自動車部品大手「マレリ」が事業再生ADR申請へ・・・
日刊ゲンダイDIGITAL
【転載開始】
■自動車部品大手「マレリ」が
事業再生ADR申請へ・・・日産の業績悪化
とEV普及で窮地に
公開日:2022/02/19
大手自動車部品メーカーのマレリ
ホールディングス(旧カルソニックカンセイ)
が3月上旬にも、第三者機関に事業再生ADR
(裁判外紛争解決手続き)の活用を申請する。
マレリは25を超える金融機関から融資を受け
ており、その中には中国やシンガポールの
銀行もある。これが難題だ。
事業再生ADRを申請する際、
すべての金融機関の同意が必要になるからだ。
マレリの2020年12月末時点の借入額は
約1兆1000億円あり、メインバンクの
みずほ銀行が200億円のつなぎ融資をするほか、
みずほ銀と日本政策投資銀行は、マレリが両行
に預ける400億円の預金の取り崩しを認める。
また、3月以降に返済期日を迎える約500億円
の返済を繰り延べる。
みずほ銀などメガバンク3行は
21年10~12月期にマレリの債務者区分を引き
下げ、貸倒引当金を積み増している。
最悪の事態に備えたわけだ。
このほか、みずほ銀の親会社の
みずほフィナンシャルグループ(FG)は
21年4~12月期決算で、貸し倒れに備えて
引き当てる与信費用を同年9月中間決算時と
比べて約1000億円を積み増した。
■次世代車向け製品を売り込む戦略を
描いていたが・・・
旧カルソニックは日産の連結子会社
だった。
日産前会長のカルロス・ゴーン被告が
系列切りを断行した際も、カルソニックだけ
は残したと言われるが、その後、処分対象と
なった。
2016年、日産はカルソニックの全株式を
米投資ファンド、コールバーグ・クラビス
・ロバーツ(KKR)に売却すると発表。
KKRは関連会社を通じ、総額約4893億円で
株式公開買い付け(TOB)を実施し、
カルソニックを完全子会社とする一方、
18年には欧米自動車大手フィアット・
クライスラー・オートモービルズ
(現・ステランティス)の自動車部品部門
だったマニエッテイ・マレリを58億ユーロ
(約7200億円)で買収すると発表。
翌年に買収が完了し、カルソニックと
マニエッテイ・マレリが経営統合して社名
をマレリに変更した。
カルソニックの社長兼CEOのベダ・
ボルゼニウス氏がマレリのCEOに就任。
事業会社マレリ株を100%保有する持ち株
会社がマレリホールディングスである。
旧カルソニックは自動車の空調システム
やコックビット製品を製造。
旧マニッテイ・マレリはモーターなど
EV向け製品に強い。
統合したマレリは、マニエッテイ・マレリ
の知名度を生かし、自動車各社に
次世代車向け製品を売り込む──という
シナリオを描いていたものの、
20年12月期の売上高は約1兆2000億円で、
最終損益は282億円の赤字だった。
21年12月期も数百億円規模の最終赤字
だったとみられる。
■EV普及で戦略の見直しを求められる
部品メーカー
マレリの不振はかつての親会社で、
主要取引先の日産の業績悪化があると
される。
ゴーン前会長が巨額報酬をめぐる不正事件
で18年11月に逮捕され、公判中に
レバノンへ逃亡し、日産の経営は大混乱
に陥った。
日産の生産台数はピーク時に
年間570万台規模まで拡大したが、
現在は380万台まで縮小。
200万台の減少は系列部品メーカーに
とっても厳しいだろう。
マレリは20年5月、KKRやみずほ銀など
国内大手行から計1300億円の資金を調達。
世界的な半導体不足など供給制約で生産の
回復が遅れる中、さいたま市の本社売却や
生産拠点の統合など経費削減を進めてきた。
一方、緊急的支援を要請された日産は
カルソニックの再建に前向きではなく、
マリルが抱えている在庫の引き取りや受注
の確約、海外工場の撤退に伴う費用負担
などを求めたという。
日産は他の部品メーカーからの納品も
滞っている状況といい、マレリからの部品
の買い取りを留保しているとも伝えられる。
昨年、マレリのベダ・ボルゼニウス
最高経営責任者(CEO)が辞任し、
親会社KKRのパートナーある
ディシュ・パリワル氏がマレリの経営に
当たるが、果たして経営危機に陥った
マレリの転売先を見つけられるのだろうか。
脱炭素の流れを受けて、EVの普及が急激
に進むとみられ、今後、自動車部品メーカー
の経営は一段と厳しくなるとみられる。
ガソリンエンジンではないEVは多くの部品
を必要としないため、部品メーカー各社は
EV化のための製品の見直しや巨額な
設備投資が求められることになる。
自力でEVのための資金を確保するのは
大変だ。
マレリはEVシフトの荒波に沈んでしま
うのか?
世界の自動車部品メーカーのトップが
今後の展開を注視している。
【転載終了】
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EV化に向けていく段階でのイヤな
ニュースですね。
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