軍拡を要求されている日本・・・
現代ビジネス
【転載開始】
<アメリカに支配されたこの国の宿命>
えっ!? いまのままでは日本が世界平和に
「貢献できない」ワケ
■軍拡を要求されている日本
いまから3年前の2015年8月、
「平和学の父」と呼ばれ、その
最高権威とされる ヨハン・
ガルトゥング博士 (ノルウェー出身)
が来日し、横浜で講演会を行った。
ちょうど国会前では、安保法制
反対のデモが連日、多くの
参加者を集めていた時期の
ことである。
日本は今後、どうやって世界の
平和に貢献していくべきなのか。
2組の若者代表が、博士の講演に
先がけて真摯な思いをスピーチし、
会場からは大きな拍手がわきおこった。
しかしそのあと、ガルトゥング博士
が口を開いて最初に語ったのは、
次のような、聴衆全員を凍りつか
せるような言葉だったのである。
「現在の日本は、世界平和に貢献
することはできません。その理由は、
外交政策がアメリカの意向で決まり、
自分で決定できないからです。
アメリカが関心のあるのは、自国の
〔軍事的〕勝利であって、平和では
ありません。彼らはNATOについて
は思い通りに動かせないので、なん
でも言うことを聞く日本に、いま
〔安保法制で〕軍拡を求めているの
です」
ガルトゥング博士は、書斎型の
学者ではなく、紛争の最前線で
問題解決にあたる〝現場の人〟だ。
「横田空域」や「六本木ヘリポート」
など、日本における異常な米軍支配
の実態にも詳しい。
いつも思うのだが、本当に分厚い
現場の知識を持った人は、
実に簡単な言葉で問題の本質を
語ることができる。
その意味では、日本という国家と
米軍の関係について、その本質を
もっともストレートに語れる人物は、
歴代の沖縄県知事をおいて他にない
だろう。
たとえば今年の8月に亡くなった
翁長雄志前知事は、最後の記者会見
でこう語っている。
「いまの日本のアメリカに対する
従属は、日本国憲法の上に日米地位
協定があって、国会の上に日米合同
委員会がある。その2つ の〔基本的
な構造の〕なかで、日本 はアメリカ
に何も言えない状況に あります。(略)
いまアジアは大きくかわりつつあり、
世界のどの地域 よりも経済発展して
いるが、いまの ままでは、〔やがて〕
日本はアジアから閉め出されてしま
うんじゃな いか」
2018年現在の日本のおかれた 状況
と課題を、短い言葉で語って 余す
ところがない。
今回当選した玉城デニー新知事も、
もちろんその一人だが、沖縄はその
政治的苦難の中から、こうした
優れた政治的リーダーを 何人も
生み出し続けているのである。
■そんなバカな約束があるか!?
ふり返ってみると翁長前知事は、
4年前の就任直後から、「戦後史の謎」
を解くための非常に重要な手がかり
を私たちに伝えてくれていた。
(以下、TBSラジオ『荻上チキ・
Session-22』2014年11月18日
からの要約)
〈沖縄の基地の返還協定には、
よく読むと「〇〇年に返還する」
という言葉に加えて、すべて
「またはその後」という言葉が
書か れている。たとえば那覇軍港
なら 「2028年またはその後」に
返還すると書かれている。ほかの
基地も全部同じ。そんな約束が
ありますか。「結婚しましょう」
と 言って、「来年またはその後に
ね」と言ったら、約束にならない
でしょう〉
〈危険なオスプレイの飛行に
しても、沖縄防衛局(防衛省の
担当部局)は、「市街地は飛び
ません。夜10時以降は飛びま
せん。そう〔米軍側と〕決めた
から安心ですよ」と言ってくるが、
よく取り決めを読んでみると、
市街地や夜10時以降は「できる限り
(飛ばない)」と書いてある。
「ふざけんじゃないよ、そんな
馬鹿な約束あるか」と思うけど、
これが本土の方々にはなかなか
伝わらない〉
まったくその通りなのだ。
私もかつて沖縄で米軍基地を
取材していたとき、一番不思議
だったのがこのことだった。
危険な低空飛行や騒音について、
米軍は住民の抗議に応じてよく
取り決めを結ぶ。 しかし守らない。
翌日から守らないことさえある。
いったいなぜ、そんなことが許さ
れるのか。
今回、『知ってはいけない2ーー
日本の主権はこうして失われた』
(講談社現代新書)を書くことで、
その理由がはっきりわかった。
まずそもそもの原因は、
現在の安倍晋三首相の祖父で
ある岸信介首相が、安保改定
に先駆けてアメリカと発表した
共同声明(1957年6月21日)に
ある。
そこには、
〈米軍の日本における軍事行動
については、(協議が)実行可能
なときはいつでも協議する〉
という合意内容が、はっきり
書かれているのだ。
つまり、米軍が「協議したくない」
ときは、日本政府に相談しなくていい。
だから、大規模な住民の抵抗運動さえ
起こらなければ、米軍は日本の国内で
なんだってできるということなのだ。
これが、安保改定の大前提となった
日米合意であり、現在の日本における
米軍の法的権利の本質である。
その後、数多く結ばれた条約や協定、
取り決め、密約の数々は、すべて
この1行を細かく具体的にのべた
ものにすぎない(本書の特設サイト
〈ウェブ立ち 読み〉で無料公開して
いる第3章 を参照)。
■日米安保の本質
たとえば、新安保条約・第6条
を見てほしい。
そこには日本における米軍の軍事
行動は、
〈日米地位協定と、その他の合意
される取り決め〉(英文からの筆者訳)
によって運用すると書かれている。
さきほどの翁長前知事の言葉にある
「またはその後」と、まったく同じ形の
トリックだ。
くわしくは本書を読んでいただきたいが、
この〈その他の合意される取り決め〉
のなかに、いまではすっかり有名に
なった米軍と日本の官僚の密室の
協議機関、「日米合同委員会」で毎月
2度結ばれる秘密合意が、 旧安保時代
のものもあわせてすべて含まれている
のである。
だから米軍は、地位協定の条文を、
まったく守らず行動することができる
のだ。
これが翁長前知事の言葉にある通り、
国会も最高裁も米軍にはいっさいタッチ
することができないという、 旧安保条約
時代から受け継がれる日米安保の本質
なのである。
翁長前知事の命をかけた政治活動に
よって、今年の7月、全国知事会で
「日米地位協定の抜本的見直し」が
採択され、同知事の死去後、8月14日
に日米両政府に提言された。
しかしここまで説明してきた通り、
それが「日米地位協定の条文の改定」
にとどまっては、ほとんど意味がない。
最低でも「日米合同委員会」と
「砂川裁判・最高裁判決」という2つの
大問題の解決を視野に入れつつ、
新安保条約・第6条から
〈その他の 合意される取り決め〉という
文言を削除する必要がある。
その意味で、私たち日本人がこれから
本格的に議論すべき問題は、
「憲法の改正」でも「地位協定の改定」
でもなく、「安保再改定」にほかなら
ないのである。
【転載終了】
***********************
政治経済をウォッチしているネット ユーザー
なら常識として認識していることですよね。
本土の国民は、沖縄で起こっている地位協定
の理不尽さを知らないので
しょうね。
0コメント