サイバー民兵が1000万人超・・・中国!
News Weak
【転載開始】
■サイバー民兵が1000万人超
中国で加速する「軍民協力」の実態
CHINA’S CYBER MILITIAS
2018年11月22日(木)
ニコラス・ライアル
(オーストラリア国立大学研究員)
<来るべき情報戦争での必勝を
期して、中国政府はサイバー分野
での軍民協力を急加速。カギは
「民間ハッカー」をどうコントロール
するかだ。日本を襲う中国の
サイバー攻撃は、既に始まっている>
昨年9月、中国の政府機関
「中国サイバースペース管理局」の
チームが1本の論文を発表した。
習近平(シー・チンピン)国家主席の
サイバー政策の骨子をまとめたと
される論文だ。
そこに、注目すべき記述がある。
「サイバーセキュリティーと情報化に
おける軍民統合を推進」すると書か
れているのだ。
実際、中国政府はサイバー空間
での軍事的能力を強化するために
民間の力を積極的に活用し始めて
いる。
政府の指導の下、中国初のサイバー
セキュリティー・イノベーションセンター
が発足したのは昨年12月。
運営に当たるのは、中国でも屈指の
サイバーセキュリティー企業である
「360企業安全集団」だ。
同センターは、
「(軍が)未来のサイバー
戦争に勝つのを助ける」ために民間の
協力を促進することを役割としている。
中国が民間の力を軍事上の目的に
活用するのは、今に始まったことでは
ない。
共産党政権を樹立した建国の父・
毛沢東が掲げた「人民戦争論」は、
敵と戦う上で全ての人民の力を
動員することを重んじ、正規軍だけ
でなく民兵を活用すべきだと説いて
いた。
基本的な考え方は、今日の共産党
政権にも生き続けている。
中国人民解放軍の軍事戦略を記した
刊行物『軍事戦略の科学』の2001年版
でも「人民の創造性を存分に生かす」
ことの重要性が指摘されていた。
昨年9月のサイバースペース管理局の
論文も、「軍が人民に奉仕し、人民が
軍を助ける」ことを強調している。
サイバー空間での軍民協力を促進
する方針の下、人民解放軍は通信
機器大手の中興通訊(ZTE)や華為
技術(ファーウェイ・テクノロジーズ)
のような企業とのパートナーシップを
強化してきたほか、大学との連携も
推し進めている。
そうした企業や大学 は、中国の
「サイバー民兵」の一角を成している。
サイバー民兵は、中国で進む軍民
協力の1つの産物と言える。
イギリスの情報機関幹部を長年務め
たナイジェル・インクスターの著書
『中国のサイバーパワー』によれば、
20年くらい前に初めて登場した中国
のサイバー民兵は、今では1000万人
を超すまでに膨れ上がっている。
サイバー分野でも民兵を活用する
ことは、毛沢東の人民戦争論にも
合致する。
中国で一般的に民兵が果たしてきた
役割は、補給面で実戦部隊を支援し、
後方の安全確保を行うこと。
サイバー民兵もそのような役割を担う
ことになりそうだ。
ただし、人民解放軍がサイバー民兵
に求める任務は、サイバー諜報活動に
限定される可能性が高い。
サイバー攻撃そのものに携わらせる
ことはないだろう。
人民解放軍の正規のサイバー部隊が
活動する際に足手まといになりかね
ないからだ。
■愛国ハッカーの暴走が不安
民間の力を活用すると同時に、
民兵たちの不規則な行動を抑制する─
その重要な役割を担うのが人民解放軍
の「戦略支援部隊」だ。
軍の宇宙関連、サイバー関連、情報・
監視・偵察関連の部門を集約して
2015年末に設立された組織である。
戦略支援部隊の発足に当たり、
習が強調したことが2つあった。
1つは、同部隊が人民解放軍の近代
的な戦闘能力強化の重要な担い手
になるということ。
そしてもう1つは、同部隊の主要な
任務の1つが軍民統合の推進だと
いうことだった。
このメッセージから見えてくるのは、
中国政府がサイバー領域での軍民協力
を重んじていくという方針だ。
戦略支援部隊は軍内部の多くの研究
施設を監督下に置き、民間と連携して
研究開発に取り組んで いる。
中国のサイバー民兵の中で最もよく
知られているのは、「愛国ハッカー」
と呼ばれる人たちだろう。
この種のハッカーたちは、国家の敵に
ダメージを与える上では有効な攻撃を
行う場合もあるが、しばしば当局の
コントロールが利かず、無鉄砲で
荒っぽい行動を取り過ぎる。
愛国ハッカーはたいてい、草の根
の大衆的なナショナリズムに突き
動かされて行動する。
その典型が2001年の海南島事件だ。
この年の4月、中国の海南島近くの
南シナ海上空でアメリカと中国の
軍用機が空中衝突し、米中の関係
が緊迫化したとき、中国人ハッカー
たちはアメリカに対して一斉に攻撃
を仕掛けた。
このような行動は、緻密な計算の
下で国民のナショナリズムを動か
そうとする中国政府にとって邪魔に
なる場合が少なくない。
そこで、政府は戦略支援部隊の
ような機関に民間ハッカーたちを
取り込むようになった。
しかし、ハッカーたちを国の機関に
正式に取り込むことにはリスクが付いて
回る。
ハッカーの犯行が他国に露見した場合に、
政府と人民解放軍が無関係だと主張して
も説得力がなくなる。
アメリカ政府は、サイバー空間における
ハッカー攻撃の「犯人」を突き止める能力
を向上させており、それに基づいて中国
の有力な国有 企業を制裁対象にし始めて
いる。
そのため中国政府は、ハッカーたちの
行動をいっそう厳しく管理するように
なった。
そうした集権化の動きは、近年の
中国政治全般で目につく傾向にも
沿っている。
共産党は、さまざまな利害を持った
グループが社会に出現することを
容認しつつも、それらのグループが
自主的に行動することは許さない。
そこで、好ましい行動を後押ししたり、
一定の行動を促したりしようとする。
社会のさまざまなグループが自らの
意思で行動し始めれば、社会の安定
と共産党の支配体制が揺らぎかねない
と恐れているのだ。
サイバー空間における中国の軍民
協力は、21世紀に入った頃から時折
表面に現れることがあった。
しかし、民間の力を活用することが
これほどまでに重んじられ、民間が
政府の軍事上の目的に従って行動
するよう厳しく統制されるように
なった のは、最近になってからだ。
中国政府は、情報戦争が未来の紛争
の勝敗を左右するという認識を持ち、
「情報戦争においては軍民の統合が
『必然』である」と述べている。
その戦いの際には、サイバー民兵たちが
大々的に動員されるのだろう。
【転載終了】
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この記事は、News Weak11月27日号
の「東京五輪を襲う中国ダークウェブ」特集。
から転載したものです。
無防備な日本を狙う中国のサイバー攻撃が、
ネットの奥深くで既に始まっている。
彼らの「五輪ハッキング計画」の狙いから、
中国政府のサイバー戦術の変化、
ロシアの サイバー犯罪ビジネスまで、
日本に忍び寄る 危機をレポートとしたもの
だそうです。
新たな戦争の形態でしょうかね?
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