日米通商交渉、友好的演出の裏に「大幅譲歩」を迫られるリスク・・・

 DIAMOND online 


 【転載開始】 


 ■日米通商交渉、友好的演出の裏に

  「大幅譲歩」を迫られるリスク


  「日本側に今後、打撃を与えかねない 

“爆弾”を仕掛けられてしまった」。 

9月26日の日米首脳会談後、7項目での 

合意事項を示す形で発表された日米共同

声明の内容をめぐり、通商政策に詳しい

みずほ総合研究所の菅原淳一 主席研究員

は懸念を示す。


  なぜなら、両国が交渉の開始に合意した

日米物品貿易協定 

(TAG、Trade Agreement on goods) 

での米政府の立場を示す 

「交渉結果が米国の自動車産業の製造および

雇用の増加を目指すものである こと」という

一節が盛り込まれたからだ。


  つまり、米国が日本車の輸入数量規制や

米国内の投資拡大などを求める余地が残った

ことで、安倍政権はこの先、内政と対米通商

交渉との間でジレンマを 抱える可能性が高ま

ってきたといえる。


  確かに、首脳会談の合意内容は一見、耳慣れ

ない協定の略称さながら両国が 友好的に

「タッグを組んだ」かのように、安倍晋三首相

とトランプ米大統領がそれぞれ一定の成果を

自国内で訴え やすい方向へとまとまっている。


  日本側としては、TAGをめぐる協議中は

両国とも 

「共同声明の精神に反する行動を取ら ない」

との文言を盛り込んだことで、発動されれば

日本の産業界への影響が大きい自動車への追加

関税措置がしばらくは回避される見通しだ。


  また、農産品が不利になりかねない FTA

(自由貿易協定)に否定的な発言をしてきた

安倍首相が、TAGという名称を引き合いに

「包括的なFTAとは全く 異なる」と説明する

方便も手に入れた。


  一方、トランプ氏にとっては11月の米中間選挙

を控え、有権者に向けて一つのディール(取引)

をまとめたという成果をアピールできるパッケージ

 にもなっている。


  ただ日本としては、いったん自動車関税引き上げ

を免れたとはいえ、 “時間稼ぎ”をしたにすぎない。 

トランプ氏は引き続き、対日貿易赤字に大きな不満

を持っており、日本への強硬姿勢が和らいだなどと

判断する のは早計だ。


  そもそも安倍首相はTAGという名称を隠れみの

に使ったが、主な交渉対象となる関税は世界各国

のFTAなどの 通商交渉で最も重要視されるため、 

専門家らの間では 

「名前がTAGでも国際的な位置付けは FTA」

(菅原氏)という見方が支配的だ。


  米通商代表部(USTR)のライトハイザー 代表

も首脳会談後、完全なFTAを目指すとの立場を

表明している。 

長年米国への貿易黒字を保つ日本に対しては、

トランプ氏が有権者の支持へとつなげるために、

大きな譲歩を迫るリスクがくすぶっているといえる。  


■注目の米が中間選挙

  重要日程相次ぎ難局迎える安倍政権


  この先、トランプ氏の対日通商交渉の姿勢を

占う上で注目されるのが、11月 の米中間選挙だ。


  専門家の間では、既に下院での民主党勝利が

織り込まれつつある。 

さらに上院でも共和党が敗北するような事態とも

なれば、再選を期すトランプ氏が2020年の大統領

選挙を見据える中で

「成果を出そうと躍起になり、通商政策などで一段

と強硬姿勢に傾きかねない」 

(丸紅経済研究所の今村卓所長)との声も 上がる。


  その後、ポイントとなりそうなのは来夏にかけて

の動きだ。 

「早期の成果」(ライトハイザー氏)を求める米国

の動きを鑑みると、

「来年夏ごろには交渉が大詰めを迎えていることも

考えられる」(菅原氏)。 

こうした中、何より経済への打撃が大きい自動車関税

引き上げを避けたい日本にとって、TAG交渉の焦点

の一つは農産品 の扱いだ。


  だが、安倍政権の政治日程を点検すると、来年4月

に地方農家の集票も重要となる統一地方選挙があり、

さらに7月には 参議院選挙を控える状況下で、農産品

について米国へ譲歩するのは難しくなる。


  農産品に関して、以前TPP(環太平洋 経済連携協定)

で合意した内容の範囲 を米国が受け入れたとしても、

 最近の為替相場が円安気味に推移する 中、トランプ氏

が再び日本の通貨安誘導 に批判の矛先を向けるリスクも

浮上して いる。 

円高に振れれば自動車をはじめ製造業全般への影響が

大きいだけに、関係者は気をもむばかりだ。


  さらに言えば、足元でやや膠着状態にある米中貿易

戦争の動向が、米国の対日通商交渉に及ぼす影響も読み

切れ ない。


  このように日米「タッグ」の実相は、際どい均衡を

保っているにすぎない。

 9月の日米首脳会談では、安倍首相とトランプ氏の友好

関係が防波堤の役割を果たしたとの見方もあるが、

トランプ氏 の優先事項は何より大統領の再選、そのため

の成果づくりであり、今後の 頼みの綱などとは考えない

方が無難だ。 

TAG交渉開始の合意は、日本の内政や通商交渉の先行き

を一段と見通し づらくさせている。


 【転載終了】 

 *****************************


  農産物を差し出したとなると、自民党は 

来年の選挙が苦しくなりますね。


  とにかく、言葉で誤魔化そうとしても、 

ネットの発達した昨今、国民が騙される 

ことはないでしょうが、マスコミがしっかり 

報道しないといけませんね。   


0コメント

  • 1000 / 1000