給料から強制徴収される“隠れ税金”がグングン上昇している・・・
Business Journal
【転載開始】
■給料から強制徴収される“隠れ税金”が
グングン上昇している・・・
介護保険料率、1年前から10%増
政府が「戦後最長の景気拡大」と
発表した1月以後、米中貿易紛争の
影響も加わって、景気は次第に悪化
の様相を濃くしている。
日本経済が力強く好転するには、
伸び悩む実質可処分所得が増えな
ければならない。
日本の国内総生産(GDP)の約6割
を占める個人消費が、経済動向のカギ
を握る。
経済の好循環がもたらされるためには、
勤労者の実収入から税金や社会保険料
を差し引き、物価変動下で
「自由に使えるお金」となる実質可処分
所得が増えなければならない。
ところが近年、「女性の働き方」が
変わった世帯以外では、これが減少
していることが判明した。
大和総研の調査によると、2011~18年
の間、実質可処分所得は14年まで下落
したあと増加傾向をたどり、18年は設定
した5つのモデル世帯すべてで増加した。
だが、この増加は専業主婦だった妻が
パートや正社員として働くなど
「女性の働き方」が変わった少数の世帯
により、大幅にもたらされたためという。
逆に、「女性の働き方」が変わらない
多数の世帯では実質可処分所得はむしろ
若干減少している。
女性の就職増で、世帯の可処分所得が
ようやくプラスに転じたかたちだ。
事実、働く女性の割合は18年平均で
51.3%と5割を超え、女性就業者数は
前年比87万人増の2946万人に達した
(総務省「労働力調査」)。
非正規雇用が圧倒的に多いが、ともかく
低迷していた世帯の可処分所得を押し
上げたのだ。
とはいえ、可処分所得の水準は17年
時点でリーマン・ショック時の08年を
8000円近く下回る。
2人以上の世帯のうち勤労者世帯の
1世帯当たり1カ月間の可処分所得は、
17年平均で43万4415円
(総務省「家計調査」)。
08年当時は44万2749円で、3年連続して
上昇していた。
女性就業世帯の増加で家計は持ち
直してきたものの、なお広がりに欠け、
経済の好循環をもたらすに至っていない。
家計の負担が軽くならなければ内需の
拡大はあり得ず、GDP成長も見込めない。
そうなると、膨らむ社会保障費や少子化
対策費、教育費などの財源を賄う税収も
増えない。
国際通貨基金(IMF)による世界経済
見通しで、日本は19年に実質GDP成長率
が1.0%、20年に0.5%と先進国中最下位。
経済の勢いは再びゼロに近づく。
長い間、経済政策の基本設計を誤って
いたのではないか。
経済政策の重心を可処分所得――個人の
豊かさの増大に移す必要があるのだ。
■“隠れ税金”の負担増が家計を圧迫している
実質可処分所得を増やすには、収入を
増やすか家計の負担を減らさなければ
ならない。
家計の負担となるのは、税金と社会
保険料だ。
収入に占めるこの負担率が高まるほど、
生活が厳しくなる。
ここで注意しなければならないのは、
社会保険料は毎月強制的に徴収される 点で、
“隠れ税金”にほかならないことだ。
この隠れ税金の負担が増大し続け、家計
を圧迫しているのだ。
社会保険料は、被保険者とその事業主が
納入する負担金。
税と共に社会保障給付費の主要財源となる。
勤労者が月給・ボーナス(標準報酬月額)に
応じた保険料から毎月、厚生年金や健康保険、
雇用保険、介護保険 (40~64歳の人の健康
保険料に上乗せ) などが、会社との折半負担
で支払われる。
年金保険料のうち、厚生年金と自営業者や
非正規雇用者らが納入する国民年金は、
04年から17年9月まで毎年段階的に引き上げ
られ、厚生年金保険料率の場合、現在18.3%
の高水準に張り付いた。
目下、保険料が急上昇中なのが高齢化に伴う
介護保険。
協会けんぽによると、今年5月の納付分から
適用された介護保険料率は前年比 10%増の
1.73%。
10年前に比べて45%急増した。
大企業の会社員らが加入する健康保険組合の
被保険者が1年間に負担する1人 当たり平均
保険料は、19年度に 49万5732円。
平均保険料率は過去最高の9.218%に引き上げ
られた。
3年後には同保険料は5万円以上増え、約55万円
になる見通し。
大和総研の家計負担調査によると、
「平成の間の家計負担増は、ほぼ社会保険料の
増加によってもたらされた」 ことがわかった。
税・社会保険料負担率は平成の間に20.6%から
25.7%に上昇した。
しかも、その上昇率5.1ポイントのうち
4.2ポイント分は、直近10年間 (07~17年)に
生じたという。
これが、急速に家計負担を増やした 要因だ。
家計を豊かにするためには、 政府・議会は
“隠れ税金”の膨張抑制 と財源創出の再設計に
本腰を入れなければならない。
旧来の社会保障制度の微調整ではない全面的な
制度設計と所得の 二極化が進むなか、消費増税
よりも 超富裕層への課税を柱とする税制改革
が必要だろう。
まずは、19年度政府予算が34兆円規模の社会
保障関係費のうち12.1兆円 と最大を占め、
問題が多い年金の 抜本的な制度改革に取り
かかる。
夫婦の老後資金として公的年金以外に
「約2000万円が必要」との試算が金融庁から
発表され、国民の年金不信 ・不安が深まった
ばかり。
制度の不備から全就労者の4割近い非正規雇用者
らの無年金者、低年金者が年々増え、生活保護
になだれ込んでいる状況がある。
30代後半~40代までの就職氷河期世代の非正規
問題はとりわけ深刻だ。
■日本の年金評価は34カ国中29位
日本の公的年金に対する国際的な評価は、依然
かなり低い。
世界最大級の米年金コンサルティング会社、
マーサーの18年度の評価で日本 は世界34カ国中、
なんと29位。
特に持続可能性が問題視されている のだ。
評価のトップはオランダ、 2位デンマーク、
以下フィンランド、 オーストラリア、
スウェーデンと続く。
上位の多くは、若いうちに年金資金を積み立て、
老後にこの積立金を運用益と共に自分の生活資金
に充てる積立方式を基本にする。
政府は、年々改良を重ねる海外先進国の優れた
ニューモデルを取り入れ、現役世代の負担を減ら
すと共に老後の希望を持たせる責任が ある。
「令和」を迎え、旧来の失敗続きの 慣行的思考
と制度を改めるときだ。
この国の形をつくり直す新時代の 始まり、
と心すべきである。
(文=北沢栄/ジャーナリスト)
【転載終了】
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日本は、年金などのシステムはある程度
優れているのかなと思っていましたが。
文中の34か国というのはOECDだと
思いますが、OECDの中の数字がこと
ごとく悪い中、年金まで最下位に近いとは・・・
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