国債の取引が成立しない異常事態
小笠原誠治の経済ニュースゼミより。
【転載開始】
■国債の取引が成立しない異常事態
NHKニュース
債券市場では、長期金利の代表的な指標に
なる国債の取り引きが成立しない日が相次い
でいます。
日銀が、大規模な金融緩和の一環として、
大量の国債を買い入れた結果、いわば品薄に
なっているためで、専門家からは市場の機能
の低下に懸念の声も上がっています。
国内の債券市場では、今月11日と13日に
長期金利の代表的な指標になる償還までの
期間が10年の国債の売買が一日中成立せず、
値がつきませんでした。
国債の取り引きを仲介する「日本相互証券」
によりますと、取り引きが成立しない日は、
去年は1年間で2日でしたが、ことしはすでに
5日と2倍以上に増えています。
これは、日銀が5年前から続けている大規模
緩和の一環で大量の国債を買い入れてきた
結果、市場で取り引きされる国債が大きく減って
いわば品薄になっているためです。
今の金融緩和策は当面続く見通しで、
取り引きが成立しない日は今後も増えるとみられ
ています。
専門家からは「長期金利は国の財政の信用力
を見るうえでも重要な指標で、取り引きが低調に
なると、財政悪化に対する市場の懸念が見逃さ
れるリスクも出てくる」として、市場の機能の低下
に懸念の声も出ています。
要するに、国債市場は死んでしまっている、と。
市場関係者のなかには、どうせ取引は成立
しないのだから、システムを稼働するための
電気代が無駄だと指摘する者も出る始末。
このNHKのニュースでは、日銀が大量に国債
を買い上げて品薄になっているので、商いが
成立しにくくなっていると言っていますが、
それだけではないのです。
というよりも、日銀が市場の実勢を無視した
価格で国債を買い上げるようなことをしている
ので、こんな異常な事態になっていると言うべき
でしょう。
長期金利、つまり10年物国債の利回りを0%
程度に誘導する政策を取っているでしょう?
民間の投資家からしたら、そんなバカげた
条件で国債を保有することなど考えられません。
だから取引が成立しないのです。
しかし、今後、何らかの理由でインフレが起きた
場合に、日銀はどのように対応するのでしょうか?
その覚悟はできているのでしょうか?
物価が上がらないから超緩和策を取っている
のだ、というのがリフレ派の理窟なのでしょうが…
仮に今後、インフレが急に襲った場合、日銀と
してはインフレを抑えるために今度は金融を
引き締める必要があるのです。
そうでしょう?
一気に金融を引き締めると副作用が大きすぎる
ので、徐々にやるとしても、少なくても日銀による
国債の購入は控えざるを得ませんよね?
しかし、そうなると資金繰りに窮している日本
政府は、どうやって国債を民間部門に引き受け
てもらうのか、と。
今の国債の利回りは、いわばインチキだと
言っていいでしょう。
少なくても市場の実勢を反映したものでない
ことは明らか。
であれば、仮に、日銀が国債の買い入れを
ストップしたときには、その意味においても
金利は急上昇する筈。
仮に、金利の急上昇が起きるのを避ける必要
があると日銀が判断して、国債の買い入れを
継続するとしても、今度は、日銀はインフレを
抑えようとする気がないのかという批判が起きる
でしょう。
インフレになれば、その分、消費者の購買力
が削がれる訳ですから、国民から大ブーイング
が起きることが予想されるからです。
そうでなくても、余りにも異常な金融政策の
せいで、民間銀行の経営内容は悪化しています。
簡単に言えば、金利が低すぎて利鞘が稼げ
ないのです。
しかし、金融機関の経営基盤が脆弱では、
経済の健全な発展を望むことはできないのです。
日銀が冷静な判断に基づき、徐々に金融政策
を転換することが強く望まれるのです。
【転載終了】
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日銀の国債保有率は40%超に膨らんで
います。
日銀が購入したETF(上場投資信託)の
総額20兆1854億円とあわせて、双子の
リスクといえそうですね。
ネットでは、日銀黒田総裁の辞任を促す
署名運動も・・・
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