緊急事態宣言、36.8万人失業の可能性も・・・
Business Journal
【転載開始】
緊急事態宣言、36.8万人失業の可能性も・・・
GDP年成長率マイナス5.4%との試算も
2020.05.01
■緊急事態宣言拡大に伴う経済へのダメージ
新型コロナウイルスの感染拡大に
対応する緊急事態宣言の対象地域が
全国に拡大した。
新型インフルエンザ等対策特別措置法
に基づく緊急事態宣言は、外出制限や
交通規制に対して強制力がなく、
海外で行われているロックダウンを
実施することにはならないものの、
すでに7都府県に対して緊急事態宣言
が打ち出されていたなかでの全国拡大
になるため、さらなる経済活動自粛の
動きが強まることは確実だろう。
実際、緊急事態宣言発動に伴う外出
自粛強化により、最も影響を受けるの
が個人消費である。
そこで、2019年の家計調査(全世帯)
を基に、外出自粛強化で大きく支出が
減る費目を抽出すると、外食、設備 修繕
・維持、家具・家事用品、被服 及び履物、
交通、教養娯楽、その他 の消費支出となり、
支出全体の約55%
を占める。
そこで、すでに緊急事態宣言の対象
となっていた7都府県の不要不急消費
が1カ月止まり、今回新たに特定警戒
となった6都道府県
(北海道、茨城、石川、岐阜、愛知、
京都)の不要不急消費が3週間止まり、
特定警戒以外の不要不急消費が3週間
半減したと仮定すると、通常に比べて
最大▲8.4兆円の家計消費が減ること
を通じて、GDPベースでは通常に
比べて最大▲7.2兆円(年間GDP比
▲1.3%)の損失が生じることになる。
また、近年のGDPと失業者数との
関係に基づけば、この損失により
36.8万人の失業者が発生する計算に
なる。
■緊急経済対策による景気下支え
こうしたなか、政府が当初閣議決定
した事業規模108兆円のコロナ緊急
経済対策も組み換えとなった。
当初決定した生活困窮者世帯や子育て
世帯への臨時特別給付金が全国民一律
10万円給付となること等により、
安倍首相の記者会見発言に基づけば、
経済対策の規模が真水で8兆円以上
拡大する見通しとなる。
仮に他の組み換えがなければ、
事業規模や財政支出の規模で見ても
117兆円や48兆円とさらに大きな額と
なる。
しかし、これらはかなり広めにとられ
た概念であり、直接GDP押し上げに
つながるわけではない点には注意が
必要だろう。
今回の経済対策による景気押し上げ
効果は相当控えめに見ておいたほうが
良い。
事実、現金給付等は追加的な支出に
つながるか不透明な部分が多く、
これらの額すべてが今年度のGDP
押し上げに効くわけではない。
また、財政支出のなかには事業が長期
にわたる財政投融資なども含まれてい
ることには注意が必要だ。
経済対策の全容は予算編成まで不確定
な部分があるが、景気押し上げ効果に
関しては国・地方の支出(真水)である
程度の目星を付けることができる。
報道によれば、真水の総額が過去の対策
の未執行分を除けば19.1兆円程度とされ
ていた。 このため、ここに今回組み換え
の8.9兆円 を上乗せした真水28.0兆円対策
に限った 景気への影響を考えると、
財政支出から 財政投融資を除いた国・地方
の歳出から さらに貯蓄に回る部分等を除い
た額が 短期的なGDPの押し上げに効くこ
とが 見込まれる。
一方で、内閣府の最新マクロ計量モデル に
基づけば、現金給付に近い所得減税の 1年目
の乗数は0.23にとどまる。
これに基づけば、実際に今年度の実質GDP
の押し上げ効果は+6.4兆円 (GDP比+1.2%)
前後にとどまり、 1カ月の緊急事態宣言に
伴う損失を埋めき れないと見込まれる。
ただし、単純にGDP押上効果が足りない と
いうだけで今回の財政政策が好ましくない と
いう結論にはならない。
なぜなら、この状況下では医療危機の緩和が
最優先課題となるためである。
というのも、そもそも給付金は人々の現下 の
経済的困難に対して手を差し伸べること により、
家にとどまる人を増やし、
ウイルスの拡散が抑えることを目的として いる
ためである。
<以降省略>
【転載終了】
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「緊急事態宣言」の延長するにしても、
政府が大量の失業者発生の可能性をどの
程度危機的にとだれているのか不安ですね。
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