよう
という政策をとる政府が多く、世界的にディーゼル・
エンジンの燃料である軽油税はガソリン税に比べて
安かった。
ディーゼル・エンジンの効率の高さ(燃費の良さ)と
安い軽油税のおかげで、ディーゼル車の経済性は
高かった。
とくに長距離を走るユーザーにとっては大きなメリット
だった。
また、ディーゼル・エンジンは低回転で回転力(トルク)
が大きい。
ゆっくりとエンジンを回していても力があるので、乗り
心地も良く、扱いやすかった。
回転数の3乗に比例して多くなる摩擦抵抗も少なく、
これもディーゼル・エンジンの燃費の良さを補完して
いた。
■ディーゼル車のデメリットと衰退
ユーザーと社会に多くのメリットをもたらしたディーゼル
車だったが、台数の増大によって大気汚染は悪化し、
厳しい排ガス規制が施行されることになった。
ディーゼル排ガス規制の急先鋒は、米国カリフォルニア州
であった。
大気を汚染する排ガス中の窒素酸化物と黒煙の原因で
ある微粒子(PM)、なかでも健康被害を増大させる
超微粒子のPM2.5については、ほとんど浄化が不能という
レベルの規制を施行した。
日本もこれに近い規制を実施したが、ヨーロッパは
日米に比べると規制値が緩く、これがヨーロッパ主要
都市の大気汚染を悪化させることになった。
メリットが多く、それゆえに台数が増えたディーゼル車だが、
台数の増加と共に大気汚染を悪化させたので、当局は
排ガス規制値を強めざるを得なくなった。
その結果、燃費は悪化し、価格は高くなり、市場での
競争力を次第に失っていったのだった。
■排ガス浄化システム
ディーゼル・エンジンの特性は、燃費を良くする
(二酸化炭素を削減する) と、排ガスが汚くなるという
ものだ。
つまり経済性を高めると環境性が悪化する。
また、厄介なのは窒素酸化物を少なくすると微粒子
(PM、黒煙)が増え、PMを少なくすると窒素酸化物が
増えるという特性である。
同時に少なくすることが難しい。
また、窒素酸化物は太陽光線を受けるとPM2.5を生じる
という厄介な特性がある。
窒素酸化物とPMを同時に削減するためには、尿素を
使った窒素酸化物浄化装置(尿素SCRシステム)のほかに
PMをキャッチするDPF(ディーゼル・パティキュレート・
フィルター)が必要となる。
この2つの浄化装置を一体にしたシステムを採用する
メーカーがほとんどとなった。
■排ガス不正の温床
尿素SCRシステムもDPFも、燃料噴射量、装置の
作動温度の精密なコントロールが必要であり、作動させる
には燃料噴射量を増やしたり、装置に直接燃料を吹いたり
しなければならない。そのために余計な燃料が必要で燃費
が悪化する。
また、装置の制御に失敗すると排ガス値が大幅に悪化、
装置が壊れて乗用車で数十万円、トラックになると
数百万円の修理費がかかる。
また、装置が正常であっても走行状態によって排ガス規制
値を超えることがある。
排ガス浄化システムは必ずしも完璧ではなく、微妙にして
精密なコントロールが必要なために、測定の仕方、
走行状態によっては、規制値を超える場合がある。
排ガス値について規制当局と自動車メーカーの見解が
一致せず、場合によっては自動車メーカーが当局の提訴に
納得せず訴訟になるのは、このような装置の特性による
ことが多い。
現在の排ガス浄化システムは、排ガス不正の温床ともいえ、
ディーゼル車の限界を示している。
ヨーロッパだけではなく、アジアの主要な都市部の大気
汚染は深刻であり、ディーゼル車の命運は尽きたのでは
ないだろうか。
そこに、PHVという伏兵が現れた。
時代はエンジン車から離れ、電動車へと向かっている。
(文=舘内端/自動車評論家)
【転載終了】
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サウジアラビアのオイル依存からの脱却も、
これに呼応しての経済転換でしょうか?
また、トヨタとの提携を解消したテスラの愛知進出も、
EV化対応に遅れたトヨタの牙城に切り込む戦略なの
でしょうか?
当面は自身がEVに乗ることはないのでしょうね。
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