世界が認める景気鈍化を、なぜ日本政府だけは認めない?
MONEY VOICE
【転載開始】
世界が認める景気鈍化を、
なぜ日本政府だけは認めない?
海外投資家は日本株を投げ売りへ
各国が政策見直しを進めるなか、
日本は変わらなくて大丈夫か?
■各国が「世界経済の鈍化」を認める
英国議会でのEU離脱案の採決、
最終盤を迎えた米中通商交渉。
今週もその行方が注目される政治
イベントが目白押しである。
表の主役はこうした政治的重要イベント
となりそうだが、裏の主役を世界景気が
張る可能性があることは、認識して
おいた方がよさそうだ。
ここに来て、世界経済の先行きが
大きな関心事となってきた。
世界経済の先行きに関しては、
MFやOECDなどが既に世界経済の
鈍化を公表して来ており、
周知の事実とはなっている。
問題はそれを各国の政策当局が認め、
実際に政策を見直し始めて来ている
ことだ。
中国は5日に開幕した全人代で
2019年の経済成長見通しを、
28年ぶりの低成長となった2018年
の6.6%を下回る「6.0〜6.5%」へ
引き下げた。
<中略>
中国が公式に経済成長の鈍化を認めた
ことだ。
欧州でも7日のECB理事会で、
「少なくとも2019年夏まで」維持するとして
きた現在0%の主要政策金利などの水準を、
「少なくとも年末まで」維持する方針を明確
にした。
<中略>
ECBが「少なくとも2019年夏まで」という
表現で2019年秋以降の利上げを示唆して
きたのは、任期が今年の10月までの
ドラギ総裁が任期中に利上げの道筋を
つけて後任にバトンタッチするFRBスタイル
を描いていたからである。
金融政策の正常化の手本としてきた
FRBスタイルを踏襲することをECBが
断念せざるを得なくなったのは、
経済の鈍化とそれに伴う物価の下落圧力
がECBの想定を上回るものだったからに
他ならない。
実際にECBは2019年の域内経済成長率
の見通しをこれまでの1.6%から1.1%へ
と大幅に下方修正している。
■経済減退を見越した政策が実行され始めた
米朝首脳会談や米中通商交渉、
ブレグジットといった派手な政治的イベント
の陰に隠れた格好になっているが、IMFや
OECDといった公的な機関ではなく、政策
当局が経済見通しを下方修正して実際の
政策に反映し始めたという変化を見落と
さないようにしなければならない。
<中略>
2月の雇用統計を始め、米中通商交渉
や政府機関の一部閉鎖によるノイズに
よって経済指標は強弱入り乱れ、
経済の正しい姿が見えにくくなっている今、
FRBとしても米国経済の方向性を断言
しにくい状況にある。
そうした中でのトランプ大統領からの口撃は、
FRBがより「ハト派」姿勢を見せることを
難しくしてしまっている。
明確な理由なしに金融緩和姿勢を見せて
しまえば、大統領の圧力に屈した格好に
なってしまうからである。
■日本政府はまだ「戦後最長の景気回復」
と言っている
世界の主要国が経済見通しを下方修正
したり、金融政策を見直したりしている中で、
わが道を行くのが日本である。
1月の景気一致指数が3か月連続でマイナス
となり、機械的に景気の基調判断が
「下方への局面変化」に変更されたことが
大きな話題となっている。
3か月連続マイナスとなった景気一致指数
は、構成する9つの指標の内、速報が
公表済みの7つの指標全てがマイナスに
なるという完全マイナス状況になっている。
さらに先行指数はすでに5か月連続で
マイナスになっており、経済指標面からは
景気が鈍化局面に転じていると見るのが
自然な状況になっている。
それにもかかわらず、政府は
「景気の回復基調は変わらない」と依然と
して「戦後最長の景気回復」が続いている
ことを強調する強気の姿勢を崩していない。
国民の8割が「戦後最長の景気回復」を
実感できていないという「景況感」の悪化
に加え、経済指標面でも景気後退が示され、
政府だけが景気回復を実感するという
摩訶不思議な状況になっている。
もちろん、「戦後最長の景気回復」の中で
「異次元の金融緩和」を続けるという矛盾
した政策を採り続けてきた日本に、
景気が鈍化に転じたところで打ち出せる
政策はほぼないのが実情である。
■海外投資家は日本株を投げ売りへ
こうした現実を背景に、2018年に日本株
を5兆7,449億円売り越した海外投資家は、
2019年に入っても2か月間で9,805億円と
ほぼ1兆円に及ぶ大幅な売り越しを記録
している。
10月に予定されている消費増税で内需
が冷え込むことが確実なうえ、3月中にも
始まる可能性のある日米貿易交渉によって
外需の拡大も難しくなる可能性の高い
日本株が魅力的に映らなくても不思議で
はない。
その結果、日本株の買手は
「景気の回復基調は変わらない」と信じ
続ける政府の意向に従う日銀だけの
状況になっていしまっている。
もはや日本には 「円安・株高による景気回復」
を演出する余力は残っていない。
MSCIが中国A株の構成比を11月に向けて
段階的に引き上げるというテクニカル要因
によって上海市場 が大幅上昇するという
一時的な追い風は吹いたが、それも一服
した今、 日本株には追い風は期待できない
状況 にある。
■「合意」は株価を押し上げるのか?
近いうちに何かしらの決着を見る
のが確実な米中通商交渉の最大の
リスクは、「合意=歓迎」という表面的
な方程式ばかりが強調され、
実際に市場がどのような合意を歓迎
するのか曖昧なところである。
トランプ大統領も
「中国と合意すれば、株価はとても大きく
上昇する」と、米中通商交渉の「合意」が
株高に繋がることに期待する発言をして
いるが、過度な期待は禁物である。
中国が米国に譲歩し続ける交渉期間中は
「合意」という言葉は市場を押し上げる
魔法の言葉になり得る、交渉が何かしらの
決着がついた時点で 「合意」という言葉は
魔法の言葉とはなり得ないからだ。
米中通商交渉が何かしらの「合意」に
達した後、市場の注目は陰の主役である
経済見通しや各国の政策に転じる可能性が
あることは念頭に置いておいた方が賢明
そうだ。
【転載終了】
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全てに、「アベノミクス」が足枷になっている
からでしょう。
アベ友以外が政策に反対した理由です。
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