「日本の秘められた恥」伊藤詩織氏のドキュメンタリーをBBCが放送
BBC NEWS Japan
【転載開始】
■「日本の秘められた恥」
伊藤詩織氏のドキュメンタリーをBBCが放送
2018年06月29日
BBCは28日夜、強姦されたと名乗りを上げて
話題になった伊藤詩織氏を取材した
「Japan's Secret Shame(日本の秘められた恥)」
を放送した。
約1時間に及ぶ番組は、伊藤氏本人のほか、
支援と批判の双方の意見を取り上げながら、
日本の司法や警察、政府の対応などの問題に
深く切り込んだ。
制作会社「True Vision」が数カ月にわたり密着
取材したドキュメンタリーを、BBCの英国向け
テレビチャンネルBBC Twoが放送した。
番組では複数の専門家が、日本の男性優位
社会では、被害者がなかなか声を上げにくい
状況があると指摘した。
伊藤氏はその状況で敢えて被害届を出し、
さらには顔と名前を出して記者会見した数少ない
日本人女性だ。
伊藤氏は2015年4月に著名ジャーナリストの
山口敬之氏に強姦されたと、警察に被害届を
出した。
最初の記者会見を開いたのは、2年後の2017年
5月。
山口氏の逮捕令状が出たにもかかわらず逮捕が
見送られ、証拠不十分で不起訴処分となった
ことへの不服を検察審査会に申し立てたという
発表だった。
番組は、伊藤氏が「すごい飲み方」で泥酔して
吐いた、ホテルでのその後の性行為は同意の上
でのことだった――という山口氏の主張や反論と
あわせて、伊藤氏自身が語る2015年4月の経緯を、
現場となった都内のすし店やホテルの映像などを
差し挟みながら、詳細に紹介した。
当時以来初めて現場のホテルを訪れた伊藤氏が、
こわばった表情でホテルを見上げた後にしゃがみ
こみ、「これ以上ここにはいられない」と足早に
立ち去る姿も映している。
ニューヨークでジャーナリズムを学んでいた
伊藤氏は2013年秋、当時TBSワシントン支局長
だった山口氏とアルバイト先のバーで知り合った。
インターンの機会がないか問い合わせると、
山口氏からプロデューサーの職を提供できるので
就労ビザについて帰国中に相談しようと呼び出し
があったという。
日本酒を少し飲むと「気分が悪くなり、トイレで
意識を失った(中略)激しい痛みで目が覚めた。
最初に口にしたのは『痛い』だったかもしれない。
それでも止めてくれなかった」と語る伊藤氏は、
その後、ベッドの上で山口氏に覆いかぶさられ
息が出来なくなった際に「これでおしまいだ、
ここで死ぬんだと思った」と涙を流して語った。
さらには、抵抗する自分に山口氏が「合格だよ」
と告げたのだとも話した。
■首相に近い人物
番組では山口氏について、事件当時は日本の
有名テレビ局のワシントン支局長で、安倍晋三
首相を好意的に描いた人物伝の著者だと紹介した。
伊藤氏と山口氏を取材した記事を昨年12月に発表
した米紙ニューヨーク・タイムズのモトコ・リッチ東京
支局長は、山口氏と安倍首相の近い関係から
「この事件に政治的介入があったと考えられている」
と話した。
山口氏は疑惑を全て否定している。
番組は、山口氏が出演したネット座談会を紹介。
山口氏はそこで、伊藤氏が泥酔していたため仕方
なく宿泊先のホテルへ招いたと話した。
また番組は、性行為はあったが合意の上だったと
いう同氏の主張も伝えている。
番組はその上で、日本の刑法では合意の有無
は強姦の要件に含まれていないと説明。
暴力や脅迫があったと証明しなければ日本では
強姦とは認められないことにも言及し、性暴力の
被害者の多くが実際には恐怖で身がすくんで抵抗
できず、助けを呼ぶこともできないことにも触れた。
合意のない性行為はたとえ知人相手でも強姦なの
だという、欧米では徐々に常識となりつつある考え
方について、日本の大学生が教わったことがない
というやりとりも紹介した。
また、日本の強姦罪(現・強制性交等罪)は2017年
の法改正まで100年以上変わらず、強姦は窃盗より
刑罰が軽かったなど、日本社会で性暴力が軽視され
てきたことも法律の専門家などのコメントを通じて
語った。
番組はさらに、日本で性暴力の被害者が事件後
にいかに苦しむかも、伊藤氏や、伊藤氏が訪問した
別の日本人女性を通じて紹介した。
伊藤氏は番組で、都内唯一の性暴力被害者の
支援センターを訪問した。
自分の被害直後に電話をしたが、直接来なければ
相談を受け付けられないと言われた場所だという。
番組によると、この被害者支援センターは東京都
の人口1300万人に対して担当者が2人体制と人員
不足が目立ち、暴行直後に法医学的証拠を残す
ための「レイプキット」も提供できていない。
番組はこのほか、警察の問題にも触れている。
日本の警察における女性警官の割合はわずか
8%で、伊藤氏が事件直後に被害届を出した際も
男性警官に被害の詳細を証言しなくてはなら
なかったこと、複数の男性警官の前で警察署内
の道場のマットに横になり、等身大の人形相手
に事件を再現させられたことなどが取り上げら
れた。
「男性警官が人形を私の上に乗せて上下に動かし、
こういう様子だったのかなどと確認された」と伊藤氏
は話し、番組は、警察のこの捜査手法をセカンド
レイプだと非難する声もあると指摘した。
■女としての落ち度
2017年5月、伊藤氏は検察審査会に不服を申し
立てるとともに、記者会見でこの事実を公表した。
それ以降、伊藤氏がソーシャルメディアなどで
激しい中傷や非難を受け続けていることや、伊藤氏
の家族も中傷にさらされていることなども、番組は
紹介した。
伊藤氏が簡易版の盗聴探知機を買い求め、
自宅内を調べてみる様子も映し出した。
一方で番組は山口氏を擁護する人物として、
自民党の杉田水脈議員を取材した。
杉田議員は、ネット座談会などで伊藤氏を強く
批判している。
番組の取材に対し杉田議員は、伊藤氏には
「女として落ち度があった」と語った。
「男性の前でそれだけ(お酒を)飲んで、記憶
をなくして」、「社会に出てきて女性として働いて
いるのであれば、嫌な人からも声をかけられるし、
それをきっちり断るのもスキルの一つ」と杉田議員
は話している。
議員はさらに、「男性は悪くないと司法判断が
下っているのにそれを疑うのは、日本の司法への
侮辱だ」と断言。
伊藤氏が「嘘の主張をしたがために」、山口氏と
その家族に誹謗中傷や脅迫のメールや電話が
殺到したのだと強調し、「こういうのは男性のほう
がひどい被害をこうむっているのではないかと思う」
と述べた。
番組はその一方で、山口氏と安倍首相との関わり
から、野党議員の一部が警察捜査を疑問視して
超党派で「『準強姦事件逮捕状執行停止問題』を
検証する会」を立ち上げたことも触れた。
野党議員が国会で安倍首相に、逮捕中止について
知っていたかと質問し、首相が個別案件について
知る立場にないと反論する映像も紹介した。
■「黙っているよりはずっといい」
個別案件ではなく、日本政府の性暴力対策
全般について、番組は指摘を重ねた。
政府は昨年、初となる性犯罪・性暴力被害者
支援交付金を設置し、今年度は1億8700万円を
振り向けると発表した。
しかし番組によると、日本の半分の人口しかない
英国では、被害者基金の予算はその40倍だという。
日本政府は2020年までに各都道府県に最低
1カ所の支援センターを設置する方針だが、
20万人当たり1カ所という世界基準に沿うならば、
日本には635カ所必要になる。
伊藤氏が内閣府男女共同参画局を訪ね、
これについて質問すると、内閣府の職員は
「検証が必要だろうと思う」と答えた。
2017年9月に検察審査会が山口氏を不起訴相当
としたため、山口氏の刑事責任を問うことは不可能
になったことも、番組ははっきりと伝えた。
不起訴相当の知らせを受けた伊藤氏や家族の反応、
その後さらに民事訴訟で損害賠償を求めていく様子
も伝えている。
それでも、昨年秋に米映画プロデューサー、
ハービー・ワインスティーン被告(強姦および性的
暴行罪で逮捕・起訴)への告発から広がった
「#MeToo(私も)」運動を機に、伊藤氏への支持が
日本国内でも広がったことを番組は説明。
伊藤氏も変化を感じていると番組で話した。
「何か動きを起こせば波が起こる(中略)良い波も
悪い波も来るが、黙っているよりはずっといい」
■放送後の反響
番組が放送されると、ツイッター上ではハッシュタグ
「#japanssecretshame」を使った感想が次々と書き
込まれた。
英ウスタシャー在住のローナ・ハントさんは、
「女性として、そして引退した警官として、ショックで
呆然としている。詩織、あなたは本当の英雄
#JapansSecretShame」とツイートした。
ロンドン在住の「paulusthewoodgnome」さんは、
「強姦に対する日本社会の態度は本当に気がかりだ。
伊藤詩織のような人がほかにどれだけいるのか。
自分と自分を襲った人間にしか知られていない状態で。
ほぼ全方面から見下されながら、詩織は実に勇敢で
品位にあふれている。素晴らしい」と書いた。
アイルランド・ダブリン在住のルーシー・ホワイトさん
は、「私の『ぜったい行きたい』リストから、日本は
いきなり外れてしまった。#JapansSecretShameを
見ているけど、性的暴行を軽くあしらう態度にぞっと
している。
警察に女性は8%しかいなくて、強姦被害者が訴え出る
と、等身大の人形で事件を再現しなくてはならない」と
書いた。
アイルランド在住のシネイド・スミスさんは、
「#JapansSecretShameを見ている。ショックだし、
ものすごく心が痛い。何がいやだって、女性が
女性を攻撃してること。被害者を支えるんじゃなくて、
女性が彼女を責めてる……。犯罪を犯した男を責め
なさいよ!」と書いた。
英無料夕刊紙イブニング・スタンダードも番組を
取り上げ、「自分たちの居場所から、#MeTooは世界
の先進国ならどこでも同じようなインパクトがあったと
思い込むのは簡単だ。
とんでもない。この番組によると日本では、昨年10月
に暴露されたハービー・ワインスティーンの件への
反応は『ひっそりとした』ものだった」と書いた。
記事はさらに、無実を主張する山口氏が「詩織さんは
酔っ払っていたと言う。まるでそれで十分、正当化
されるとでもいうように」と書き、「負担も大きいが、
声を上げることは沈黙させられるよりも良かったと
(番組で伊藤氏は)結論する。彼女に耳を傾けよう」と
結んでいる。
英紙ガーディアンも番組のレビューを掲載。
「Japan's Secret Shameは、見るのがとても大変な
ドキュメンタリーだ。痛ましく、不愉快で、動揺させら
れる。このドキュメンタリーはそれに加えて、勇敢で
必要な、極めて重要な作品だ。プロデューサー兼
監督のエリカ・ジェンキン氏が、細心の注意と静かな
怒りを込めて作ったもので、女性への暴力や構造的
な不平等、差別といった大きな話題を、もっと小規模
で個人的な物語に焦点を当てて描いている」と紹介
した。
(編集部注――日本では「ワインスタイン」と表記
されることの多いワインスティーン被告の名前は、
本人や複数の関係者の発音に沿って表記しています)
警察庁では性犯罪被害の相談電話窓口として、
全国共通番号「#8103」を導入しています。
また、内閣府男女共同参画局でも性暴力被害者に
必要な情報を提供しています。
現在、43都道府県に「ワンストップ支援センター」が
設置されています。
「Japan's Secret Shame」は6月28日にBBCTwoで
英国内で放送された番組です。
6月29日現在、日本での放送は未定です。
【転載終了】
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まずいタイミングでの放送ですね。
ワールドカップで批判を浴びたことも併せて、
世界の日本に対しての印象が変わってきている
のも確かなことでしょう。
ましてや、安倍首相と司法の癒着、日本の
非常識まで指摘しています。
因みに、「日本の常識は、世界の非常識」
と言われていた時期もありましたね。
日本でこのドキュメンタリーを目にすること
はないと思いますが、このような番組が放映
されたことさえマスコミからは情報が流れない
かも?
文中の杉田水脈議員は、アベチルドレン
ですが、以前にも伊藤氏に対し、
「女として落ち度があった」と発言し、批判を
浴びていますが、日本の非常識の一人ですね。
「アベゲート事件」から「レイプ揉み消し疑惑」と
安倍政権の闇は海外にも知られています。
知らないのは当の日本国民だけかも?
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