「役所に全責任を押し付けるやり方の限界を、二階氏が認知し始めた」

AERA dot.連載「eyes 浜矩子」


【転載開始】


■「役所に全責任を押し付けるやり方の限界を、

 二階氏が認知し始めた」


 経済学者で同志社大学大学院教授の

浜矩子さんの「AERA」巻頭エッセイ「eyes」

をお届けします。

時事問題に、経済学的視点で切り込みます。


*  *  *


 おやと思う発言がテレビの中から聞こえて

きた。

自民党の二階俊博幹事長が

「国民の皆さんに自民党の立ち直った姿を

見ていただけるよう、全力を尽くす」という

趣旨のことを言っていた。

テレビの前を通りすがりながらで、メモを

しそこねたから、正確な引用ではない。

だが、「自民党の立ち直った姿」のくだりが

強く印象に残った。

他にも、耳にされた方がおいでだろうと思う。


 二階氏は、少し前に、このところの国会の

状況に「うんざり」だとも言っていた。

あの時も少しほぉー、と思った。

あの言い方の中にも、自分の政党の体たらく

に関する嘆き節が感じられた。

かなり参っているのだろう。


 ついにはセクハラ問題まで飛び出した

財務省。

そして文部科学省に厚生労働省に防衛省。

メルトダウンが極まってきた中央官庁の世界。

二階発言は、この有り様を自民党問題として

受け止めている。これが面白い。

本気なのかもしれないし、芝居なのかもしれ

ない。

どっちであっても、面白い。


 何でもかんでも役所の不始末で片づけよう

とする。

政府と自民党のこの姿勢が、国民のひんしゅく

を買っている。

さすがに、このことに気づいてきたのだろう。

本気なら、深い反省が「立ち直った姿」という

表現となってにじみ出てきたと考えられる。

芝居なら、深く反省しております、という

アリバイづくりだ。

いずれにせよ、役所に全責任を押し付ける

やり方の限界を、二階氏が認知し始めたと

いうことだ。

自分たちは、役所の腐敗の犠牲者だ。

そんな構えは、もはや通用しなくなっている。

ついに、この現実と向き合わざるを得なく

なってきた。


 瓦解(がかい)はアリの一穴から始まって

全体に及ぶ。

この構図をここまではっきり示してくれる場面

というのも、そうめったにあるものではない。

アリの一穴というには、森友問題も加計問題

も大きすぎる穴だった。

そもそも、あんなに大きな穴が二つもぽっかり

開くまで、自ら掘ってきた墓穴の深さに気づ

かなかったのが驚きだ。

それだけ、今の政府と自民党の内なる病弊も

また深いということだ。

もはや、アメリカにゴルフをしに逃げていけば

なんとかなる。というような段階ではない。


※AERA 2018年4月30日-5月7日合併号


【転載終了】

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 少しでも政権与党の政治家としての矜持が

あるならいいことですが。


LC=相棒's のじじ~放談!

時事関係や自動車関係などの記事を書いています。

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