日本の少子化、報じられない本当の理由・・・

 2020.01.15 

小黒一正教授の「半歩先を読む経済教室」 


 【転載開始】


 ■日本の少子化、報じられない本当の理由・・・ 

 生産年齢人口維持には移民3233万人必要?  


 2020年(令和2年)という新たな年が 

始まった。 

いま日本経済は「人口減少・少子高齢化」 

「低成長」「貧困化」という3つの問題を 

抱えているが、2050年を展望し、 

このうち最も大きな問題は、やはり人口 

減少の問題であろう。 

この象徴が少子化であり、2018年の 

出生数は91.8万人であったが、昨年12月 

下旬、厚労省が人口動態統計を公表し、 

2019年の出生数が86.4万人となったこと 

を明らかにした。 

1899年の統計開始以後、初めての出生数 

90万人割れであり、国立社会保障・ 

人口問題研究所の「将来推計人口」 

(平成29年推計)では、2023年に出生数 

が約86万人になるとの予測であったため、 

予測よりも4年も前倒しする形で少子化が 

進行しつつある姿を示した。

  では、我々はなんらかの方法で人口減少 

という状況を脱出することはできるだろうか。 

人口を増やす一つの方法は、出生率を引き 

上げることであり、もう一つは移民政策を

行うことである。 

筆者は両方とも重要であるが、それでも 

人口減少を脱出するのは容易ではないと 

判断している。  


 理由は次のとおりである。 

まず、出生率の引き上げであるが、それは

「出生率の基本方程式」で把握できる。 

この方程式は筆者がときどき利用している

もので、 

 「合計特殊出生率= 

(1-生涯未婚率)×夫婦の完結出生児数」  


 という簡単な関係をいう。 

合計特殊出生率は、一人の女性が生涯に 

産む子どもの数をいうが、日本では婚外子 

は約2%しかおらず、女性の大部分は結婚 

して出産する。 

このため、一人の女性が生涯に産む子ども 

の数である「合計特殊出生率」は、平均的 

にみて、夫婦の完結出生児数 

(夫婦の最終的な平均出生子ども数)に 

「有配偶率」を掛けたものに概ね一致する。 

有配偶率は「1-生涯未婚率」と等しいため、 

「合計特殊出生率= 

(1-生涯未婚率)×夫婦の完結出生児数」  


 という関係式が成立する。 

例えば、生涯未婚率が30%、夫婦の完結 

出生児数を2であるならば、出生率の 

基本方程式により、合計特殊出生率は1.4 

になる。  


 厚生労働省「出生動向基本調査」による 

と、夫婦の完結出生児数は1972年の2.2

 から2010年の1.96、2015年の1.94まで 

概ね2で推移してきたことが読み取れる。 

それにもかかわらず、合計特殊出生率が 

低下してきている主な理由は、 

生涯未婚率が上昇してきたためである。 

例えば、35歳―39歳の未婚率は1970年 

の男性4.7%・女性5.8%から2015年で 

男性35%・女性23.9%まで急上昇して 

きた(国立社会保障・人口問題研究所 

「人口統計資料(2018年版)」)。 

つまり、出生率低下の主な要因は未婚率 の

上昇(晩婚化を含む)にあり、結婚と出生

の意思決定に関する同時性にも注意が必要

だが、出生率増には未婚率を引き下げる

政策が中心となろう。 


 日本の合計特殊出生率は2005年に過去

最低水準の1.26となったが、2011年 に1.39、

2015年は1.463に若干上昇している。 

この要因の分析を行う価値があるかもしれ 

ないが、2016年の合計特殊出生率は1.44、 

2017年は1.43、2018年は1.42に低下しつつ

ある。  


 また、1975年以降、出生率は恒常的に2を

下回るとともに、1989年の1.57ショックを

含め長期間にわたり低下傾向にあり、第3次

ベビー・ブームは起こら なかったという現実

も直視する必要が ある。 

なお、2010年の平均理想子供数は2.4人であり、

未婚率が現状のままでも、 

「出生率の基本方程式」に従うならば、少子化

対策で夫婦の出生数を理想子供数に近づけられ

れば、出生率を1.6程度まで回復できる可能性

はあるが、出生率 が2を下回り続ける限り、

いずれにして も人口減少を脱することは難しい。


 ■移民政策  


 次に、移民政策である。 

移民で人口減少のどの程度を補うことができる

のかを把握するのに役立つのが、 国連経済社会局

人口部が2000年に公表 した「補充移民」の試算

結果である。 

この試算は、国連が、フランス・ドイツ ・イタリア

・日本・イギリス・アメリカ などの先進国を対象

に人口水準の維持や高齢化進行の回避に必要な

移民流入数の 推計をしたものである。  


 この推計では5つのシナリオを分析 している。

具体的にはシナリオⅠから シナリオⅤで、このうち

「シナリオⅠ」 は、1998年改訂の国連人口予測に

おけ る中位推計をベースラインとするもの である。 

また、「シナリオⅡ」は1995年以降に 移民の流入

がないもの、「シナリオⅢ」 は1995年以降におけ

る総人口ピークの 水準を維持するものである。 

また、「シナリオⅣ」はシナリオⅢと 同様に

ピーク時の15~64歳人口を維持 するもの、

「シナリオⅤ」は同様に ピーク時の15~64歳人口

の65歳以上 人口に対する割合を保つものである。  


 各々のシナリオについて、必要な移民流入数を

推計し、2050年までの 移民総数や平均年間移民数

を比較している。 

このうち、総人口ピークの水準を維持するシナリオⅢ

では、日本が必要と する移民数は2050年までの累計

で 1714万人(年間平均34万人)であり、生産年齢

人口(15~64歳人口)を維持するシナリオⅣでは累計

3233万人 (年間平均65万人)もの移民を必要として

いる。 

また、高齢化進行の回避を目指す シナリオⅤでは、

2050年までに累計 5億2354万人、期中の年間平均

でも 1047万人の移民の流入が必要で、その回避には、

非現実的な水準の 移民数を必要とする。 


 出生数90万人割れはまだ序章にすぎず、人口減少

が本格化するのは これからが本番だ。 

政府は改革の司令塔として 

「全世代型社会保障検討会議」を設置 し、全世代が

安心できる制度改革の 方向性の議論を行い、

2020年夏まで に最終報告を取りまとめる方針だが、 

少子化対策に資源を投入しながら、 年金・医療・介護

をはじめ、人口減少 に適合した制度(医療版マクロ

経済 スライドの導入を含む)に抜本的に改める政治的

な努力を期待したい。 

 (文=小黒一正/法政大学教授)


 【転載終了】

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>35歳―39歳の未婚率は1970年 

 の男性4.7%・女性5.8%から 

 2015年で男性35%・女性23.9% 

 まで急上昇してきた・・・・・ 

 

 小泉政権の非正規政策がこのような

事態を招き、安倍政権の 移民政策に

繋がってきているよ に思うのですが。


 いずれにしろ、日本人のDNAは消滅

すると言われています。

 


LC=相棒's のじじ~放談!

時事関係や自動車関係などの記事を書いています。

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