黒田日銀も白旗 国民はアベノミクスの成果に騙されている
2018年8月1日 日刊ゲンダイ 文字起こし
【転載開始】
■黒田日銀も白旗 国民はアベノミクスの成果に騙されている
「3本の矢」とやらが放たれてから5年7カ月――。
ようやくデタラメのアベノミクスにピリオドである。
日銀は31日の金融政策決定会合で異次元
緩和の修正を決定。
長期金利が0.2%程度まで上昇することを
容認し、官製相場を支えてきたETF(上場投資
信託)の購入配分見直しも決めた。
禁じ手のマイナス金利の適用も縮小する。
異次元緩和の副作用で金融機関は収益悪化。
スルガ銀行はシェアハウス不正融資に突っ
走った。
年金保険の運用難も看過できないレベルまで
きていることを考えれば、遅すぎる判断だ。
会見した黒田総裁は
「想定よりも時間はかかるものの、物価上昇率
は徐々に高まる」と強弁したが、
「2年程度で物価上昇率2%達成を目指す」と
した目標は6度も先送り。
4月の金融政策決定会合では「2019年度ごろ」
としていた達成時期そのものを経済・物価情勢
の展望(展望リポート)から削除する事態に追い
込まれていた。
シグマ・キャピタルの田代秀敏チーフエコノミスト
は言う。
「黒田日銀は2%の物価目標を事実上、断念
したということです。注目すべきは、〈2019年
10月に予定されている消費税率引き上げの
影響を含めた経済・物価の不確実性を踏まえ、
当分の間、現在のきわめて低い長短金利の
水準を維持することを想定している〉とした政策
金利のフォワードガイダンスです。消費増税実施
までは現状を維持するけれど、その先は政策を
変更する余地がある、という含みを持たせている。
つまり、いずれ異次元緩和を手じまいするという
こと。急激な政策変更は猛烈な円高・株安を招き
かねないため、ケムに巻くかのような慎重な言い
回しにならざるを得ないのです」
黒田日銀は完全に白旗を揚げたのだ。
■2年で新旧「3本の矢」をすり替え
12年12月末の就任会見で、安倍はこう
息巻いていた。
「強い経済の再生なくして財政再建も日本の
将来もありません。長引くデフレによって、額に
汗して働く人たちの手取りが減っています。歴史
的な円高によって、国内で歯を食いしばって頑張
っている輸出企業もだんだん空洞化しています。
強い経済を取り戻す、これはまさに喫緊の課題
であります」
それで打ち出されたのが、「大胆な金融政策」
「機動的な財政政策」「投資を喚起する成長戦略」
を掲げたアベノミクスの「3本の矢」だった。
内需拡大で2%のインフレを達成すると宣言した
が、実現することなく棚上げ。
15年9月に「アベノミクスは第2ステージに移る」
とうそぶき、「新3本の矢」として「希望を生み出す
強い経済」「夢をつむぐ子育て支援」「安心に
つながる社会保障」を羅列。
GDP600兆円、希望出生率1.8、介護離職ゼロ
に目標をすり替えた。
16年5月のG7伊勢志摩サミットで「世界経済は
リーマン・ショック前に似ている」と大ボラを吹き、
「お約束と異なる新しい判断」とごまかして、
消費増税を先延ばしにしたのである。
アベノミクスはこうも無残なありさまなのに、
なぜ安倍の自民党総裁3選が既定路線化して
いるのか。
■労働人口減少、求人増はブラック業種ばかり
経済アナリストの菊池英博氏の試算によると、
労働者の実質賃金は年平均15万円もダウン。
5年間で75万円のマイナスである。
一方、個人消費(家計最終消費支出)は民主党
政権下の2012年が283兆円。
17年は295兆円で伸び率は年率0.8%に過ぎず、
ほぼ横ばいだ。
15~17年は年率0.3%に減速している。
懐が寂しい。
だから個人消費はさっぱり増えず、従って企業の
売り上げも伸びない。
物価目標は遠く及ばないわけである。
ところが、である。
通常国会閉会を受けた会見でも安倍はこう言って
のけていた。
「第2次安倍内閣の発足以来、5年間で名目GDP
は56兆円増え、11.3%成長しました。正社員の
有効求人倍率は、統計開始以来過去最高です。
5年半前、正社員になりたい人100人に対し、たった
50人分しか仕事がなかった。しかし今は2倍以上、
110人分の正社員の仕事があります」
そもそもGDP算出方法は16年12月に変更され、
数値が一気にカサ上げ。
94年度以降は全ての年度で上方改定されていて、
これもマユツバ指標だ。
雇用環境だって改善しているとは言い難い。
完全失業率の低下はアベノミクスの成果ではなく、
人口構造の変化が要因だ。
深刻な少子化で労働人口はこの20年間で800万人
以上減少。
分母が求職者数、分子が求人数だとすると、
分母にあたる若者はどんどん減っているのだから、
有効求人倍率は相対的に上がる。
小学生でも分かる算数のお話だ。
総務省がきのう発表した6月の労働力調査に
よると、完全失業率(季節調整値)は前月比0.2
ポイント上昇の2.4%となり、4カ月ぶりに悪化。
厚労省が発表した6月の有効求人倍率は0.02
ポイント上昇の1.62倍だった。
背景にあるのは求職者と求人者側のニーズの
ギャップだ。
求人倍率を押し上げているのは慢性的に人手不足
の建設業や医療・介護で、ブラック業種と敬遠され
がちな仕事ばかりなのである。
■2020年、日米同時リセッション懸念
成長戦略の目玉として次々と立ち上げた鳴り物
入りの「官民ファンド」も大失敗している。
現在ある14ファンドのうち、12ファンドが第2次
安倍政権発足後に設立・改組。国が出資や融資
した金額は計8567億円で、ファンドの資金調達
に対して元本返済や利払いを保証した金額が
計2兆9694億円に上るという。
会計検査院が損失の発生や非効率な運営を
問題視。
4月に初公表した14ファンドの検査結果によると、
17年3月末時点で6ファンドが投融資に見合う
回収が見込めず、再編が検討され始めている。
埼玉学園大教授の相沢幸悦氏(経済学)は言う。
「官民ファンドは成功したためしがほとんどあり
ません。霞が関の“第2の財布”とも揶揄され、
天下り先の受け皿にもなっています。民間と
ジョイントし、政策を反映しようという甘い発想
からしていい加減なのですから、うまくいくわけが
ない。アベノミクスの実態は耳当たりのいい言葉
を並べ立てた人気取り政策。中身はない。その
シワ寄せが及ぶのは国民なんです」
異次元緩和のツケだけを残した経済大失政の
首相・総裁がなお続投に突き進むとは、
摩訶不思議でしかない。
「米国の連邦議会予算局は今年4月、2020
会計年度(19年10月~20年9月)に財政赤字
が1兆ドル(約112兆円)を突破する試算を公表
しました。米国が景気後退する可能性を指摘した
のです。かたや日本は足元では東京五輪に向け
た建設ブームが景気を刺激していますが、これは
今がピーク。今年後半には下降線をたどり、来年
には終焉を迎えるでしょう。1964年の東京五輪
を振り返れば、翌年には証券不況に端を発した
金融危機に襲われた。20年に日米同時リセッション
が起きる懸念は排除できません」
(田代秀敏氏=前出)
株価暴落、企業倒産ドミノ倒し、赤いハゲタカに
よる買収――。
東京五輪を取り巻く懸念は殺人的猛暑にとどまら
ないかもしれない。
国民はいつ夢から覚めるのか。
エンドレスの悪夢を見続けることになってもいい
のか。
安倍がこの国のカジ取りを続ければ、
どんな未来が待ち受けているかは容易に想像が
つくはずだ。
【転載終了】
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安倍首相はその都度嘘をつくので、前の嘘を
忘れてしまっているから、整合性が全くとれない
のでしょう。
五輪後はそうとうやばいという観測もあり、
本格的な安倍不況になるかも?
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