首相は「ジコチュウの性分」? 安倍vs.石破徹底比較。
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【転載開始】
■首相は「ジコチュウの性分」? 安倍vs.石破徹底比較
自民党総裁選(7日告示)のタイミングに
合わせるかのように発生した北海道の
大地震。
党本部は震災対応のためと3日間の
総裁選活動自粛を決め、安倍陣営は
「これで石破、小泉進次郎のラインは
封じられる」と楽勝ムードだ。
だが、本当にそうなのか? 徹底分析した。
安倍首相の閨閥の華麗さは有名だ。
母親の洋子さんの父親は、岸信介元首相。
洋子さんの夫で、安倍首相の父親は
晋太郎元外相。
妻の昭恵夫人の実家は森永製菓の
創業家だ。
昭恵夫人を嫁にもらうことで安倍家に箔が
ついたという。
「私が安倍夫妻の仲を取り持ちましたが、
おじいさんの岸信介さんは非常に喜んで
いました。岸家の祖先は農家らしいんです
が、これでロイヤルファミリーだと、食事を
したとき、お礼を言われました。だから、
晋ちゃんも昭恵さんの少々のわがままは
許してきたんだと思います」
(安倍家と親しい元山口新聞幹部の
濱岡博司氏)
一方の石破氏は、父・石破二朗氏は
鳥取県知事を15年務めたのち、参議院議員
となり、自治大臣を務めた。
母方の祖父も徳島県知事、山形県知事を
務めた。
両親はいわば知事ファミリー。
石破氏も子供のころは知事公舎で過ごした。
石破氏は大学卒業後、三井銀行
(現・三井住友銀行)に入社。
その後、父親の友人だった田中角栄氏から
声をかけられ、田中派の事務局「木曜クラブ」
に勤務。
1986年に自民党から初出馬し、当選を続け
たが、93年に離党し、翌年に小沢一郎氏が
率いた新進党に参加。
しかし、97年に復党し、平成研(現・竹下派)に
所属した。その後、無所属となり、自派閥を
立ち上げている。
「離党経験があるため、竹下派のメンバーの
中にはよく思っていない人がいます。自民党の
有力派閥の中では竹下派だけが今回の総裁選
は自主投票となった。参院のドン・青木幹雄さん
が石破さんを推せと竹下亘会長に号令をかけた
ので、参院は支持することになったが、衆院は
茂木敏充・経済再生担当相、加藤勝信・厚労相
らが猛反発。竹下さんは派閥をまとめられず、
衆院の大半は安倍支持です」(自民党幹部)
竹下派の分裂はゴッドマザーである洋子さんの
影響もある。
洋子さんは8月、東京・永田町で開かれた日中
文化芸術祭に加藤厚労相の義母の加藤睦子さん
と仲良く現れた。
「睦子さんの夫、六月氏はかつて自民党を離党。
石破氏らと共に小沢一郎氏と行動した後に引退
に追い込まれた。その地盤を継いだ娘婿の勝信氏
は当初、旧民主党で岡山5区から出馬しようと模索
したが、やめて自民党へ鞍替え。その際に助け船
を出したのが、洋子さんとされています。勝信氏は
地元、岡山のボスだった故・橋本龍太郎元首相の
派閥(現・竹下派)に入ったものの、今では安倍派
別動隊でいわば、身内ですよ」(作家の大下英治氏)
総裁閥である細田派は昭恵夫人の友達人脈も
あるという。
「下村博文元文科相の奥さんと昭恵さんは友達。
よく一緒に出かけ、一緒に福島へ行くときにもお互
いに車の運転を交代しながら行くくらい。下村さん
は奥さんを通じて、安倍さんと仲がいいんですよ」
(細田派国会議員)
四面楚歌を打ち破るため、石破氏に残された
カードは小泉進次郎氏しかない。
だが、前述したように北海道の大地震などの
影響で情勢は難しい。
進次郎氏が決起することはあるのか?
進次郎氏の後援者の一人はこう言う。
「派閥というのはカネと票。進次郎にはカネはない
けど、票を動かす人気はある。石破さんの応援を
したら、自民党ではお役ごめんになるでしょうね。
当分、干されるでしょうが、将来的には安倍さんに
迎合しないほうがいいと思います」
だが、前出の大下氏の見方は違う。
「父親の純一郎さんはもはや安倍さんの味方でも
石破さんの味方でもなく、進次郎氏を首相にする
ことしか考えていない。進次郎氏は今回、石破さん
に入れないと思うし、投票後にも誰に入れたか明らか
にすることはないと思います」
日本のリーダーたるもの人たらしでなければならず、
「人間力」が必要だ。
「田中角栄、小沢一郎、小泉純一郎はカリスマ。
でも、安倍さんはまだカリスマとは言えないよね」
(大下氏)
しかし、安倍首相は在任日数が戦前・戦後を通じて
歴代5位。
総裁選に当選すれば、来年11月には憲政史上最長
の歴代1位となる。
なぜ、こんなに長期政権を築けるほどに強いのか。
「そこに、安倍さんの秘密があります。第1次安倍
政権で途中退任し、失敗したから、みんなで守りた
くなるタイプの殿様なのよ。安倍さんを支えてあげ
ようという気を起こす、支えたくなる強さなんですよ
ね。そういう意味で、安倍さんには空の部分がある。
石破さんには空がないんだよね」(大下氏)
だが、元共同通信記者で、自民党を中心に長年、
政界を取材してきた野上忠興氏は手厳しい。
「安倍首相は穏やかなタイプではあります。ただ、
自分の気にくわないことに直面すると、ぐっと我慢
することができなくなるジコチュウの性分だという
のは、幼少期から首相の世話をしてきた人の指摘
です。元々、首相は父・晋太郎さんから『お前には
政治家として必要な情がないし、相手の立場に
なって考えない』と再三言われています。とすれば、
人間力がつく下地自体が、乏しかったということに
なります」
石破氏は「正直、公正」のキャッチフレーズを
掲げているが、これが仇になっていると大下氏は
指摘する。
「安倍さんが第1次内閣で苦しかったときに辞める
べきと発言した。麻生さんが首相のときも、わざわざ
本人に面と向かって辞めるべきと言った。その恨み
を2人とも許してないですよ。二階(俊博)さんが派閥
を作ったときにも派閥事務所を引き払って党でやり
なさいと言ったりもした。権力にひるまない良さはある
けれど、敵を多く作りすぎた。だから、人がなかなか
集まらない」
では2人の政治家としての実行力はどうか。
政治ジャーナリストの角谷浩一氏はこう評する。
「安倍さんが現職に返り咲いてから5年8カ月に
なるが、危機突破内閣や、国難突破解散と掲げ
ているけれど、いつまでも突破できていない。
また、働き方改革や異次元緩和といったスローガン
が曖昧で検証できない。どういう結果が成功なのか、
評価を定義することが難しい」
一方で、石破氏の政策的な最大の弱点は
「わかりにくさ」だという。
「思いが強すぎて何を言っているかわからない。
たくさん話すことで、政策通であることをアピール
したいんでしょうが、話が長く、質問と答えがすり
かわっている。YesかNoで答える質問にも、一言
言わないと気がすまない性格。A41枚でわかり
やすくが政治の基本。ただ側近議員対決であれ
ば、石破さんのほうが政策立案能力は高い」
前出の野上氏も安倍首相の政策・実行力に
ついてはバッサリ。
「憲法改正にはこだわりがあるが、個人的に
レガシーを残したいと思っているだけ。憲法を
精読しているところは見たことがないと多くの
人から聞く。右寄りの人が喜ぶことばかり言っ
ている。昔から、同じ考えの人たちを集め、自分
好みの路線を歩いているから、実行力があると
は言えない。違う考えの人への歩み寄りがない
幅の狭さは致命的」
野上、角谷、大下の3氏はそろって「外交の安倍」
を否定する。
「近隣5カ国、中国、韓国、北朝鮮、ロシア、
アメリカ、うまくいってる国はどこもありません。
プーチンさんとは20回以上会っているけれど、
信頼関係はできていない。『北方領土はわが国
の固有の領土』という日本のセリフをプーチン
さんが言っている。米大統領のトランプ氏とは
武器の購入の約束だけをしていて、日米の信頼
関係があるからこそという成果が出ていない。
韓国、中国に至っては二階幹事長が外交交渉
している。北朝鮮と秘密接触したこともアメリカ
にばれて、怒られている。これが俯瞰する外交
なのか」
防衛相、農水相、地方創生、国家戦略特別
区域担当相と数多くの閣僚を経験してきた
石破氏に対しても、これまでの検証が不十分
だと角谷氏は指摘する。
「石破さんが閣僚のときに、加計学園問題が
起きている。農水相の経験者なので獣医学部
の問題はよくわかっているのに、石破さんは
疑惑には口を閉ざしていた。誠意をもって
戦ったとは言えない」
2人のガチンコ対決の行方はいかに。
(本誌・上田耕司、田中将介)
※週刊朝日 2018年9月21日号より抜粋
【転載終了】
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連載しています。
安倍首相は自己中というより、保守系
(似非右翼)に看板として利用されている
という感じでしょうか。
この方は退陣してからが大変そうな
気がします。
圧力に屈している議員たちは、後ろにいる
米国を見ているだけですから。
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