“年金博士”警鐘 支給年齢「68歳引き上げ」が意味すること!

 注目の人 直撃インタビュー 


 【転載開始】 


■“年金博士”警鐘 支給年齢「68歳引き上げ」が 

 意味すること  公開日:2019/01/21 


 安倍政権は「人生100年時代」 

を掲げ、やたらと「高齢者の雇用」 

を強調する。

美名の下、そこには年金の支給を

減らしたい魂胆が透けて見える。 

ただ、年金の改悪は分からない 

ように、ジワジワ進められていて、 

国民の将来不安はぼんやりして 

いる。 

今年は、「年金改悪元年」とも 

いわれる。 

この先、公的年金は当てにで 

きるのか――。

 多くのメディアで「年金博士」と 

して活躍しているこの人にズバリ

聞いた。


 ■わざと分かりにくい制度にして 

 真実を知らせず 


  ――昨年から今年にかけ、 

「年金」はターニングイヤーだそう 

ですね。


 昨年から年金の“目減り”が実施 

されました。マクロ経済スライドです。 

大ざっぱには毎年約1%ずつ年金 

が減額されていくと理解しておけば 

いい。物価の伸びより、年金の伸び 

を小さくするという制度です。物価 

が2%上がっても、年金は調整率 

0・9%を引いた1・1%の引き上げ 

にとどまる。これは怖いんですよ。 

一見、年金額自体は1・1%上がって 

いる。振り込まれた金額を見れば、 

「おっ、年金増えたね」ということ 

になるんですけど、物価がそれより

も上昇しているので、同じものが買え

ない。きわめて分かりづらい仕組み

なのです。 


  ――情勢に応じて、調整率は変わる。 


 調整率というのは、平均寿命の 

伸びと現役の被保険者数の増減 

で変動します。平均寿命が伸び 

たり、現役世代が減れば、年金 

受給者が増えるため、調整率も 

上がる。現在、0・9%ですが、 

1・5や2%になることもあります。 

2%になれば、物価が2%上がって 

も、年金は据え置きになります。 

マイナススライドというのもある。 

物価の伸びが0・5%で、調整率 

の0・9%を引くとマイナス0・4% 

になる。年金支給額はマイナス には

しないのですが、マイナス分は次の

年に繰り越すので、翌年 物価が上がって

も、繰り越した 分によって年金が抑え

られてしまうのです。 


  ――分かりづらいですね。 


  わざと分かりにくくしている面が 

あります。政府は真実が分かった 

ら困るんです。年金は懐の問題です

から、国民の関心は高い。 ロシア

など海外では年金改悪の動きに

大規模なデモが起きてい ます。 


 ――13年かけて段階的に引き 

上げられてきた年金の保険料率 

が18・3%で固定され、引き上げ 

が終わったのも昨年でした。 


 現役世代の負担増は打ち止め 

になりました。さあ、次に何をする 

のかという話ですね。代わりに、 

支給開始年齢を遅らせ、総支給額

を減額するということです。 


  ――今年はどんな年ですか。 


 5年に1度の財政検証の年です。 

毎回、比較的大きな見直しがあり

ますが、年金支給開始年齢を68歳

に引き上げることは既定路線です。

すべての社会保障の仕組みが年金

支給を68歳、 あるいは70歳に

引き上げてもOKになっているの

です。例えば、 雇用保険は基本

65歳までだったんです。という

のは、65歳からは 年金が出るので

雇用保険はもういいよねと。それが

一昨年から 65歳過ぎても被保険者

なんです。つまり65歳過ぎても

失業保険を受け取れる体制。これは 

「年金は出ないから働け」という 

布石です。 


  ――68歳で済むのでしょうか。  


 日本は定年から5歳遅れで年金支給

なんです。昔は定年は、男性 が55歳、

女性が50歳。60歳定年が義務づけら

れたのが1998年、 その後、年金支給

が65歳になった。 今、国は65歳定年

を目指している んですね。だから年金

支給は70歳になるんです。ただ、

70歳という国はないので、まずは

諸外国と同じく67~68歳かなと

思います。 


  ――盛んに「70歳雇用延長」が 

言われます。 


 それも布石です。年金制度の失敗 

を政府が会社に押し付けたわけです。 


 ■半世紀単位の改革は超党派で 

 取り組むべき 


  ――どうしてそうなってしまったの 

ですか。  


 年金制度は立ち行かなくなって 

いるんです。今の年金制度は私たち

が払う保険料に加えて、会社が負担し、

足りない部分は国が支援している。

いわゆる世代間扶養です。これは

現役世代と引退世代のバランスで

保たれているわけです。昔は11・3人

に1人。今は2・3人で1人、将来的

には 1・3人で1人なので、もう制度が 

持つはずがないんです。 


  ――しかし、少子高齢化はずいぶん 

前から分かっていた話です。 


 誤算が重なった面もあります。 第1次

ベビーブームの頃、出生率は4以上でした。

第2次も2以上。1人の女性が2~3人

子どもを産んでいれば悲惨なことには 

ならないのですが、今の出生率 1・5を

切るようなレベルは想定外だった。また

寿命もここまで伸びると予想されていな

かった。もっとも、 最大の誤算は低金利

政策です。 


  ――2013年4月からの黒田日銀の

ゼロ金利政策ですか。 


 13年からは極端な低金利ですが、

1990年代のバブル崩壊後 から低金利

政策は続いています。 当時の厚生省は

こう考えていたのです。バブル時代に

年金資金 として200兆円もの余り金が 

あった。それを年10%で運用できれば

20兆円、利息だけであるわけですよ。

だから、年金 制度は安泰だろうと。実際、 

当時、金利は8%ありました。 ところが、

バブル崩壊後の低金利政策で、国の年金、

企業 の退職金の運用などすべてうまくいか

なくなった。低金利で老後の生活が破綻

したという ことです。 


 ――想定外のことが重なったと 

しても、政治は何か手を打てなかった

のですか。 


 年金は現役世代が何十年間、保険料

を払って、受給者になって何十年受け

取るわけです。半世紀以上のシステム

なんです。家が老朽化して、今にも

崩れそうだという時、外に柱を立てたり

しながら、 維持している。本当は解体

して、新しい家を建て直さないといけ 

ないが、この家にも人が住んでいるわけ

です。要は、年金制度の根本に手を付け

ると政権が吹っ飛ぶ。だから根本的な

改革ができない。本当は超党派でみんな

で考えていかないといけないと思うん

ですけど。 


 ■節税メリットを生かせ 


 ――2009年の民主党政権は 

年金改革を目玉の一つとして誕生 

しました。 


 確かに、最低保障年金を打ち 出し、

根本的な改革をやろうと しましたが、

立ち消えになった。 政権を取って、

厚生労働省の 内実がひどくどうしようも

なかったのでしょう。3年の短命政権で 

時間切れになった。結局、小手先の改悪を

繰り返し、現役世代は 年金に不信感を抱き、

保険料の未納が増えるという悪循環のまま 

現在に至っているのです。 


  ――具体的な改革案はありますか。  


 世代間扶養の賦課方式から積み 立て方式

への移行です。公的年金 は最低保障にする。

生活保護費は 年間120万円ですから、

最低保障 の額を年間140万円くらいに

して、 保険料を払った人に最低額を支給 

する。それ以上は、確定拠出年金をもっと

拡充して自分で貯金してもらう。国は節税

メリットがあるようにし、会社も一部負担

すればいい。 現実的だとは思いますが、

この制度 の構築も簡単ではありません。 


 ――公的年金は当てにせず、自分 

で何とかするしかないということで 

しょうか。 


 今の人口構造ではそうなってしまう。

 病気もケガもせず、働き続けるか、 

しっかり蓄えておくしかありません 

(笑い)。ただ、低金利なので運用で 

殖やすのも難しい。 


  ――今すぐにできることはありますか。 


 節税メリットをしっかり生かすこと

です。 個人年金保険は控除が適用できる

ので、年間8万円“貯蓄”すると4万円の 

控除。所得税20%の人は8000円 

戻ってくる。10%で運用しているのと 

同じです。また、歯の治療は1年でまと 

めてやる。10万円を超えた部分は 

医療費控除になります。昔、銀歯を 

6本まとめて入れました。30万円 

かかりましたが、20万円は医療費 

控除ですから、所得税率20%として 

4万円浮いたので、13%で運用した 

ことになります。借金してでも、

まとめてやった方がいい。今は低金利で 

借りられますから(笑い)。控除や運用 

など難しい文字が並んでいて、ハードル 

が高そうですが、自分で何とかしない 

とダメな時代なんです。 


 (聞き手=生田修平/日刊ゲンダイ)  

▽きたむら・しょうご 1961年、

熊本県 生まれ。中央大卒。社会保険労務士、 

行政書士、ファイナンシャルプランナー。 

現在、「ブレインコンサルティングオフィス」

 代表取締役。 


 【転載終了】 

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 一部では、年金破綻はないから 

大丈夫という宣伝をするような御用 

エコノミストもいます、

しかし、年金 博士と言われる北村氏

が老後は自分で守らなければならない

といっています。  


 安倍支持者は、政府には頼れないと

いうことを肝に銘じたほうがいい かも。 

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