介護に直面 40代に突入する氷河期世代・・・

毎日新聞


【転載開始】

■<労働>介護に直面 40代に突入する氷河期世代

  2/18(日) 配信


 就活時、マクロ経済の悪化で就職できなかった

就職氷河期世代が40代になろうとしています。

少子化による人手不足で採用環境が改善する

一方で、スタート時点で仕事の経験を積むチャンス

を失った30代後半~40代前半世代の中には、

非正規雇用のまま、疎外感を味わいながら働いて

いる人が多くいます。

そんな彼らの窮状が、一橋大学経済研究所の

小塩隆士教授の研究で明らかになりました。

ライターの西川敦子さんがリポートします。

                【毎日新聞医療プレミア】


 ◇就活時の挫折体験がその後の幸福度に大きく関係


 就活での挫折体験が、その後の人生における

幸福度に影を落とす--。

一橋大学経済研究所の小塩隆士教授らは、

全国レベルのインターネット調査(男性3117人、

女性2818人対象)に基づいて行った研究

(2011~15年プロジェクト)で、こんな傾向を

明らかにした。


 「目的は、初職(社会人になった時の就職状況)が

その後の人生にどのような影響を及ぼすかを探る

ことです。とくに、正規雇用以外の人の就業状況、

所得、婚姻状態、さらにメンタルヘルスについて

分析しました」(小塩さん)


 研究によれば、初めての仕事が非正規雇用だと、

その後の非正規のキャリア期間が長くなり、

現在の仕事も非正規である確率が高まるという。

15年の総務省調査によると、不本意非正規

(正社員として働きたいがその機会がなく、

非正規雇用で働いている人)は約315万人にのぼる。


 また小塩さんの調査では、現在の生活満足度に

ついて「不満」と答えた人は、男性の場合、

初職が正規雇用なら43%だが、非正規雇用は62%と、

正規を大きく上回った。女性も専業主婦・主婦パートを

除くと、正規は41%で、非正規は45%だ。


 米国の経済学者カーンは、就職時のマクロ経済状況

が良好でないと、その後の賃金、昇格が不利になると

いう研究結果を発表しているが、氷河期世代で正社員

の職に就けなかった人は、まさにその例に当てはまる。


 ◇「初職が非正規」の人は抑うつ度が高い


 もうひとつ研究で明らかになったのは、

「社会人生活を非正規としてスタートした人は、

抑うつの度合いも高い」という事実だ。


 「それでなくても、一般に非正規社員は正社員より

所得が少ない。その分、メンタルが悪化しやすいこと

は容易に想像がつくのですが、たとえ所得が同じ水準

であったとしても、正社員と非正規とでは、非正規の

ほうがストレスを抱えやすいことが浮き彫りになり

ました」(小塩さん)


 調査結果をもとに、「ケッスラーの6」という尺度で

メンタルストレスを測ったところ、現在の所得などの

影響を差し引いて分析しても、初職が非正規の男性

の数値は、初職が正規の男性の約1.27倍だった。


 面接のたびに人格を否定されたと感じたことで深く

傷つき、立ち直れなくなってしまった人もいるだろう。

労働問題に取り組むNPO法人POSSE(ポッセ)の

調査によれば、11年時点で、就活生の7人に1人が

うつ状態だった。


 「親からの虐待や学校でのいじめを受けた子どもは、

大人になっても幸福感を得にくいとされます。それと

同様に、就職氷河期の過酷な経験が、長く尾を引く

場合があるのではないでしょうか」


 そのうえ、非正規労働者は将来の雇用不安を常に

抱えている。年金や保険などのセーフティーネットも、

正社員に比べればもろい。

「老後はどうなるんだろう」「病気になったら……」と

いう心配は、年齢を重ねるごとにリアルなものに

なっていく。

何より、組織や社会からの孤立感、疎外感は、

人によっては自己肯定感を打ち砕き、根の深い

悲しみや怒りとなる。


 ◇出会いの少ない派遣女子と「稼げない」非正規男子


 ただし、非正規といってもひとくくりにはできない。

小塩さんは「表現が適切かどうかわかりませんが」と

断ったうえで、「女性の場合、ライフコースは人に

よってさまざま。正社員、あるいは高収入男性と

結婚している“勝ち組非正規”と、未婚の“負け組

非正規”とでは大きく状況が異なります」と指摘する。


 「子育てがひと段落し、家計補助 のために働いて

いる主婦と、大学卒業後、正社員としての就職が

決まらず、派遣社員の収入で生計を立てている未婚

女性とでも立場は違います。後者のほうがよりストレス

フルな状況にあると推測されます」


 研究では、初職の状況と未婚率の関係についても

分析した。

その結果、初職が非正規だった人は、男性だけでなく

女性でも未婚率が高まることが判明している。


 なぜ、非正規の女性は結婚しづらいのか。

小塩さんは「出会いの場が限られるからではないで

しょうか」という。

正社員は研修や職場の飲み会など、社内ネットワーク

に参加できるが、非正規はコミュニティーから締め

出されがちだ。

その分、どうしても結婚相手を見つけにくくなってしまう。


 非正規の男性は、さらに厳しい現実に直面している

のは言うまでもない。

女性のようにライフコースの選択肢がなく、最初の就職

で失敗すると、軌道に戻るのが難しくなるのが日本の

雇用の現実だからだ。

収入面から結婚も難しくなる。

小塩さんが行なった調査によると、男性の場合、

初職が正規だった人の平均年収は550万円、

非正規だった人は332万円で、200万円以上の

差があった。


 国が「標準世帯」を「会社員の夫と専業主婦の妻、

子ども2人」と定義したのは1969年。

共働き世帯の数が専業主婦世帯を大きく上回る今、

まったく現実的なモデルとはいえないが、

「男は就職して妻子を養うもの」という一種の社会的

規範は、いまだに日本の男性たちをがっちり縛っている。


 もちろん、あえて自由な働き方、生き方を選ぶ人も

増えている。

だが一方、正社員になれず、結婚できない氷河期世代

の生きづらさは、この国ならではの時代錯誤な規範

から生まれているのかもしれない。


 ◇「わなシナリオ」からの脱却を


 壮年期に達した氷河期世代を待ち受けているのは、

親の介護問題だ。


 「実はライフイベントのうち、もっとも精神的負荷が

高いのは、失業や離婚ではなく親の介護です。特に

在宅介護の場合は、仕事と両立するのが難しくなり、

生活が成り立たなくなる人も出てくるでしょう。今の

うちに手を打たなければ、大量の介護失業者が

あふれるかもしれません」


 労働契約法の改正で、勤務5年を超える有期契約

労働者は、申し込みをすれば無期労働契約ができる

ようになった。

といっても、正社員になれるわけではなく、雇用形態は

あくまで契約社員や派遣社員、パート、アルバイトだ。

さらに法制度を整備し、同じ仕事内容であれば、

賃金水準も同じとする「同一労働同一賃金」の議論も

もっと進めるべきだと、小塩さんは訴える。


 キャリアについても今のモデルからの転換を図ら

なくては、という。


 「ヨーロッパでは、大学卒業後の数年間は期間限定の

契約社員として働き、ウオーミングアップした後に正規

の仕事に就く、というパターンが一般的。この就業

パターンは、ステップ・バイ・ステップでキャリアを築ける

ことから『踏み石シナリオ』と呼ばれています。これに対し、

初職で非正規の仕事に就くと、そこから抜け出せない

日本のようなパターンは『わなシナリオ』。非正規割合は

今や労働者の40%に達しています。これだけ多くの人が

“わな”に捕らえられながら生きている現状を、これ以上

放置すべきではありません」


 労働人口のボリュームゾーンに当たる氷河期世代。

彼らのメンタルの悪化は、国としての健康度の悪化を

示すサインでもあるのだ。


【転載終了】

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 前から気になっていたのが、40代の5割が

安倍内閣支持ということですが、安倍内閣は、

どう見ても福祉を切り捨てています。


 40代が親の介護するときには、施設に入る

にも可なり難しくなると思われます。

必然的に息子さんが退職して介護せざるを得ない

ケースも出てきます。


 私は50代後半から両親の介護をしていますが、

60代になってから、病院通いが週の半分とか、

一日に病院の梯子とかはザラです。


 妻とも話すことがあるのですが、失礼ながら

次男とか三男とかの方たちは、ご夫婦揃って

介護の大変さの認識の薄い方が多いですね。


 体力的なこともありますが、一番は精神的な

負担です。


 歳老いた親は子育てより大変です。


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