カンヌ受賞の是枝裕和監督を祝福しない安倍首相を・・・
FIGARO
【転載開始】
■カンヌ受賞の是枝裕和監督を祝福しない安倍首相を、
フランスの保守系有力紙が痛烈に批判
2018年05月31日
5月22日、フランスの有力日刊紙『フィガロ』が
「日本政府にとって窮地・困惑」という見出しの
記事を掲載した。
そこには、是枝裕和監督が『万引き家族』が
カンヌ国際映画祭の最高の栄冠「パルムドール」
を受賞したことへの、安倍政権の対応について
書かれていた。(参照:「LE FIGARO」)
同記事では、リードで「是枝監督がカンヌ映画
祭でのパルムドール最高賞を受賞していたが、
海外での受賞に絶え間ない賛辞を贈るはずの
日本の首相は沈黙を保ったままだ」と書き、
その理由として「映画監督(是枝氏)が彼らの
映画作品やインタビューの中で日本の政治を
告発してやまない」ことをあげている。
そして、本文はこう続く。
「海外での優秀な賞を受賞した日本国籍の人
に対して、日本政府が称賛の意を慎むという
ことは非常にまれだ。2016年のノーベル医学
生理学賞を受賞した大隅良典氏、それに引き
続いてノーベル文学賞を受賞したカズオ・
イシグロ氏、そして、平昌冬季オリンピックで
メダルを獲得した日本人選手たち、かれらは
すべて安倍晋三首相から称賛され、賞を授与
されたものもいる」
■日本人が世界的な賞を受賞すれば、必ず賞賛
してきた安倍首相だが……
なるほど、確かに安倍晋三首相といえば、
平昌冬季五輪で羽生結弦・選手が金メダルの
栄冠に輝いたときは、羽生選手にすぐさま電話
を入れ、首相が電話している姿までわざわざ
公表した。
さらには、いまは日本国籍ではない作家の
カズオ・イシグロ氏が、ノーベル文学賞を受賞
した時もそうだ。
「このたび、カズオ・イシグロさんがノーベル
文学賞を受賞されました。誠におめでとうござ
います。長崎県長崎市のご出身で、小さい頃
にイギリスにわたり、作家活動を行ってこられ
ました。日本にもたくさんのファンがいます。
ともに、今回の受賞をお祝いしたいと思います」
というコメントを発表した。
安倍首相はさらに、東京工業大学の大隅良典
栄誉教授がノーベル医学生理学賞を受賞した
折には、公邸から電話し「日本人として本当に
誇りに思う。日本人が3年連続で受賞し、イノベー
ション(技術革新)で世界に貢献できたことを
うれしく思う」と祝福、会話の細かな内容までが
報じられた。
カンヌ国際映画といえばベルリン国際映画祭、
ヴェネツィア国際映画祭とあわせ、世界三大
映画祭の一つである。
そこでパルムドールを受賞した日本作品は
1997年の今村昌平監督『うなぎ』以来で、
21年ぶりの快挙だ。
世界で栄誉を得た日本人を「誇り」として賛辞して
やまなかった安倍首相は、今回ばかりは何故に
沈黙を続けるのか?
■是枝監督は政府に批判的だから無視された?
記事はその理由をこう解説する。
「『万引き家族』は、長編作品として保守的政府
への強烈な揶揄をした批評として受賞した。そして、
是枝映画監督はこの国の過去の政治文化に
対して強烈な批判をしてきた」
是枝監督は2016年9月、ウェブサイト
「Forbes JAPAN」のインタビューで、東京国際映画
祭についてこう述べている。(参照:「Forbes JAPAN」)
「残念ですが、東京国際映画祭はいまだ『日本
映画を売り込む場所』という認識が強い。国威
発揚としてオリンピックを捉えるのとまったく同じ
です。『映画のために』『スポーツのために』と
考える前に、『日本のために』を考えてしまう、
その根本の意識から変えていかないと、映画祭
もオリンピックも本当の意味での成功は成し
得ないと僕は思う。
助成も同じで、たとえばですが『国威発揚の
映画だったら助成する』というようなことにでも
なったら、映画の多様性は一気に失われてしまう。
国は、基本的には後方支援とサイドからの
サポートで、内容にはタッチしないというのが美しい
ですよね。
短絡的な国益重視にされないように国との距離を
上手に取りながら、映画という世界全体をどのよう
に豊かにしていくか、もっと考えていかなければ
いけないなと思います」
■フランスの保守系新聞が、日本の「自閉的」傾向を
暗に批判!?
つまり、安倍首相が進める「国威発揚」映画の
推進を暗に批判しているのだ。
さらに是枝監督は、海外メディアの取材で繰り返し
日本の「貧困バッシング」への違和感を吐露し、
日本を覆う国粋主義への警戒を表明している。
安倍政権が進める新自由主義的改革や日本の
右傾化に危惧を表しているのだ。
フィガロ紙は最後に、安倍政権の対応を痛烈に
批判した。
「カンヌ映画祭のあった日曜日に受賞した
是枝監督のインタビュー記事が、ながなが
と日本の映画雑誌で報道されても、安倍首相
及びその取り巻きの政治家からは一言も
言葉が発されなかった。その翌日、月曜日に
なって、是枝監督の受賞記者会見について
発したジャーナリストの質問に対して、ようやく
菅義偉・官房長官が『心から是枝監督の受賞
を讃える』と答えただけだった。この称賛を述べ
た口元には醜い虫歯が巣くっていた」
安倍第二次政権以降、「日本人はすごい、
日本はすごい」という自画自賛が蔓延し、
一方で安倍政権に対する批判めいたものには
「反日」「左翼」「売国」というレッテルが貼られる
ようになった。
フィガロ紙は奇しくも是枝監督のパルムドール
受賞にあわせて、日本社会の「自閉的」傾向に
違和感を表明したといえよう。
<文/及川健二(日仏共同テレビ局France10
日本支局長)>
【転載終了】
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これも、度々指摘される安倍首相の
幼稚さでしょう。
海外の安倍批判記事は日本メディアも
意図的に報道しない傾向がありますから。
これも「忖度」ですかね?
安倍首相、海外はあなたの行いを
よく見ていますよ、というか、リーダー
としての幼児性に?をつけています。
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