若年層や女性が感染しやすい・・・
日刊ゲンダイDIGITAL
【転載開始】
■若年層や女性が感染しやすい・・・
「オミクロン株」の怖さと対策を
専門家に聞いた
公開日:2022/01/15
新型コロナウイルスの変異株
「オミクロン株」とみられる感染の猛威
は勢いを増すばかり。
国内では昨年9月4日以来、4カ月ぶりに
新規感染者が1万5000人を超えた。
「オミクロン株」は「デルタ株」に比べ
て重症者数が少ない傾向がみられる
ものの、厚労省の専門家組織の会合では、
潜伏期間が平均3日程度と従来の5日より
短く、「これまで経験したことのない
速さで新規感染者数が急増している」と
指摘されている。
感染拡大防止に向け、岸田首相は3回目
のワクチン接種を呼び掛けているが、
3回目の接種率は13日現在で全人口の0.8%
にとどまる。
「オミクロン株」や3回目のワクチン接種
についてどう考えればいいのか。
国立病院機構京都医療センターの林琢磨氏
(がん医療研究室長)に聞いた。
◇ ◇ ◇
──「オミクロン株」は軽症と言われていま
すが、どう捉えればよいのでしょうか。
新型コロナウイルスのアルファ型ウイルス、
デルタ型ウイルスの両変異体と比較した
オミクロン型変異体に関する臨床研究が
2021年12月30日、米国医学専門誌JAMAに
報告されました。
それによると、オミクロン型の全感染者の
約32%に急性呼吸器疾患が認められ、
同約18%の感染者がICU(集中治療室)に
入院し、エクモ(人工心肺装置)を含む
酸素供給治療が行われました。
全感染者での死亡率は約3%で、同約24%
がワクチンを2回接種していました。
感染者の平均年齢は36歳と若く、また、
これまでの感染者は男性が多かったのです
が、オミクロン型は男性が39.2%、女性は
60.8%でした。
これまでのウイルス変異体の潜伏期間は、
4.8日から5.1日でしたが、オミクロン型の
潜伏期間は3日とされ、明らかに短い。
東京都の第6波の感染状況をみても、
全感染者の約62%が20~30代。
約48%がワクチンを2回接種していました。
南アフリカと日本では、カルチャーも
医療体制も異なります。
しかし、両国のオミクロン型の感染状況
から言えることは、「30代などの若い
年齢の人々への感染」「ワクチン2回接種
者へ高頻度の感染」「女性感染者が多い」
という共通事項が認められます。
欧米では、オミクロン型の感染者には、
痒みを伴う赤い発疹も確認されています。
また、これまでの変異体と同様、
息苦しさ(息切れ)、強い倦怠感、発熱、
下痢などの症状が認められ、日本人感染者
の報告では無症状の感染者は4%未満です。
これらのことから、オミクロン型は軽症
との印象がありますが、そうではないと
捉えるべきでしょう。
──「オミクロン株」はワクチンを2回接種
している人にも感染しますが、それでもワク
チン3回接種の効果はあるのでしょうか。
日本国内で現在、接種されているワクチン
は、従来型(武漢型)のスパイク糖蛋白質の
アミノ酸の情報を基本として作られています。
オミクロン型のスパイク糖蛋白質は、従来型
の30か所のアミノ酸変異を有しています。
そのため、スパイク糖蛋白質の立体構造
(骨格)は、従来型とオミクロン型では異なり
ます。
諸外国の臨床研究によると、オミクロン型
に対するワクチン(ファイザー、ビオンテック)
の免疫効果は約10%でしたが、ファイザーの
ワクチン3回接種による免疫効果は約70%あり、
ファイザー2回とモデルナ1回接種による免疫
効果は約80%だったと報告されています。
ワクチン接種回数による入院リスクは、1回が
48%、2回が28%、3回が12%なので、おそ
らくワクチンの3回接種がオミクロン型の
感染拡大を防止する方法の1つと考えられます。
──日本政府は3回目接種を呼び掛けています
が、なかなか進んでいません。
残念ながら、現在も日本国内でワクチンを
製造販売していません。
そのため、日本政府は海外からワクチンを購入
しなければならず、(ワクチンを製造販売して
いる)ファイザー社やモデルナ社と交渉が必要。
さらにEU(欧州連合)ともワクチン配分などに
ついて相談しなければならない。
つまり、他の先進国と比べてワクチンの輸入に
時間がかかるわけです。
■ワクチンの3回接種が好ましい
──ワクチンの3回接種が呼び掛けられる
一方で、世界にはブースター接種を繰り返す
戦略を「適切ではない」との声もあります。
ワクチン接種の普及において、現在、
世界的な偏りが生じています。
欧米ではワクチンの2回接種が一般的ですが、
アフリカや南米ではワクチンの1回接種が
10%未満の国もある。
1月13日時点で、アフリカ国民の85%以上
がいまだに1回もワクチンを接種していない
のです。
そのためWHO(世界保健機関)は、COVAX
(ワクチンを共同購入し途上国などに分配
する国際的な枠組み)を中心にアフリカ
55か国へのワクチンの配給を欧米に呼び掛け
ています。
WHOは昨年12月22日の会見でも、欧米で
遂行しているワクチンの3回接種よりも、
アフリカ55か国に対するワクチン配給優先
を強く主張しています。
──デルタ型とオミクロン型の両方の特徴を
併せ持つ新たな変異株「デルタクロン株」の
報告もありますが、引き続き感染防止に向けた
具体策は何でしょうか。
WHOが今後、この新規ウイルス(デルタ
クロン株)の感染者などへの疫学調査を行い、
医学的な性質が精査されると思います。
その調査結果によって、「懸念される変異株
(VOC)」や「注目すべき変異株(VOI)」
に分類されるでしょう。いずれにしても、
日本政府は(引き続き)水際対策を強化する
のが好ましいと思います。
先ほどワクチンの効果について説明した
通り、感染予防のためには機会があれば
ワクチンの3回接種が好ましいと思いますが、
副反応も認められるため、不安を覚える人は
接種会場などの医療担当者に相談した方が
いいでしょう。
また、非布マスクの着用と人混みを避ける
ことが、最も安価で簡単な感染防御方法だと
思います。
(聞き手=遠山嘉之/日刊ゲンダイ)
【転載終了】
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若者、女性は十分注意しましょう!
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