これがニッポン「階級社会」だ・・・
現代ビジネス
【転載開始】
平均年収186万円…日本に現れた新たな「下層階級」の実情
これがニッポン「階級社会」だ
橋本 健二 早稲田大学教授 格差社会研究
■平均年収186万円の人々
いま日本の社会は、大きな転換点を迎えている。
格差拡大が進むとともに、巨大な下層階級が姿を
現わしたからである。
その数はおよそ930万人で、就業人口の約15%を
占め、急速に拡大しつつある。
それは、次のような人々である。
平均年収はわずか186万円で、貧困率は38・7%
と高く、とくに女性では、貧困率がほぼ5割に達して
いる。
貧困と隣り合わせだけに、結婚して家族を形成
することが難しい。
男性では実に66・4%までが未婚で、配偶者がいる
のはわずか25・7%である。女性では43・9%までが
離死別を経験していて、このことが貧困の原因に
なっている。
生活に満足している人の比率も、また自分を幸せ
だと考える人の比率も、きわだって低い。
健康状態にも問題がある。
4人に1人は健康状態がよくないと自覚している。
心の病気を経験した人の比率は、他の人々の3倍
近い2割に上っている。
そして多くが、「絶望的な気持ちになることがある」
「気がめいって、何をしても気が晴れない」
「自分は何の価値もない人間のような気持ちになる」
と訴える。
暗い子ども時代を送った人が多い。
いじめにあった経験をもつ人が3割を超え、不登校
の経験者も1割に達し、中退経験者も多い。
支えになる人も、少ない。
親しい人の数は少なく、地域の集まりや趣味の
集まり、学校の同窓会などに参加することも少ない。
そして将来の生活に、過半数の人々が不安を感じて
いる。
どんな人々か。パート、派遣、臨時雇用など、
身分の不安定な非正規雇用の労働者たちである
(技能職・建設職など)。
仕事の種類は、マニュアル職、販売職、サービス職
が多い。
平均労働時間はフルタイム労働者より1-2割少ない
だけで、多くがフルタイム並みに働いている。
■なぜアンダークラスが誕生したか
資本主義社会の下層階級といえば、かつては
プロレタリアート、つまり労働者階級と相場が
決まっていた。
自営業者などの旧中間階級を別とすれば、
資本主義社会を構成する主要な階級は、経営者
などの資本家階級、専門職・管理職などの新中間
階級、そして労働者階級であり、労働者階級は
最下層のはずだった。
ところが同じ労働者階級であるはずの正規雇用の
労働者は、長期不況にもかかわらず収入が安定し、
貧困率も低下してきている。
労働者階級の内部に巨大な裂け目ができ、
非正規労働者は取り残され、底辺へと沈んでいった
のだ。
新しい下層階級=アンダークラスの誕生である。
アンダークラスはこれまで、とくに米国で、都市の
最下層を構成する貧困層を指す言葉として使われ
てきた。
しかし格差が拡大するなか、日本にも正規労働者
たちとは明らかに区別できるアンダークラスが誕生し、
階級構造の重要な要素となるに至ったのである。
こうして生まれた新しい社会のあり方を「新しい
階級社会」と呼ぼう。
2015年に全国の1万6000人、2016年に首都圏に
住む6000人を対象に行なった調査の結果、
資本主義のメインストリームに位置する資本家階級、
新中間階級、正規労働者という三つの階級の間
には格差や差異が依然として存在するものの、
これらとアンダークラスは、あらゆる点で異質である
ことが明らかになった。
■「新しい階級社会」の正体
それは、程度の差はあれ安定した生活を送り、
さほど強い不安もなく、満足や幸せを感じながら
生きることのできる人々と、これができない人々
の違いである。
『新・日本の階級社会』は、その膨大な分析結果の
エッセンスを詰め込んだものである。
アンダークラスは現状に強い不満を抱き、
格差の是正を求めている。
これに対してメインストリームの三階級は、格差や
貧困を容認する傾向が強く、アンダークラスと対立
している。
メインストリーマーたちを前に、アンダークラスは
あまりにも無力である。
しかし希望もある。実は同じように低賃金で働く
パート主婦、資本主義から距離を置く専業主婦、
そして大資本との競争に苦しむ旧中間階級は、
格差に対するスタンスで、アンダークラスに接近
している。
所得再分配によって格差を縮小させ、貧困を解消
するための政策を支持する傾向が、アンダークラス
と同じくらいに強いのである。
新しい階級社会に生まれた、新しい政治的対立軸
である。
また新中間階級と正規労働者は、格差拡大を
容認する傾向が強いといっても、一枚岩ではない。
その内部には、格差拡大に反対して所得再分配を
支持し、同時に他民族との協調と平和主義の立場
に立つリベラル派が、かなりの比率で存在している。
国政は自民党の一強支配が続いているが、
その支持基盤は意外に強くない。
自民党を積極的に支持しているのは、民族排外主義
と軍備優先、そして自己責任論にもとづく格差拡大
容認論に凝り固まった一握りの人々であり、
それ以外は、必ずしも強く支持するわけではない
穏健保守とでもいうべき人々である。
また、かつては貧困層にまで広がっていた自民党
の支持基盤は、格差拡大の進むなかで次第に浸食
され、富裕層に大きく偏るようになっている。
とくに旧中間階級は、かつては自民党の強固な
支持基盤だったが、近年では自民党支持率が
低下し、野党支持が他の階級より多くなっている。
現状を変えるために必要なのは、格差縮小を
一致点として、アンダークラス、主婦、旧中間階級、
そして新中間階級と労働者階級のなかのリベラル派
の支持を、一手に集めることができるような政治勢力
を形成することだ。
すでに支持基盤は形成されつつある。
多くの人々が、新しい政治勢力の登場を待ち望んで
いるのである。
【転載終了】
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かつての社会党に変わるのは“立憲民主”ということ
になりますかね。
中間層というのは、アメリカでいう中産階級であり、
現在のアメリカは格差が大きく、貧困層が拡大しました。
同じことが日本でも起こっています。
ただ、一つ違うのはアメリカは世界一の経済大国であり、
市場も大きいことです。
日本は経済大国としいて世界二位の地位を長く築いて
きましたが、現在は中国に抜かれています。
ここでも中国は市場の大きさという武器を持っています。
小泉政権から安倍政権にバトンタッチされて貧困政策
が行われてきました。
高齢世帯と若年層世帯に貧困が広がっており、
今後の日本経済には明るい材料が見当たりません。
個人的にも、契約社員を4年経験しましたが、
何も買えませんので、内需が落ち込むのも当たり前です。
日本の経済は中間層が支えていたんです。
生活保護世帯が過去最高になり、安倍政権下で悪い
数字ばかりが増えていきます。
国が荒れているのも貧困の影が濃くなっているからで
しょうかね?
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