下町ボブスレー問題でジャマイカバッシング! 背景に右派メディアと安倍応援団・・・
LITERA
【転載開始】
下町ボブスレー問題でジャマイカバッシング!
背景に右派メディアと安倍応援団の「日本スゴイ」
の虚妄寄り抜粋
■ジャマイカが下町ボブスレーよりラトビア製を
選んだのは当然
いったい彼らは、自分たちがどんなみっともない
ことを言っているのか、わかっているのだろうか。
そもそも、オリンピック直前の大事な時期に
アスリートが記録を一秒でも早くするため、
ウェアや道具を変えたいと言うのは当たり前の
話だ。
スポーツジャーナリストの二宮清純氏も、
8日放送『バイキング』(フジテレビ)において、
感情的にジャマイカバッシングに走るのを
いさめるこんなコメントをしていた。
「これ一般論で言いますとね、よくある話でしてね、
たとえば水泳なんかでよくあるんですけど、ある国
の連盟がA社の水着と契約をしていると、ところが、
オリンピックの直前になってB社の水着のほうが
良いとかって言って、選手がB社の水着で出る
場合とかあるんですね。(中略)オリンピックは
4年に1回あるわけですから」
実際、ラトビア製のソリは性能が高く、
平昌五輪の開催地である韓国も自国企業の
ヒュンダイがソリを開発していたのにも関わらず、
男子2人乗りはラトビア製を使用することを決定した。
しかも、今回のジャマイカのケースには、
無理からぬ経緯があった。
今回の発端は、昨年12月、ドイツで行われた
ワールドカップで起きた不測のトラブルだった。
輸送機関のストライキのため下町ボブスレー製
のソリを現地に届けることができず、
ジャマイカチームは急きょラトビア製のソリを使う。
すると急激に成績が伸びたことから、オリンピック
出場権を獲得するまでの大事な局面はそのまま
ラトビア製で戦うことの許可を下町ボブスレー側
に打診。
下町ボブスレー側は渋々許可し、ジャマイカは
ラトビア製のボブスレーでそのままオリンピック
出場権を獲得した。
つまり、ラトビア製のボブスレーのほうが明らかに
性能が上で、そのおかげでジャマイカチームは
出場権を得ることができたのだ。
一方、日本製の下町ボブスレーは問題を
抱えていた。
6日付朝日新聞デジタルで、ジャマイカ・ボブスレー
連盟のクリスチャン・ストークス会長が
「1月に行われた2度の機体検査に不合格だった。
五輪でも失格の恐れがあった」と語っているのだ。
下町ボブスレー側は「すぐに修正できる細かい
違反だけ。一時は合格も出た。五輪には間に合う」
と反論しているが、少なくとも現段階で不合格に
なっていたことは事実であり、下町ボブスレーの
ソリを使いたがらなくなったのも致し方ないところ
だろう。
■安倍首相が「ものづくり日本」の象徴に担ぎ出した
下町ボブスレー
ようするに、今回の問題は下町ボブスレーの
ソリがラトビア製より劣っていたうえ、リスクが
あったため、やむをえず選択した結果だったのだ。
それを「契約」をふりかざし、途上国として支援が
必要な場合もあるジャマイカのような国に
「損害賠償」を請求するなんていうのは、先進国の
姿勢とは思えないし、オリンピックの精神からしても
ありえない。
メディアやネットは「下町の町工場の人たちの
義理人情をジャマイカは踏みにじった」などと騒いで
いるが、訴訟をちらつかせるいまの態度は「義理人情」
などではなく、むしろ最初から「宣伝とマーケティング」
目当てだったことを証明したようなものではないか。
いや、実際、そうなのである。この下町ボブスレーの
プロジェクトは、公益財団法人の大田区産業振興協会
が主導して立ち上げたもの。
「下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会」
の公式サイトに〈大田区や日本の技術がPRできるの
ではという想いからボブスレーに挑戦しました〉とある
ように、最初から宣伝のために企画し、技術力を世界
にアピールできるのと同時に、すぐに食い込みやす
そうなスポーツとして、マイナーなボブスレーに照準を
あわせたにすぎない。
また、下町ボブスレーは大田区の町工場で一から
十まで手づくりしているような物語が喧伝されているが、
肝心の部分は、大田区の町工場の技術ではない。
公式サイトにもあるように、炭素繊維強化プラスチック
(CFRP)製のボディ製作は、レーシングカー開発や
CFRP部品製造で有名な滋賀県の東レ・カーボンマジック
(前・童夢カーボンマジック)、空力解析は株式会社
ソフトウエアクレイドル、ランナーと呼ばれるボブスレーの
刃の部分の設計に関しては東京大学大学院・工学系
研究科の加藤孝久教授が担当しており、下町とはなんら
関わりのない、大きい規模の企業や組織も複数参画して
いるのだ。
しかも、この下町ボブスレーは安倍政権も全面的に
バックアップしてきた。
その歴史はソチオリンピックのときまで遡る。
13年2月の衆議院本会議における施政方針演説で
安倍首相は「小さな町工場からフェラーリやBMWに
果敢に挑戦している皆さんがいます。自動車では
ありません。東京都大田区の中小企業を経営する
細貝さんは仲間とともにボブスレー競技用ソリの
国産化プロジェクトを立ち上げました。世界最速
のマシンをつくりたい。30社を超える町工場が
これまで培ってきたものづくりの力を結集して、
来年のソチ五輪を目指し、世界に挑んでいます。
高い技術と意欲をもつ中小企業、小規模事業者
の挑戦を応援します」と紹介したのだ。
こういった流れを受け、13年から15年にかけて、
下町ボブスレーは経済産業省のバックアップも
受けることになる。
「JAPANブランド育成支援事業」に採択され、
上限2000万円とされる補助金も交付されることに
なったのだ。
■右派系教科書に紹介された安倍首相の
下町ボブスレー写真
また、下町ボブスレーは安倍首相に近い右派系
教科書にも紹介されている。
安倍応援団のひとつである「日本教育再生機構」
元理事が監修者に名を連ね、安倍首相の写真を
掲載していたことで問題になった「教育出版」の
小学校道徳教科書に、下町ボブスレーのソリに
乗り込んで上機嫌に笑う安倍首相の姿が掲載
されたのだ。
さらに、16年7月には下町ボブスレープロジェクト
のメンバーが官邸に招かれて面会。
安倍首相はそこで「工場は小さくとも、技術をもって
日本のものづくりの底力を見せつけていただいた。
困難を乗り越え、ジャマイカチームの採用を勝ち
取ったことはすばらしい。日本の技術、力を世界に
発信する象徴になる」
(ウェブサイト「産経ニュース」より)と語ったという。
ようするに下町ボブスレーは、下町どころか、
政府も一体となってのかなり政治的なプロジェクト
だったのだ。
実際、右派メディアや安倍応援団、ネトウヨたちは
「日本スゴイ」のひとつとして、この下町ボブスレーを
賞賛し、煽ってきた。
ところが、蓋を開けてみると、一番肝心の“速さ”や
“信頼性”、つまり純粋に「ものづくり」の問題で、
下町ボブスレーはオリンピック直前、ラトビアという
小国の製品より低い評価を受け、その製品に
取って代わられそうな状況になってしまったわけだ。
そのこと自体については、ボブスレーに取り組んだ
歴史の浅さやさまざまな偶然も影響しており、別段、
恥とは思わない。だが、問題はその後の対応だ。
性能の差を受け入れず、大会前の大事な時期にも
関わらずジャマイカチームに訴訟までちらつかせた
「下町ボブスレーネットワークプロジェクト推進委員会」
や、「日本スゴイ」のちっぽけなプライドを守らんがため、
ものづくりでの敗北を見て見ぬ振りをし、陰謀論まで
駆使してジャマイカバッシングに走るメディアやネットを
みていると、それ自体が最大の“恥さらし”としか思え
ないのである。
そして、それは、日本が先の戦争で犯した侵略行為
や戦争犯罪を直視せず、「あの戦争は正しかった」
「GHQによる自虐史観だ」とがなりたてる歴史修正
主義者の姿勢とも重なってみえる。
「日本の誇り」なる虚妄へのこだわりはけっして尊敬を
集めない。
逆に国際社会からの軽蔑を生むだけだということを、
私たちはもっと自覚すべきだろう。
(編集部)
【転載終了】
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昨日、
「ビール会社がジャマイカ・ボブスレーチームを救済」
という記事を読んでくださった方が貴重な情報を
くださいました。
記事中にもありますが、下町で作っているのは、
ボブスレーの底の金具部分のみで、コックピット
部分は、大手メーカー製。
刃の部分は東大教授の設計のようです。
下町ボブスレーチームは、何もやってないのに
等しいですね。
本当の「下町ボブスレー」はラトビアの6人の会社
だということは以前記事にしています。
あまり賠償問題などで騒ぐと、海外紙が報道し、
大恥をかくことになりそうですね。
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