安倍政権が「消費税増税を断念できない理由」・・・
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【転載開始】
■安倍政権が「消費税増税を断念できない理由」
連載「eyes 姜尚中」
政治学者の姜尚中さんの「AERA」
巻頭エッセイ「eyes」をお届けします。
時事問題に、政治学的視点から
アプローチします。
* * *
先送りされていた消費税の増税が
来年10月に決まりました。
8%から10%への引き上げは過去に
2度も延期になっていましたから、
この決定はまさに「三度目の正直」
です。
しかし、客観的にみれば過去の
延期の時よりも今回のほうが、
増税が難しくなりそうな雲行きです。
日米間の貿易交渉の行方や激化
する米中の貿易摩擦、
中国経済の減速感や新興国の通貨
不安、中東情勢の流動化や英国の
EU離脱交渉の不透明感など、
不確実な事態が世界経済に暗い影
を投じ、ここのところ株価は激しく
アップダウンしています。
来年以降、世界経済は大きく落ち
込む可能性があります。
2度目の消費税増税の延期が
決まったのは、2016年6月でした。
この時の延期の理由は、
「リーマン・ショック級の経済的な
不況が懸念される」というもので
すが、当時の景況感から見れば、
それほどの経済的な危機が迫って
いたとは言えませんでした。
そう 思うと、消費税率引き上げの延期
は、牽強付会(けんきょうふかい)
だったと言えます。
16年の段階では、経済危機は
杞憂で済みましたが、今回はそうは
いかない可能性があります。
まるで、2年前の消費増税延期の
理由が今になって生きているかの
ような状況です。
そんな時に消費税率10%への
引き上げとなれば、より負担感が
高まり、消費がかなり冷え込んで
しまうかもしれません。
それでも消費税増税を断念でき
ない理由が安倍政権にはありました。
増税を断念すれば、25年度の
プライマリーバランスの黒字化は、
ほぼ絶望的です。
そうなれば日本の財政再建に対する
信任が揺らぎますから、安倍晋三首相
は消費税の引き上げ は100%すると
断言し、 駆け込み需要と反動減を抑え
るための経済対策などをまとめるように
指示せざるをえなかったのではないで
しょうか。
しかしいくら国際公約とは言え、
実際に景気の落ち込みが予想されるとき、
果たして消費税率の引き上げができる
のかどうか。
そこが安倍政権のジレンマになりそうです。
参院選や地方選挙、さらに憲法改正の問題
も絡んで、もう一度消費増税引き延ばしの
是非を問う総選挙もないとは言えないかも
しれません。
※AERA 2018年11月5日号
【転載終了】
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景気動向には両論あるのですが、
どちらかと言えば、「景気後退論」
のほうが大勢を占めていますかね。
個人的には、株式などいったん底を
打ってから、安倍政権が壊した市場原理
を正常に戻してほしい ですね。
消費増税是非が争点の総選挙になれば、
自民の議席減は逃れられないですよね。
果たして、自民の内部で承諾が得られる
かどうか・・・
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